農林水産業を売り渡す安倍政権
政治を変えて持続可能な社会へ

全国商工新聞 第3365号2019年6月17日付

 安倍政権の「成長産業化」戦略に基づき、暮らしや生業に直結する分野で大企業の市場参入を促す施策が相次いでいます。
 例えば、昨年末に成立した漁業法の改悪です。地元漁協への漁業権の優先付与を原則廃止としたため、大型漁船を持つ大企業だけが独占的な利益を得られる状況となっています。
 水道法の改悪では、所有権を自治体に残しつつ、運営権を大企業に売り渡せるようにしました。この結果、利潤追求による料金値上げや水質悪化の危険性が格段に強まっています。
 つい先頃、国会で改悪されたのが国有林野管理経営法です。
 国有林で大企業が最長50年間にわたり、数百㌶の伐採・販売権を得られるというものです。伐採後の造林の義務規定もなく、森林の荒廃や生態系の破壊、国産材の供給過剰による値崩れなどが心配されています。
 こうした施策は、安倍政権の「骨太方針」や「未来投資戦略」によるものです。公共サービスを解体し、地域に根差す生業を顧みることなく、資本力ある者だけが自由に振る舞えるようにしているのです。広範な国民の間に、懸念や憤りが高まるのは当然のことです。
 危機打開へ、循環型地域経済と持続可能な社会の実現に向けた共同が強く求められています。地域の特性を踏まえた生業の再建を、自治体施策の全体に位置付けさせ、農林水産業と中小商工業の振興を図るよう、働き掛けていくことです。
 また、自由貿易協定で広がる資本の横暴を告発し、小企業・家族経営の振興を対案として示すことも大切です。とりわけ、米国製兵器を爆買いしながら食糧主権さえ投げ捨てる安倍政権に対し、保守・革新を問わず、農林水産業に携わる広範な人々が怒りを募らせています。
 生業は、農林水産業と商工業の違いを超えて、平和産業の担い手です。政治と要求を結ぶ対話が高揚するなら、大増税・改憲を阻止する力も高められます。
 市民と野党の共闘による「共通政策」も生かして、参議院選挙で安倍政権に審判を下し、政治の流れを変えましょう。

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