全国商工新聞 第3334号10月29日付
大阪社保協「自治体キャラバン」の対市交渉
大阪・羽曳野民主商工会(民商)はこの間、国民健康保険(国保)制度をめぐり羽曳野市と意見交換や交渉を進め、保険料の減免や引き下げを強く要求してきました。その中で、高所得者優遇につながる国保料の「前納報奨金制度」の問題点が浮かび上がっています。
同制度は、6月の納期に1年間の国保料を一括納付すると報奨金が交付されるもの。年間保険料を一度に支払う余裕がある高所得者に有利な制度で、他の自治体では「不平等だ」として次々と廃止に。大阪府内で実施しているのは羽曳野市だけです。
羽曳野民商は、市との意見交換会(8月29日)で「報奨金制度は高所得者の保険料を割り引くだけのもの。継続しなければならない理由はなく、直ちに中止してほしい」と要望。その財源を低所得者の保険料の軽減と減免制度拡充に振り替えるよう求めました。
同市の交付率(割引率)は年々引き上げられ、2014年度には以前の3倍(口座振替の場合は6倍)と、「さらにお得」(「広報はびきの」14年2月号)に。18年度にも、前年度の6.8%から9.45%に引き上げられました。一方、年間の費用削減効果は、わずか18万5000円とされます。
高所得者優遇の一方で、低所得者向けの減免制度は後退しています。
国保料の減免額の推移をみると、3億9200万円(08年度)から6600万円(17年度)と6分の1に減少。報奨金の増加とは対照的です。
保険料では、国が拠出した2億円の激変緩和財源を利用して18年度の保険料が昨年度より減額されたものの、65歳以上の単身者で所得金額104万円以下では値上げに。低所得者ほど保険料の負担が増えています。
羽曳野民商は8月の意見交換会で、保険料率の変更で今年度の保険料が値上がりした全世帯に対する減免▽一般会計からの繰り入れを来年度に実施▽9億円以上もため込んでいる基金の取り崩し-など、低所得者世帯向けを中心とした大幅な保険料引き下げを要望しました。これに対して市側は、「国保制度は加入者が支え合う制度。低所得者にも一定の負担をお願いしている」と述べるにとどまりました。