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国民健康保険
高い国保料(税)に悲鳴
減免・分納求め自治体交渉
大阪・福島民商 生活はギリギリ
支払い相談会と区交渉
 高い国民健康保険料(税)に今、業者から悲鳴が上がっています。増税や国保料(税)の算定方法の変更などにより、低所得者や高齢者を中心に2〜10倍の大幅な値上げに。6月中旬に国保料(税)の決定通知書がいっせいに送付され、大阪市では6月末までに、12万4000人の国保加入者が各区役所に押しかけるという異常な事態になっています。なぜこんなことが起こるのか、実態と問題点をみてみました。

「こんなに高い国保料払われへん」と大阪・生野民商の国保料減免・分納交渉には200人がかけつけました(6月28日、生野区役所)
 大阪・福島民主商工会(民商)の川上幸男さん(仮名・86)=鉄工=は、国保料の決定通知書を見て驚きました。「昨年17万円だった国保料が27万円と一気に1・5倍、住民税などを含めればいきなり約19万円の負担増や。老年者控除もなくなり、年寄りは外に出ないでじっとしておれということですか。福島区には公営住宅もない。みんな生活ギリギリなのに」と怒り心頭です。
 飯島健次さん(仮名・58)=メリヤス加工=は「去年12万円だった国保料が今年は22万円。どう考えても払えず減免申請したが、わずか2万円しか認められなかった」と言います。
 福島民商では6月13日、全区民向けに「国保料減免申請相談会」の民商ニュースを4大紙に2万6500枚折り込み、6月15日から6月末まで区役所前で宣伝行動をおこなって1700枚のチラシを配布しました。
 15日から延べ8回の国保相談会には会員46人、会外から62人が相談に訪れました。相談にのった窪田幸光常任理事は「国保料の算定方式が所得割に変わり、一人ひとりの実態を知って本当に驚いた。市は激変緩和措置があるというが、老年者控除の廃止や年金控除の縮小などで上がった住民税を元に計算するため、国保料そのものが上がり、昨年の4倍にもなる人もいる。しかも激変緩和措置も2年後には無くなってしまう」と言います。
 7月4日の福島区国保課交渉と支払い相談には45人が参加。金山一男常任理事が、保険年金課長に申し入れ書を渡し、「私たちが一貫して主張している『払える国保料に』との声はこれまで以上に切実になっている。資格証明書、短期保険証の発行をやめること。生活保護基準の4割という低すぎる減免基準を改善せよ」と申し入れました。
 その後、参加者は「子どもの修学旅行に短期証を持っていかせるわけにはいかず、相当無理をして滞納した国保料を支払い、正規の保険証に戻した。こんなに上がったらまた払えなくなる」(40代の飲食業の婦人)、「減免基準が低すぎるし、妻の医療費が月8万円かかり国保料が払えない」(70代の年金生活者の男性)、「私は短期証だが、交換のたびに『状況をお聞きする』といろいろ聞かれるのが苦痛」(70代の縫製加工業の婦人)など、切実な状況を訴えました。
 支払い相談では、7人が減免になり、すべての人が支払える金額で毎月の納付額を決めることができ、7月から来年5月までの納付書を受け取りました。
 福島民商ではこのとりくみを通じて、2人の会員と9人の商工新聞読者を増やしました。
 民商では引き続き、国保料の相談会を全区民的に進めていこうと話し合っています。
区交渉 なぜアップか
大阪・生野民商 200人が参加
 大阪・生野民商は6月27日、生野区役所に申し入れ、国保料の分納・減免交渉をおこない、200人が参加しました。
 森野一志会長は「払える保険料にせず、市民に負担を押し付けている。みんなが分納・減免できるように職員は話を聞いてほしい」と訴え、要望書を区長に手渡しました。参加者からは「月7000円上がる。食事も切り詰め、風呂は三日に一度。とても払えない」「営業不振が続いているのになぜアップするのか」などの声が出されました。
市交渉 生活はどん底
神奈川・相模原民商 減免を申請
 神奈川・相模原民商は6月23日、高すぎる国保税の改善を求めて相模原市国保課と交渉し、23人が参加しました。
 参加者から「夫が脳梗塞で倒れ、高額療養費が払い戻されたが、国保税の滞納分に充当された。納得できない」「市は減免要件について前年比で急激に所得が減少した場合と言っているが、すでにどん底の生活。認めないということか」と抗議の声が上がりました。
 交渉終了後、その場で全員が減免申請書を提出しました。
引き下げと減免拡充求め
京都・上京民商が区交渉
 京都・上京民商では6月28日、高すぎる国保料の引き下げと減免措置の拡充を求めて、上京区役所への申し入れと交渉をおこない、42人が参加しました。
 小野栄男会長が参加者を代表して申し入れ書を読み上げ、高すぎて払えない国保料への中小業者の怒りを発言しました。
 参加者からは「135万円の収入で20万円もの国保料や。とても払われへん」「うちは70歳以上の2人暮らし。勘定しながら医者に行ってる。もう少し私らのことを考えてほしい」と訴えました。
