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健全な自主共済つぶす「改正」保険業法 守ろう助け合いの全商連共済会
みんなの力で「適用除外」を必ず
 2006年4月1日から「改正」保険業法が施行されました。この法律は、生協法や労働組合法などの根拠法のない共済を、保険会社もしくは新たに設ける「少額短期保険業者」制度のもとで、規制・監督する仕組みを導入するものです(移行期間は2年間)。法律の規制・監督の対象になるのは、全商連共済会など、各団体が構成員の相互扶助を目的とする共済まで含まれるといわれています。保険会社と同様の規制を受けると、全商連共済会の制度と運営にも多大な影響を及ぼします。


Q1 そもそも保険業法ってなに
A 保険会社の健全運営と契約者保護が目的です
 保険業法は、保険会社の健全な運営と保険契約を保護するための法律で、1900年に公布されました。その後、金融の自由化と金融ビックバンの流れのなか、改正されています。
 2005年におこなわれた「改正」は、消費者保護を理由に、根拠法のない共済も規制の対象にするという内容です。しかし、保険会社と共済では、目的も歴史もまったく異なり、同じ基準で規制することには無理があります。
 この間、少なくない保険会社が、バブル経済で業態を拡大し総合金融機関をめざすなか、破たんしました。現在、保険の不払い問題も起きています。
 一方で、「法律が適用されると、共済の存続が困難になる」との不安の声が各地で上がっています。法律改正の目的は消費者保護なのに、これでは本末転倒です。
 数多くある共済の実態把握を十分におこなわないまま、安易な法改正に踏み切った政府の責任が、厳しく問われています。

Q2 なぜ、全商連共済会も対象になるの
A アメリカと日本の保険業界の圧力で対象が変わったから
 法「改正」の目的は、国民生活センターなどに「マルチまがいの共済」についての相談件数が急増したのを受け、これらを規制し消費者を保護することでした。ですから、金融審議会では「構成員が真に限定されるものについては、特定の者を相手方とする共済として、従来どおり、その運営を構成員の自治に委ねることで足り、規制の対象外とすべき」としています。しかし、法案作成の段階で「特定の者」「不特定の者」という垣根を取り払う形で「保険業」の定義を変え、問題のすり替えがおこなわれました。
 アメリカ政府は毎年、「日本政府への米国政府要望書」を出し、米国の企業利益を日本へ持ち込んでいます。共済分野では全商連共済会のような加入者に有利な共済は「じゃまになる」と「すべての共済と民間会社の間の競争条件の同一化を」と求めたのです。つまり、保険市場の拡大を狙う日米の大手保険業界の圧力で規制の対象がすり替えられたのです。
 共済は本来、団体の目的の一環として構成員の相互扶助を図るためにつくられてきました。それを、競争条件が平等でないからと、保険会社同様の規制を求める日米保険業界には一片の道理もありません。

Q3 規制されるとなにが変わるの
A もうけの論理で共済会の優位性が否定されます
 保険業法は、営利目的の保険会社を規制する法律です。保険業法の規制を受けるということは、保険会社と同じ基準で運営しなければならなくなります。たとえば、「民商会員とその配偶者は、年齢や健康状態にかかわらず加入できる」ことや「会費の9割を共済金として支払う」ことは、保険会社にはできない優位性です。しかし、これでは保険会社として成り立たないからと見直しを迫られることになります。さらに、長寿祝金や結婚・出産祝金などの共済金が、保険になじむかどうかという問題も出てきます。
 また、保険計理人(別項参照)が、保険料(全商連共済会では会費)や責任準備金の計算方法について、「全商連共済会の共済金制度は、収入に見合っているか」など、一つひとつチェックします。つまり、全商連共済会のあらゆる部分にもうけの論理が持ち込まれかねません。
 仲間どうし助け合い、会費の集金など運営の多くをボランティアで支える共済を、保険会社と同じ基準で規制することは、大きな誤りです。

保険計理人 生命保険事業などにおいて保険料、責任準備金、解約返戻金などの計算を担当する専門家。保険業法上、保険会社は保険計理人を選任することが定められています。保険計理人のほとんどが保険会社の社員です。保険計理人は保険契約に係る責任準備金が健全な保険数理に基づいて積み立てられているか、契約者配当または社員配当が公平におこなわれているかどうかなどの確認をおこないます。

