全商連の提案する法案の要綱

 これまでに明らかにしてきた政策にもとづく、「大規模小売店舗規制臨時措置法」と、「大店法改正案」の要綱案は次の通りです。

一、大規模小売店舗規制臨時措置法案要綱

1、指定地域での出店と拡張を禁止
@都道府県知事が指定した特定地域内においては、当分の間、店舗面積が500平方メートルを超える店舗の新規出店および地域内での大規模小売店舗の拡張は禁止とする。
Aコンビニエンスストアなど500平方メートル以下の中小規模店舗(資本金100億円以上の会社の直営店、およびフランチャイズ店)の新規出店も禁止とする。

2、審議会の設置とその権限
@都道府県に「流通適正化審議会」を設置する。
A知事は、地域の指定およびこの法律の運用にあたっては、「流通適正化審議会」の議を経るものとする。
B審議会は、知事から諮問されて意見を述べるにとどまらず、この法律を発動するよう積極的に建議する義務と権限をもつものとする。知事は、審議会の意見を尊重する義務を負う。
C審議会は、中小企業者、労働者、消費者、学者、関係する市区町村の代表等で構成され、審議は公開を原則とする。

3、住民等の意見具申
 市区町村および中小企業団体、労働組合、住民団体等は、都道府県知事および「流通適正化審議会」に対して、この法律の運用に関して意見を述べることができる。

4、この法律は五年間の時限法とする

5、違反行為に対する罰則規定を設ける


二、大店法改正案

大企業者等による小売業の事業活動の規制に関する法律案要綱

1、法律の題名を変更
「大企業者等による小売業の事業活動の規制に関する法律」とする。

2、法律の目的で、まちづくりの観点も明確に
 この法律は、大規模小売店舗および大企業者による小売事業活動を規制することにより、消費者利益と中小小売事業者の事業機会を確保し、小売業の健全な発展と当該地域の住民の総意によるまちづくりの推進の円滑化に資することを目的とする。

3、知事権限で許可制に
 500平方メートルを超える小売店舗および大企業者の小売店舗の新増設については、都道府県知事の許可を必要とする。

4、規制対象
@500平方メートルを超える大規模小売店舗
A資本金100億円以上の大企業者および事実上その支配する会社の小売店舗。

5、不当廉売、元日営業など大企業者の小売事業活動を広く規制
 @営業時間について、開店は午前10時以降、閉店は午後7時以前とする。
 A年間休業日数は48日以上とする。
 B正月3カ日の営業は原則として禁止とする。
 C営業行為遵守規定を定める。
  イ、業界を撹乱する異常な低い価格での販売行為
  ロ、過度な宣伝による過剰な顧客誘引行為
  ハ、取引・納入業者への不利益の強制行為
  ニ、地域を撹乱する一方的な店舗の閉鎖・撤退行為
 D営業行為遵守規定の指導監督権限を都道府県知事に付与する。

6、大企業者の商店街・地域経済振興への貢献義務
 中小商業活性化基金への拠出、地域経済への貢献のための行動計画の提出などを義務づけるものとする。

7、住民に開かれた審議会の設置
@許可または不許可の処分にあたっては、都道府県に設置された「流通適正化審議会」の意見を聞くものとする。
A審議会の構成は、中小企業者、労働者、消費者、学者、関係する市区町村の代表等によるものとし、審議は公開を原則とする。
B審議会は知事の諮問に応じるほか、この法律の運用、当該地域の流通に関して建議することができる。
C市区町村および中小企業団体、労働組合、住民団体等は、都道府県知事および「流通適正化審議会」に対して、この法律の運用に関して意見を述べることができる。
D商圏が2以上の都道府県に及ぶ場合は、「中央流通適正化審議会」に諮り、通産大臣が決定することとする。

8、その他
 罰則規定、処分についての意見申し立て、中小業者、労働者、住民等の意見申し立て規定を設ける。