市交渉 市職員も理解
兵庫・尼崎民商 納得の分納額に
 兵庫・尼崎民商は6月28日、安心して払える国保料を求めて「集団減免・分納申請行動」をおこない、民商や生活と健康を守る会の会員など75人が参加しました。
 市役所での分納相談では「4人家族、300万円の収入で61万円の通知にびっくりして参加した」との相談者に、市職員も「負担が重いのはよく分かります」と納得のいく分納額になりました。
 しかし、長年にわたり分納している人が納付額を増やすよう求められたこともあり、今後の交渉で是正を求めます。
新潟市で直接請求運動
民商や県連など「よくする会」市内民商が奮闘
新潟市内の民商も加盟する「新潟市の国保をよくする会」の直接請求署名行動
 新潟県商工団体連合会(県連)と県内の民主商工会(民商)も参加する「新潟市の国保をよくする会」は今、「高すぎる国民健康保険料の引き下げを実現しよう」と「直接請求」運動にとりくんでいます。
 周辺13市町村と合併した新潟市は、約1500億円も投入して、新潟駅再開発事業を計画する一方で、昨年突如、国保料17%の値上げを提案。値上げ反対の世論と運動に押され、引き上げ幅を9・4%に圧縮したものの、所得150万円以下の世帯が6割以上を占めるため、年20万円以上となる国保料はもはや負担の限界。「払うに払えない」高すぎる保険料となっています。
 そこで、「よくする会」は、国保値下げを求める条例案を市民が直接市長に提案するために、13万人(有権者の20%)の署名を集めることを決め、8500人の受任者登録の目標を掲げ、「直接請求」運動を開始しました。
 大小さまざまな「国保学習会」を開きながら、宣伝カーの運行や地域・街頭での宣伝行動をおこなうとともに、地域ごとに「よくする会」を結成。戸別訪問で受任者登録を呼びかけています。
 街頭・商店街での宣伝行動では、市民も「わずかな年金しかもらっていないのに、市民税の値上げに驚いたが、その上、国保料も上がるなんてとんでもない」などと怒りをあらわにし、多くの人たちが「直接請求」に関心を寄せ、次つぎと登録に応じ、7日現在、6000人を超える市民が受任者となっています。
 新潟市内の新潟・新津・豊栄・西蒲の各民商も「直接請求」運動の先頭に立って奮闘。新潟民商は「全会員が受任者に!」を合言葉に、班・支部を中心にとりくみを強め、現在830人の会員が登録しています。ある支部では、役員が手分けして会員宅を訪問。「医療費も高いのに、この上、国保の値上げなんてとんでもない」と対話が弾み、一気に30人の会員が登録しました。また、ある班会では、「よくする会」のパンフレットを読み合わせ、新潟市も他の政令都市並みに一般会計からの繰り入れがあれば、値上げを回避できることなどを学習し、班の全員が受任者になるなど、訴えれば訴えるほど運動の賛同者は広がっています。
 新津民商も支部役員会での訴えや会員訪問、市場などでの宣伝行動に精力的にとりくみ、受任者200人の目標ですでに120人以上が登録。ある会員は、自分の従業員全員に受任者登録を訴えました。また、コンビニ店の店長が「国保料は高い。頭にきている」と受任者になる、理美容組合の前理事長が署名を訴えるなど、思わぬところで運動が広がっています。
 さらに住民税の納税通知書が市民にいっせいに送付されてから、市民の関心が高まりました。老年者控除の廃止・定率減税の半減など庶民増税によって、昨年度の十数倍の県・市民税となり、市役所に問い合わせが殺到。7月中旬には、国保料・介護保険料値上げの確定通知書が市民に送付されたため、多くの市民は「もうこれ以上の負担増に耐えられない」と生活防衛のたたかいに立ち上がっています。「新潟市の国保をよくする会」は、こうした時期にこそ「国保料引き下げを」の訴えに共感が広がり、「直接請求」運動の飛躍をつくりだす絶好の機会として頑張っています。
「税制改正」で大幅増税
算定方式の変更が拍車
 06年度の「税制改正」による老年者控除の廃止や公的年金控除の縮減、定率減税の半減により、これまで住民税が非課税だった世帯でも課税されるなど、大幅な増税となり、国民健康保険料(税)が大幅に上がったとの悲鳴が全国各地で起きています。
 同時に、いくつかの自治体では国保料(税)の算定方式の変更がこれに拍車をかけています。大阪市では今年、世帯にかかる平等割を1万7475円アップした上に、国保料の算定方式を「市民税所得割方式」(住民税を元に所得割を算定。各種控除を考慮)から「旧ただし書き方式=所得比例方式」(所得を元に所得割を算定。各種控除は考慮しない)に変更。これらにより、今年から国保料の所得割がかかっていなかった9万1500世帯(国保加入者の約15%)に所得割がかかるようになり、低所得者や高齢者を中心に大幅に国保料が引き上がりました。
 今年度から「旧ただし書き方式」に変更した自治体は政令市では札幌市、静岡市、大阪市、大阪・堺市、福岡市、北九州市、中核市では千葉・習志野市などです。
 
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