国保制度改善へ世論喚起を
国保集会参加者の発言

全国商工新聞 第3369号2019年7月15日付

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「国保制度の改善をめざす国会内集会」。フロア発言をしているのは福岡県連の岩下幸夫会長=6月19日

 国民健康保険(国保)料・税の引き下げや制度改革を進めようと開かれた「国保制度の改善をめざす国会内集会」(6月19日)。全国商工団体連合会(全商連)と全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が共催した集会では、5人が現場の実態を報告しました。民商関係者3人の発言概要と行動提起を紹介します。

リアルな実感 怒りに変えて

大商連 西村麻友子さん

 大阪府では、橋下知事が地ならしし、松井知事が2017年に「国保運営方針」を策定。昨年度から「府内統一化」を強行しました。24年度の完全統一に向け、「保険料と減免基準の統一」「法定外繰り入れの禁止」など国以上に厳しい基準で市町村を競わせています。
 府内市町村の国保会計には、17年度で104億円の累積黒字と110億円の基金(内部留保)があります。でも、国保料引き下げには使えません。1人当たりの国保料は、9万円(08年度)から13万円(17年度)へ。所得に占める負担割合は8%(1988年)から17%(16年)へ。今年度は統一国保料が14万円で、40年には26万円との試算もあります。
 強権的な徴収も目立ちます。寝屋川市では今月、国保滞納世帯への家宅捜索に警察が立ち会い、DVDプレーヤー、釣りざお2本などを差し押さえました。
 「都道府県化」で、数字やルールがブラックボックス化しています。「自己責任論」が浸透し、統一地方選では、国保で差し押えを受けているのに「維新に期待する」と話す民商会員も。怒りの方向性を間違え、維新の「身を切る改革」「公務員バッシング」がスッと入っているのかもしれません。リアルな実感を怒りに変えましょう。

市民の声聴く市長の当選を

埼玉・川口民商 大桑雅彦さん

 埼玉県蕨市は全国で面積が一番小さな市で、人口7万5000人。さいたま市、川口市、戸田市に囲まれています。
 蕨市の国保税はとても安い。川口市の4人世帯平均47万4000円に対し、蕨市は29万5000円。県内で最低の水準です。
 羽田空港より狭い蕨市で、国保税を安く抑えてきたのが日本共産党員の頼高英雄市長です。今年6月に再選され、4期目。国保への1世帯当たりの法定外繰り入れは、蕨市は6万9000円、川口市は6000円です。
 前市長は区画整理を進め、道路を造ろうとしていました。頼高さんはそれを止め、市民の暮らしに重点を置き、借金を66億円削減しました。
 市長選挙では「蕨市は国や県から孤立」「補助金がもらえない」という批判も。しかし、国からの補助金は市長就任前の2006年に6400万円でしたが、17年には4・8億円に増えました。国保税を引き下げるには、私たちの声に耳を傾けてくれる市長を当選させるのが一番の近道です。

全ての国民に受療権保障を

京商連共済会専務理事 丹野妙子さん

 24民商中21民商が健診に取り組み、年800~1000人が受診しています。
 費用負担が大変で、健診をやめた民商もありました。早期に発見してこそ医療費も抑制できます。
 ある女性は、十数年前に健診で肺がんを早期発見して手術。しかし、2年前に受診料1万800円が払えず健診をやめました。2年後に肺がんが再発。悔しかったことでしょう。
 大腸がん検診で要精密検査の人に5000円の援助金を出しています。補助は陽性だけが対象ですが、擬陽性の人がポリープの手術をした例もありました。
 要精密検査104人のうち21人しか再検査を受けていません。昔は「仕事が休めない」という理由が多かったのに、今は「国保料を払うと医療費が払えない」という声も。これで、憲法が定める生存権・受療権が守られているのでしょうか。政府は医療費の抑制という。それなら負担を低くし、健診を充実すべきです。
 京商連共済会では昨年、99人の方が亡くなりました。大半は健診を受けておらず、発症から死亡まで1カ月以内が5割近い47人です。1年以内を含めると7割近くにも。誰もが安心して受けられる医療が求められています。

改善めざし行動提起

 「国保制度の改善をめざす国会内集会」(6月19日)で提案された「行動提起」は次の通りです。

 1、民医連の国保ビラなどの学習資料や全商連「国保提言」パンフなどを使った懇談・学習会を開催する
 2、全商連、民医連がそれぞれ取り組む「国保アンケート」を各地で推進するとともに、協調して記者会見を開くなど、結果を広く公表し、国保制度改善へ世論を喚起する
 3、減免制度や無料定額診療などを知らせ、活用を広げる
 4、国保料・税の軽減、制度改善に取り組むよう、自治体や国保運営協議会への要請、議会請願を共同して行う。社保協や国保をよくする会などとの連携も

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