国保料引き下げへ
参院選で審判を下そう

全国商工新聞 第3368号2019年7月8日付

公費1兆円で1世帯16万円の負担減に

 国民健康保険(国保)料・税の納付書が送付され、「高過ぎてとても払えない」と悲鳴が上がっています。しかし、安倍政権はさらなる値上げを推進。「骨太の方針」で市区町村が負担軽減に充てる「法定外繰入等の早期解消を促す」としました。全国商工団体連合会(全商連)は、公費1兆円の新たな投入で国保料・税の平均16万円の引き下げを提言。参院選での選択が、中小業者のいのちと健康を守る上でも重要になっています。

3年で4万円増に怒り

 「国保料は高過ぎる。アメリカから1機100億円を超える欠陥戦闘機を100機以上も買うなんておかしい。兵器爆買いより国保料引き下げが先でしょう」。東京・板橋民主商工会(民商)のSさん=エステ=は、怒りが収まりません。今年度の国保料は約23万9000円(単身)。前年度より9700円上がり、所得に占める割合は12%を超えます。
 「期日どおりには払えない。保険証が取り上げられると困るから、やりくりをして年度末までには払うようにしているけれど、負担は重い」と訴えます。

毎年連続値上げ

 区は今年度、所得割は下げましたが、均等割を引き上げたため、前年度比で一人当たり5254円の負担増に。低所得者や加入者が多い世帯ほど負担が重くなっています。
 東京23区では毎年、国保料の値上げが繰り返されてきました。とりわけ17年度は、それまでの10年間で最大の値上げとなり(一人当たり平均7252円)、板橋区役所には1200件ほどの苦情が殺到しました。
 Sさんも前年度の20万円から一気に3万円のアップ。「えっ、なんでこんなに上がるの?」と驚きました。民商の仲間から国保料は国庫負担金が減らされていることや、区も一般会計からの繰り入れを段階的に減らすために、さらに国保料が上がると聞き「冗談じゃない。とても払えない」と怒りが湧いてきました。

仲間と審査請求

 民商の仲間が、国保料取り消しを求めて都国民健康保険審査会に審査請求をすることを知ったSさんは「私もやる」と行動に参加。その中で、国保料が協会けんぽの保険料より高いことを知り、憤りを感じました。
「審査請求は棄却されたけれど、諦めない。今年はもっとたくさんの仲間に審査請求を呼び掛け、参院選では、国保料引き下げを公約に掲げる政党の候補者を国会に送り出したい」とSさんは声を大にします。

もう限界 政治変えねば

所得の2割超に

 「国保料の支払いは、もう限界」と悲鳴を上げるのは大阪・八尾民商のTさん=住宅設備。今年度の国保料は27万円(夫婦と子ども2人)。
 法定軽減(2割)が適用されても所得に占める割合は22%を超えます。
 売り上げが減少したため、10年ほど前から国保料が期日どおりに払えなくなり、市役所と相談して、新規分と滞納分を合わせて毎月4万円ずつを分納しています。「保険証を取り上げられたら、妻が通院できなくなるので、夜にアルバイトをして必死で払ってきた。でも、新たな国保料が発生して滞納は減らへん」と怒りをぶつけます。
 大阪府は昨年度から国保「府内統一化」を強行し、国保料・税と減免基準の統一や一般会計からの法定外繰り入れの禁止など厳しい基準を市町村に押し付けました。猶予期間(6年間)を設けたものの、24年度には完全統一をしようと、府独自の報奨金制度をつくって市町村に達成を競わせています。

値上げする維新

 八尾市では昨年度、法定外繰り入れをして国保料を据え置き、今年度も田中誠太市長(当時)は3月議会で国保料据え置きの意思を示し、「国保への国庫負担の増額を求める意見書」が採択されました。
 ところが、4月の統一地方選で大阪維新の会の大松桂右市長に代わってから国保料が大幅に値上げされました。所得200万円の世帯(大人2人)では、2万1000円増の36万円(軽減後)、所得450万円(大人2人)では4万6000円増の71万5000円(軽減後)となり、市役所の窓口や電話に苦情が殺到しました。
 「国保制度は所得がゼロでも、均等割や平等割の国保料が計算される、ひどい制度。国保料引き下げや制度改善は切実。参院選ではその願いを託せる政党を選択したい」とTさんは話しています。

Q 国保料・税 なぜ高い?

 国保料・税には「所得割」の他に、まるで「人頭税」のような「均等割」と「平等割」があるため、所得がなくても国保料が課せられ、高い国保料・税の要因になっています。
 政府の試算でも、国保料・税(一人当たり)は協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。国保料・税を滞納している世帯は269万、全加入世帯の約15%を占めています。正規の保険証を取り上げられ、病気になっても受診できず、死亡するなど深刻な事態も起きています。
 全商連は公費1兆円を新たに投入し、「均等割」「平等割」を廃止すれば全国平均(40歳代夫婦と子ども2人)で約16万円の負担軽減が可能と示しています(国保提言)。

日本共産党が公約

 参院選の公約では日本共産党が公費負担を1兆円増やして「均等割」「平等割」をなくすことを掲げています。

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