OECDが消費税26%を提言
景気冷やす大衆課税に道理なし

全国商工新聞 第3359号2019年4月29日付

 経済協力開発機構(OECD)が15日、対日経済審査報告書を公表しましたが、およそ国民の願いとはかけ離れた「提言」でした。膨れ上がった財政赤字の原因には何ら触れないまま、「基礎的財政収支」の黒字化へ、消費税率を最大26%まで引き上げる必要があると指摘しているのです。とんでもない暴論です。
 消費税は最悪の大衆課税です。景気を底から冷やし、低所得者ほど負担が重く、輸出還付金など徹底した大企業優遇で、中小業者の営業を破壊し続けてきました。
 この果てしない増税は国家財政を立て直す前に景気を底割れさせ、貧困と格差を拡大して、社会経済の均衡と調和を成り立ちえなくさせるでしょう。
 国民の生活向上と併せ、財政再建を図る方策は「アベノミクス」の失敗からもハッキリしています。歳出で国民の平和的生存権を脅かす米国製・高額兵器の「爆買い」や原発再稼働、辺野古新基地建設を真っ先に中止するべきです。
 歳入でいえば、異常な大企業への特権的な減免税を整理・縮小しつつ、所得税の総合累進課税を導入し、高額所得者・大資産家にも応分の負担を求めるべきです。
 これまでOECDは、加盟国の租税の在り方でもさまざまな報告や提言を発してきました。この中には全商連として、故・谷山治雄氏の監修で1996年に翻訳・出版した『中小企業と税金』報告もあります。ここで、私たちが学んだ一つは、租税立法による「納税協力費」についてでした。中小企業には、資金的にも、時間的にも、心理的にも重い納税協力費が強いられており、日本の消費税に近いイギリスの付加価値税で納税協力費を比べると、中小企業は大企業の約260倍に及ぶ収入比の負担があると指摘されています。
 この報告からも、消費税率10%に限らず、かつてなく納税協力費を膨らませる複数税率やインボイスの導入など、許される道理はありません。
 日本国民の雇用や暮らしの向上に少しでも貢献したいなら、OECD自身の先駆的な研究成果に学び直し、今回の対日経済審査報告書を抜本的に改定するべきです。

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