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私たちの主張
飲酒運転追放へ抜本策を図れ
 相次ぐ飲酒運転事故を受け警察庁は、ドライバーに酒類を提供した者も処罰できる罰則規定の新設を検討し始め、来年の通常国会に道路交通法改正案を提出する方針です。
 現行の道交法第65条は、「何人も、車両等を運転することとなる恐れがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめたりしてはならない」と定めています。
 これまで罰則は強化されたものの、最近ではまた悲惨な事故が増加しています。この責任の一端が飲食店にもあるという論調が強調され新たな罰則化が検討されていますが、本当にその方向が問題解決につながるのでしょうか。
 飲食店は、車で帰ることが分かっている客にアルコールを提供すると飲酒運転ほう助の罪に問われます。中小の飲食店の多くは消費不況の中でも、飲酒運転追放に向けさまざまな努力を重ねてきました。「お車でご来店の方へはアルコールは提供できません」と書いたステッカーを張り出し、車のキーを預かり、帰りには割引券を付けて代行運転をあっせんしたり、自家用車で客を送迎するサービス、また、宿泊できるよう店舗を改装するなど懸命の努力を図ってきました。しかし、飲酒運転追放の努力と、法律による飲食店への罰則強化とではまるで違います。
 料飲店はお客さんに楽しく飲んでもらい、明日への活力を生んでもらうオアシスです。車で来店したかどうかを監視し警察に通報するとか、酒の提供が罰則で制限され客の行動の結果にまで責任を待てといわれても限界があります。
 飲酒運転は犯罪です。幼児3人の命を奪った福岡の事故などは断罪されるべきです。ドライバーのモラルが厳しく問われるべきです。しかし、「酒を飲ませた飲食店も共犯者だ」と罰則を強化するのは短絡的で一方的な結論と言わざるを得ません。
 政府は規制緩和策として酒販の自由化を促進し、誰でも自由に手に入るようにしました。これには酒販組合なども「致酔性飲料」の危険性を指摘し、自由化に反対してきました。今日の飲酒運転事故の多発はまさに致酔性飲料の危険性を野放しにした規制緩和策が招いた悲劇ともいえるものです。
 自動車は人を殺傷する可能性のある乗り物です。安全に扱うために免許が必要です。国は、酒のコマーシャルたれ流しの見直しや、スウェーデンなどのようにアルコールが感知されると、運転が不可能になる装置を自動車メーカーに義務付けるなど、早急に有効な対策を図るべきです。
 
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