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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2893号 8月31日付
 
経営
 

5つの緊急要求で業者団体訪問=愛知

1万軒事業者対話大作戦=地域振興へ協力・共同

 「5つの緊急要求」で業者団体訪問・懇談を広げ、1万軒事業者と対話しよう―。愛知県商工団体連合会(県連)が県内民主商工会(民商)に提起している「思い切った行動提起」が「おもしろい変化」をつくりだし、「元気」をもたらしています。

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県商工会連合会の米田専務理事(手前)と懇談する太田会長(左端)ら
 県連の提起は、業者団体との懇談や事業所と対話を重ね、その要求を持ち寄り、秋の自治体交渉で実現を迫るという運動です。名づけて「1万軒事業者訪問・対話大作戦」。
 その第一弾として7月末、5日間にわたって取り組んだのが、関係省庁、業者団体への訪問・懇談でした。
 県連と11民商から、延べ49人が参加。全商連の「5つの緊急要求」パンフと商工新聞、署名用紙などが入った封筒を手に、51団体(4省庁1県、中部電力、45業者団体=表)を訪れました。

商工会連合会へ
 「一度会って話したかった」と太田義郎県連会長を出迎えてくれたのは、県商工会連合会の米田里司専務理事。民商との懇談は初めてのことでした。
 「太田さんは津具村(現設楽町)のトマトを食べたことあるかね」「あるよ。どえりゃうめゃトマトだった」
 地域おこし、食や農と商の連携にも話が進み、「厳しい今こそ、自分の仕事や経営を振り返る時だ」「後ろ向きな資金ではなく、前向きに資金を借りよう」などと意見交換。予定時間はアッという間に過ぎ、米田専務理事は別れ際「河村さん(名古屋市長)の次に好きだから、いつでも会いますよ」と送り出してくれました。

ホテル旅館組合
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県ホテル・旅館生活衛生同業組合の加藤事務局長(右端)と懇談する太田会長(左端)ら
 県ホテル・旅館生活衛生同業組合との懇談では、加藤忠則事務局長が「不景気に伴う客数の激減に加え、地デジ対応テレビの買い替えで数百万円の負担になる」とため息。「組合の会費も上げられない状態で、『なんでも相談しよう』という民商のまねをするしかないでしょう」と語りました。県クリーニング生活衛生同業組合の武笠成久専務理事は、「5つの緊急要求」について「結構なことだと思う」と評価。業界の現状についても活発な意見を交わしました。
 突然の訪問にも弾む対話―。その背景にあるのは「現状の厳しさと悩みの深さ」(太田会長)です。
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県クリーニング生活衛生同業組合の武笠専務理事(左端)と懇談する太田会長(右端)ら
 「かつては400軒あったが、現在は六十数軒。高齢化のため廃業も相次いでいる」(県家具工業組合)、「以前は100軒ほどあったが、今は四十数軒。中小企業者は大企業の犠牲になっている」(名古屋長者織物協同組合)などの現状。
 「だからこそ、業者団体の声に耳を傾けるだけでなく、苦しみを共有することが大事になっている」と太田会長は強調します。

深刻な倒産
 帝国データバンク名古屋支店によると、7月の東海3県(愛知、岐阜、三重)の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同月比で56・9%増の91件。このうち従業員9人以下の中小零細企業の倒産が83・5%を占め、件数は11カ月連続で前年同月を上回るなど、深刻な事態が続いています。
 県連・民商は3月以降、固定費補助、休業補償などを求め、対県交渉はじめ、県内61自治体のうち21自治体(このほか14自治体で予定)と交渉するなど運動を重ねてきました。
 地域全体をとりまく厳しさと閉塞感をどう打開していくか―。1万軒事業者訪問・対話活動は、その大きな方向として提起されたものでした。
 「大事なのは、民商だけの要求としてではなく、業者団体、事業所との懇談、対話活動を通じ、地域全体の要求として、行政にぶつける。1万人対話運動を通じ、そういう要求運動を作り上げることです」と、県連の鵜飼稔事務局長は強調します。

支部を中心に
 そのカギになるのが、「地域に密着した支部を軸とした活動」。1万軒対話といっても、支部ごとに見れば会員数分の事業所にあたります。中川民商が8日に行った対話活動では、14人が参加し、2人1組で50事業所と対話。どのグループからも「元気になった」「また訪問したい」などの声が寄せられました。
 篠昭中島支部の志村時雄支部長=金属加工=は「突然の訪問にも悩みや苦しみを打ち明けてくれる。楽しい活動だし、ぜひ支部でも取り組んでいきたい」と語ります。

訪問対話の展望
 連日、業者団体を訪問した太田会長は言います。
 「懇談を通じて強く感じたのは、業者団体と民商との協力・共同の可能性の広がり。しかしまだ、要求の『共通項』を見出せていない。懇談・対話を一度だけのキャンペーンに終わらせず、どう継続するか。1万軒の対話運動を成功させることが大きな要求運動をつくることであり、今、民商に求められている役割、存在意義ではないでしょうか」


 全商連の「5つの緊急要求」
(1)個人消費を拡大するため、消費税を直ちに減税するとともに社会保障予算を大幅に増やし、雇用を守る
(2)中小業者に必要な資金をまわす緊急対策を実施する
(3)自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し、中小業者の仕事を増やす
(4)大企業による一方的な下請け切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請け製造業の生き残りを支援する
(5)財源は、消費税増税ではなく、不公平税制の是正と大企業の内部留保を活用し、確保する
   
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