高知・南国民商共済会は平日の夜にも集団健診をおこない喜ばれています(05年10月)
Q4 団体がおこなう共済まで規制していいの
A 団体自治権を保障した憲法21条違反です
 全商連が全商連共済会を発足させたのは、「社会的経済的に劣悪な状況に置かれている中小業者が、民商会員として共通の要求を持った仲間として、お互いに助け合うため」です。全商連共済会の運営は、全商連が責任を持ち、全商連共済会は民商・全商連運動と不可分の関係にあります。
 全商連以外の団体も、経過はさまざまですが、同様の性格を持っています。
 日本国憲法は第21条で「集会、結社及び言論、その他の一切の表現の自由は、これを保障する」と定めています。
 全商連は憲法で認められた団体で、その運動と活動は当然、憲法によって保障されています。
 保険業法を理由にした全商連共済会への規制と干渉がおこなわれるのであれば、これは、全商連への規制と干渉です。したがって、憲法が保障する団体自治権を侵害し、憲法に違反しています。
 憲法改正の動きが急速にすすんでいます。「戦争する国」づくりは、一方で私たちの運動に介入して活動と声を抑え込む国づくりでもあります。「団体自治権を保障し、規制と干渉を許さない」運動が重要です。

Q5 法律の適用除外にさせることは可能なの
A 世論と運動が高揚すれば変化を起こすことは十分可能です
 「法律の適用除外にせよ」と求める世論と運動が急速に広がっています。全商連は関係諸団体と協力し、適用除外を求める運動を国会内外ですすめてきました。昨年12月には労山や保団連などと「共済の今日と未来を考える懇話会」(懇話会)を立ち上げ、1月にシンポジウムを開催。研究者や国会議員、労働組合などから170人が参加し世論に訴えてきました。また、全国知的障害者互助会連絡協議会は、34万人分の署名を金融庁に提出するなど、「自主共済を適用除外にせよ」の声が高まっています。
 私たちの運動も反映して、民主党や日本共産党などが、「まじめで堅実な運営をしてきた互助会・共済事業が不利益を被らないようにせよ」と国会質問。与謝野馨金融担当相は「きちんと相談にのり実態も把握して、共済事業が運営できるようにできる限りのことはしたい」と、善処を約束しています。
 このような状況をふまえ、全商連は、署名運動にとりくむことにしました。従来どおり共済を運営できるよう、「不当な規制を許すな」の声を大きく広げ、運動を発展させましょう。

「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」
2005年12月7日(抜粋)


8.共済
 共済は、民間と直接競合する各種の保険商品を提供し、日本の保険市場において相当な市場シェアを有している。共済には、保険の監督官庁である金融庁以外の省庁が規制を行っているものがある。また、全く規制を受けていない共済もある。共済に関する一貫した規制体制の欠如は、健全かつ透明な規制環境を企業並びに保険契約者に提供する日本政府の能力を損なうものであり、また、ビジネス、規制及び税の観点から、共済が民間の競合会社に比べて大幅に有利に立つ要因となっている。中には、この有利な状況を市場シェアや商品提供の拡大のために利用し続けている共済もある。米国は従って、日本に対し次の方策を取るよう要望する。
 8‐A.全ての共済に民間競合会社と同一の法律、税水準、セーフティネット負担条件、責任準備金条件、基準および規制監督を適用することにより、共済と民間競合会社の間に同一の競争条件を整備する。
 8‐B.特に「制度共済」については、現状の見直しと、様々な問題の中でもとりわけ、不特定の大衆を事実上対象とする共済の販売慣行について調べる政府横断の検討を2006年中ごろまでに行う。この見直しでは、制度共済間の規制の扱いや監督の相違点、また、それらと民間保険会社との違いも調査するべきである。
 8‐C.「無認可共済」については、これらの共済を原則的に金融庁の規制監督下に置くことを義務づけるべく、保険業法の改正を通して日本がとった第一段階の措置を米国は歓迎する。米国はさらに、この新制度の徹底的で厳密な見直しがオープンで透明な形で行われ、この見直しによって5年以内に共済と民間保険会社の扱いが同一となるよう求める。
 
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