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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3142号11月3日付
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経営
 

リーマンショックで仕事が激減 仲間の助言で盛り返す=東京・葛飾

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仕事に対して誠実に向き合うことが一番大切と語る橋本さん

仲間の“困った”に寄りそいたい
―― 奮闘するシルクスクリーン業者

 真剣なまなざしで印刷機に向かう東京・ 飾民主商工会(民商)の橋本光弥さん。シルクスクリーン印刷「スリー・アロー・プリント」を経営しています。「全ての仕事に対し全力で向き合い誠実に対応する」と語る橋本さん。その実直な性格を買われ4月から民商副会長に。十数年前、景気悪化による資金繰りの困難から多重債務に陥った時、支えてくれた民商の仲間への信頼を胸に、励まされた経験を今度は自分が返す番と日々奮闘しています。

1日2000個 手作業プリント

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スクリーン印刷の様子。版の上に延ばしたインクをヘラで押し出します

 橋本さんが1日に手掛ける商品の数は平均2000個以上、すべて手作業で、主力商品のエコバッグに印刷していきます。
 シルクスクリーン印刷とは、メッシュ状の版にインクが通過する部分と、通過しない部分を作り、通過する部分からインクを押し出すことで、素材にデザインや文字を印刷する技法のこと。オフセット印刷ではできないような紙や布などの素材や、表面が曲面状の素材でも適切なインクを選択することで印刷が可能です。
 橋本さんは「季節による温度や湿度の違い、手の角度、入れる力の強さなど、一つ一つを見極めて適切な力加減をしてあげないときれいにインクが乗らないんです。同じ素材でもインクの種類が変わることで、商品の出来上がりがまったく変わってくるので、毎日の仕事が勉強です」と語ります。

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次々と印刷される商品を手際よく金網に並べていきます

 橋本さんが「スリー・アロー・プリント」の前身、「有限会社橋本縫製」を手伝うようになったのは23歳のころ、父親の死がきっかけでした。当時大手アパレルメーカーの営業として働いていましたが、「父に代わり代表となった兄と、兄を支える母を助けよう」と、家業に入る決意をしました。
 「橋本縫製」はシルクスクリーン印刷の仕事に加え、ガーゼやタオル生地を仕入れて寝巻きやタオルなどの製造・販売なども手掛ける中小企業。東京の事業所以外に千葉にも工場を持ち、従業員13人を抱え、手伝い始めたころは経営は順調だったといいます。
 転機が訪れたのは1996年、タオルの納品先が納品直後に支払いを残したまま夜逃げし300万円を超える損害にあったことでした。以前から千葉の工場の商品管理が徹底されておらず、不良在庫を抱えがちであったことも重なり、会社の資金繰りは一気に悪化。バブル崩壊後の銀行の貸し渋りの影響もあり、仕方なく高金利の街金などの金融業者と付き合うようになりました。
 複数社からの借り入れはあっという間に膨れ上がり、給料が払えなくなるところまで、経営状態は悪化しました。経営を立て直そうと民商に相談し、入会したのもこのころです。
 98年11月2日、約束手形が不渡りになり、2日後には自宅兼会社が金融業者に不法占拠されました。住む家を失った橋本さんは妻と2歳になったばかりの娘を連れ、民商の事務所や親戚の家などで寝泊まりする日々を送りました。
 「妻子に危害が及ばないように、いったん離婚した方が良いんじゃないだろうかと、考えるほど絶望的な気持ちになった」と話す橋本さん。先の見えない絶望的な状況で、力になってくれたのは民商の仲間と、「苦労も一緒にして困難を乗り越える」と言ってくれた妻・栄美さんの支えでした。
 民商では橋本さんの事件を受け、当時急増していた多重債務問題を考える会を発足し、「あきらめなければ道は開ける」と励ましました。不法占拠も解決し、その後、橋本さんが兄から会社の代表を引き継ぐことになります。

青年部の活動が今の自分つくる

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民商の学習会で真剣に話を効く橋本さん

 会社経営について右も左も分からない中、申告や融資など民商に相談。「民商がなかったら今の自分はないと思う」といいます。同じ時期に青年部の活動にも顔を出すようになり、青年部長も務めました。「普段はなかなか話せない悩みや自分と違う意見や生き方を持っている若い経営者と交流できる青年部は本当に楽しかった」と話します。
 今年の4月に民商副会長を引き受けました。「民商は困ったときに助けてくれるだけじゃなく、自分という存在を認めて全力で応援してくれるところ。リーマンショックで仕事がなくなったときにも、『だまされたと思ってあと1年頑張れ』『仕事が来ないと待っているのではなく営業をかけ自分で売り込め』とアドバイスをくれたのは民商の仲間でした。恩返しのつもりで今度は自分が力になり、頑張る商売人を応援したいと思っています」と話します。
 副会長としての抱負も前向き。「若い人を増やし、元気のある民商にしたい。三役の中では僕が一番若いので青年部と民商の橋渡し役になり、会全体を盛り上げていきたい。そのためにはもっと勉強しなくては」と決意を新たにしました。

全国商工新聞(2014年11月3日付)
 
   

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