相次ぐ大規模災害
復興担う中小業者の支援強化を

全国商工新聞 第3383号2019年10月28日付

 今回の台風19号は、事前に大規模な被害が想定され、さまざまな対応がなされていました。それにもかかわらず、90人前後の死者・行方不明者という多くの犠牲者を出し、約4400人が避難所生活を余儀なくされています(20日午前11時、内閣府発表など)。
 東北から静岡の12都県という広範囲にわたる災害となっています。この間、数十年に一度ともいわれる災害がたびたび起きており、これまで以上に、大規模災害への備えや、復旧・復興のあり方が改めて問われています。
 避難所へ向かう途中での被災や受け入れ拒否、避難所までの距離が遠いなど、「被災者の暮らしを最優先する」地域の防災計画の見直しが早急に必要になっています。 
 被災世帯の被災者生活再建支援金などの拡充と共に、地域に根差して営業している中小業者への公的支援も急務です。中小業者は、災害直後からの救援活動や、建物の再建、地域経済の復興、雇用や住民の暮らしに大きな役割を果たしています。
 政府は中小企業の復旧費を直接支援する「グループ補助金」の検討に入ったことが報じられています。同補助金は、2011年の東日本大震災から始まり、国と県が連携し地域の復興に大きな役割を発揮してきました。実態を知らせ「激甚災害指定」地域にかかわらず、被災事業者に広く適用を求める運動が求められています。
 小規模企業振興条例を制定する自治体が広がり、民商・県連を支援団体として認定する自治体も生まれています。今年で6年目となる「全自治体要請」も生かして、「商売を続けていくこと自体が社会貢献」という中小業者の思いと、災害に負けない地域づくりを結んでいく運動を全国で進めていきましょう。
 全商連は「復興提言」などを通じ、経営再建に向けた「二重ローン」の解消や、店舗・工場へのきめ細やかな支援の継続、地域産業の振興と住民主体のまちづくり、自治の力を生かした防災システムの確立を求めてきました。
 災害が相次いでいる時代だからこそ、「復興のシンボル」といえる中小業者の経営再建が大事との声を大きくしていきましょう。

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