日米地位協定の不当性明らかに
抜本見直しへ大きく声上げよう

全国商工新聞 第3360号2019年5月13日付

 今、各地で米軍機の訓練による騒音被害などが問題になっています。訓練は日常的にダムや発電所、橋などを仮の目標に見立て、早朝から深夜まで急降下・急上昇、低空飛行などを行っています。
 騒音や墜落の危険もあり「ガラスが割れた」などの被害通報が住民から相次ぎ、特に沖縄では耐え難い負担が続いています。米軍が日本の空を自由に使い訓練を行えるのは、背景に日米地位協定があるからです。
 同協定は1960年、日米安保条約の改定と同時に締結されました。28条からなり、日本国内での基地使用や航空機の運用、米軍・米兵のさまざまな特権などを定めたものです。協定の具体化は日米合同委員会で決められ、内容は国民には明らかにされません。「民事裁判で不都合な情報提供をしなくてよい」など、日本の主権を侵害するものが多数存在しています。
 米兵・米軍による事件、事故が起きるたび、日本の捜査権が及ばないことなどから、抜本的な見直しを望む声が広がっています。
 羽田空港を離陸する民間機は東京湾の上で急旋回・急上昇を余儀なくされています。これは航空管制で米軍機が優先される密約により、横田基地を中心に東京から福島、新潟、静岡に広がり高度7000㍍に達する「横田空域」の存在があるからです。広大な地域を米軍の訓練または実践のために提供しているのも、地位協定によるものです。
 沖縄県は米軍基地が置かれているヨーロッパの4カ国(ドイツ、イタリア、イギリス、ベルギー)の地位協定などを調査し、その結果を公表しました。いずれも自国の法律や規則を原則として適用し、基地への自治体の立ち入りも認められるなど、日本とは大きく違います。
 全国知事会は住民の生命、安全を守る立場から、訓練の情報提供、航空法を米軍にも適用すること、事件・事故の実効的な防止策など、一度も改定されていない協定の抜本的な見直しを求めて提言を行いました。米軍基地問題と日米地位協定は全国の問題です。「平和でこそ商売繁盛」を掲げてきた民商・全商連の本領を発揮し、日米地位協定の改定へ、今大きく声を上げることが求められています。

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