国保料(税)滞納処分 厚労省が都道府県に周知 差し押さえ禁止基準明記|全国商工新聞

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 国民健康保険(国保)料(税)の滞納に対する差し押さえ禁止の基準や、滞納処分の執行停止における生活困窮の基準について、厚生労働省が都道府県に周知していたことが明らかになりました。2017年7月~8月にかけて開かれた全国の自治体職員向けの「都道府県ブロック会議」で資料を示して説明していたものです。
→「都道府県ブロック会議」資料PDFはこちら

 資料では国保料(税)の徴収の流れとともに、差し押さえ禁止の基準について、1カ月ごとに10万円と滞納者と生計を一にする配偶者その他の親族があるときは、1人につき4万5000円を加算した額は差し押えることができないと明記しています。
 滞納処分の停止における生活困窮の基準についても、同基準額の生活になる恐れがある場合は、滞納処分の執行停止ができるとしてします。
 また、申請による「換価の猶予」について、財産の換価を直ちに行うことによって、事業継続や生活維持が困難になる恐れがある場合、申請に基づいて換価を猶予するとしています。
 この問題は17年6月8日、倉林明子参院議員(共産)が厚生労働委員会で、滞納処分の停止要件の額(月10万円、その他親族1人につき4万5000円)の周知徹底を求めていたものです。
 鈴木康裕保険局長は「徴収に当たっては、困窮の場合には滞納処分の停止の制度が適切に運用されることが重要。具体的な額も含め市町村に周知徹底していく」と述べ、塩崎泰久厚労相も「滞納処分の停止の制度を適切に活用することが重要」と答弁していました。
 4月から国保の都道府県化が始まり、国保料(税)の負担増が懸念されています。東京都内では区市町村が国保料(税)負担軽減のために行っている法定外の繰り入れを行わない場合、加入者一人あたりの国保料が2016年に比べ1・3倍になることが、都が行った試算で明らかになりました。
 国保料(税)が払えない場合は「換価の猶予」を申請し、滞納に対する差し押さえについては差し押さえ禁止基準を守らせ、生活が困窮する場合は滞納処分の執行停止を積極的に求めることが必要です。

生存権を脅かすな 倉林議員(共産)が実態告発

 倉林議員は1日の参院予算委員会で、生存権を脅かすような差し押さえの実態をあらためて告発しました。  東京都内の70歳の男性が病気の妻と引きこもりの息子と生活し、17万円の収入で月2万円の国保料が払えず、給料が差し押さえられた問題を取り上げ、「この家族の差し押さえ金額の限度は19万円、給与を差し押さえれば生活保護基準より下回り、生存権を脅かすような差し押さえはやってはならない」と追及しました。  加藤勝信厚労相は「事情に即したきめ細やかな対応が重要。生活を困窮させる恐れがある時は差し押さえの対象外とすることが大事」などと回答しました。

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