税財政の変質に警鐘
地方税全国交流集会に90人

全国商工新聞 第3393号2020年1月13日付

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地方自治体の財政や徴収行政について交流した第34回地方税全国交流集会

 第34回地方税全国研究交流集会が12月14、15の両日、広島市内で開催され、90人が参加。地方自治体の財政や徴収行政について学習・交流し、税のあり方について考えました。
 1日目は、立命館大学政策科学部の森裕之教授が「最近の地方税財政をめぐって」と題して記念講演。地方財政の目的別歳出のうち、民生費(福祉関係費)が伸びていることを指摘しました。性質別歳出では、物件費が増え、その中の委託料の割合が高くなっていると述べ、民間委託を進めている行政の実態を浮き彫りにしました。また、国が地方交付税の内訳を変えて、総額が増えないようにしてきたことを告発。幼児教育の無償化などは上乗せする一方、別の分野で交付税が削られるなど住民サービスの悪化に警鐘を鳴らしました。
 また、自治体戦略2040構想で、共通システムやAIの導入による自治体のスマート化にも触れ、「これで滋賀県野洲市のような住民に寄り添った徴収行政ができるのか」と疑問を投げ掛けました。
 東京税財政研究センター理事長の岡田俊明税理士が「消費増税後の状況と2020年税制改正の動向」と題して記念講演。消費税が逆進性のある税制であることや、10%と8%の税率が混在することで、業者の実務負担が増えることにも触れ、租税原則の「公平・中立・簡素」が守られていないことを指摘しました。
 2日目は、五つの分科会に分かれて討論。2020年税制改正の動向やマイナンバー(個人番号)制度、納税者の権利擁護などの分野に分かれて、議論を深めました。
 最後に「安倍政権による憲法改悪を阻止し、消費大増税や社会保障改悪から国民生活を守ろう!」とした集会アピールを確認しました。

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