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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3087号9月16日付
 
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社会保障大改悪 世論と運動で反撃を

 これまで経験したことのないような社会保障の大改悪が消費税増税と同時に進められようとしています。社会保障制度改革国民会議がまとめた報告書は、社会保障のあらゆる分野で国民負担の大幅な増加と給付減、制度改悪を盛り込みました。8月21日には安倍内閣が改悪スケジュールを「プログラム法案」(図1)として閣議決定。来年から相次いで改悪法案を押し通そうとしています。今回の改悪の狙いとポイントを明らかにします。

図1

医療 患者負担を大幅増額 受診抑制狙う

 患者負担を引き上げることで受診を抑えて医療費を削減―。国民会議報告書が狙う医療分野の「改革」の内容です。
 当面、70〜74歳の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げることを求めています。対象となるのは、これから70歳になる世代。安倍内閣も2014年度からの実施を計画しています。
 窓口負担が2倍になれば、これまで受診していた高齢者が、受診を控えるようになることは明らかで、多くの高齢者の命に直結する問題です。
 報告書は大病院を受診する際の新たな負担増も求めています。
報告書は「緩やかなゲートキーパー(門番)機能」の名で、医療機関の紹介状なく大病院の外来受診をする際に、国が一定の定額自己負担を定めて徴収できるようにすることを求めました。
 現在でも200床以上の大病院に他の医療機関の紹介状なく受診した場合、病院ごとに特別料金を定めて上乗せすることができますが、これを制度化するものです。厚生労働省は「初診で1万円」を軸に検討。16年度からの実施を計画していますが、患者にとっては大きな負担となります。
 また報告書は入院の際の食事代の自己負担の増額も求めました。さまざまな医療にかかる負担を増やし、受診抑制を狙っています。

国保 広域化で保険料上げ 国の責任放棄

 報告書は「地域ごとの実情に応じた医療提供体制を再構築する」として、都道府県が「地域医療ビジョン」を作成することを求めています。併せて国民健康保険(国保)の財政運営責任を現在の市町村単位から都道府県に移行するとしています。いわゆる「国保の広域化」です。
 これによって国保に関する権限と責任を都道府県に集中させ、これまで国が担っていた責任を放棄し、都道府県単位での医療費削減を狙うものです。
 国保財政の都道府県への移行は、国保料(税)の大きな引き上げにつながります。都道府県内が同一の保険料(税)とすることで、同一県内のもっとも高い保険料(税)に合わせられることも考えられます。
 さらにこれまで市町村単位で行われていた国保財政への税金の繰り入れもなくなり、国保財政の悪化による保険料(税)の引き上げも予想されます。

介護 支援対象154万人削減 利用料増やす

 厚生労働省は2025年に介護にかかる国の支出が現在の9兆円から21兆円になるとの見通しを示しました。この試算を踏まえて、報告書は介護サービスの範囲の「適正化」による「介護サービスの効率化及び重点化」を求めました。
 「重点化」とは、介護サービスの範囲を狭めること。「効率化」とは介護にかかわる給付を削減することにほかなりません。
 その具体化として検討されているのは「要支援」該当者を介護保険の対象から外すことです。
 現在、要支援1と2に該当する利用者の合計は約154万人。報告書はこれだけの人数を、ばっさりと削ろうとしています。
 対象から外される「要支援」該当者は市町村が行う「地域包括推進事業」によって対応することが予定されていますが、利用料やサービス内容は市町村に委ねられます(図2)。
 さらに利用料の引き上げも狙っています。現在、利用料は所得にかかわらず一律1割負担。これを夫婦の年収で3百数十万円超の世帯で2割負担にすることを検討しています。

図2

年金 受給額が引き上げに 開始年齢は先送り

 年金は、今年の10月から段階的に2・5%の引き下げが決まっています。しかし報告書はさらなる給付削減の具体化を求めました。
 その一つは、04年に導入された「マクロ経済スライド」の実施。「マクロ経済スライド」(図3)とは、物価(賃金)に連動して増減する年金支給額の伸び率を、たとえ大きく物価(賃金)が上昇しても一定の比率(スライド調整率)の範囲内に抑える仕組みです。
 あらかじめ伸び率の上限が決められるので、給付額は大きく抑えられます。

図3

 現在は物価が下がり続けるデフレ下にあるために実施されていませんが、報告書はデフレ下においても着実に実施することを求めました。
 また年金支給開始年齢の引き上げも検討しています。現在は国民年金が原則65歳から、厚生年金の定額部分は男性で65歳、女性で62歳となっています。国民会議の議論で67、68歳または70歳からという意見も出されています。
 支給年齢が引き上がる一方で雇用を保障する仕組みが手つかずのままでは、多くの無収入の高齢者を生む恐れがあります。

全国商工新聞(2013年9月16日付)
 
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