自営業者の出産負担軽減
国民年金保険料免除制度が4月から

全国商工新聞 第3359号2019年4月29日付

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子育て世帯へのさらなる負担軽減が求められます(写真はイメージ)

 自営業者の妻や自営業として働く女性が出産したときに、その前後の国民年金保険料が全額免除される制度が、今年4月から始まりました。本紙相談コーナーでもおなじみの、社会保険労務士の曽我浩さんが解説します。

女性事業主や家族が対象

-免除の対象は?

 国民年金保険料を納付している女性経営者や自営業者・農業者の家族など「国民年金第一号被保険者」で、出産日が2019年2月1日以降の方が対象です。これまでも、会社員や公務員などの「第二号被保険者」は、産前産後休業中の厚生年金保険料が全額免除されていましたが、次世代育成の観点から、自営業者などにも広がりました。

-免除の期間は?

 「出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(以下『産前産後免除期間』)です。例えば5月に出産を控えている人は、4~7月分が対象。今年の保険料は月額1万6410円ですので、4カ月分で6万5640円が免除されます。2月3月に出産した人は4月以降にかかる期間だけが免除の対象になります。出産とは、妊娠85日(4カ月)以上をいいますので、死産、流産、早産された方も含みます」

6カ月前から届け出可能に

-手続きはいつ、どこで?

 「出産予定日の6カ月前から届け出が可能です。届け先はお住いの市(区)役所または町役場の国民年金窓口です。出産後でも届け出ることができます」

-保険料を納めるのが困難になったときに認められる通常の免除制度の場合、追納しなくては本来の年金額になりません。産前産後免除分も追納しなくてはいけないのですか?

 「追納の必要はありません。産前産後免除期間は、保険料を全額納付した期間として扱われますので、通常の免除制度とはまったく違います。配偶者の所得制限などもありません。保険料を前納している場合、産前産後の期間の保険料は還付されます。希望すれば、月額400円の付加保険料(保険料に上乗せして納めることで、受給する年金額を増やせるもの)の納付もできます」

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