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大型店出店 市長が開発を「不許可」 熊本市
都市計画法を運用して
民商などの運動と世論の成果
 熊本市の幸山政史市長は10日、イオングループが熊本市佐土原地区に出店を計画している大型ショッピングセンターについて、「計画的なまちづくりをすすめる上で支障がある」として開発の不許可を発表しました。大きく広がった出店反対の世論と運動の大きな成果です。熊本民主商工会をはじめ商工会議所や商店街連合会が立場の違いを超えて立ち上がり、大型店の出店をストップさせました。

出店予定地の現地調査をする「考える会準備会」のメンバー
 熊本市長が不許可を決めたのは、都市計画法34条に基づいてです。「予定地は都市マスタープランで住宅地として位置づけられており、商業地としては整合性がない」「交通渋滞が都市圏に及ぼす影響も大きい」「中心市街地・商店街への影響が大きい」などをあげ、同法に基づき開発を許可する要件を満たしていないと判断しました。現行法の下でも出店を阻止できることを明らかにした画期的な決定に、喜びの声が上がっています。

歴史的な判断だ
 「熊本まちづくり協議会」(商工会議所、商店街連合会などで構成)の中心メンバーとして活躍した健軍商店街振興組合の釼羽逸朗理事長は「本当によかった。進出をストップさせるのは非常に難しいと思っていたが、情熱と信念を持ってとりくみ、商業者はもちろんのこと消費者も含めて、もうこれ以上の大型店はいらないという声が広がった。今回の決定は歴史的な判断」と満面の笑みを浮かべて話していました。
 出店予定地の近くに住み、反対運動にかかわってきた熊本民主商工会(民商)の緒方幹夫副会長(65)=製麺=は、「取引先の個人商店はこの間、廃業で減ってしまっている。これ以上の大型店出店は地域経済を根底から破壊してしまう。出店が不許可になって本当によかった」と決定を歓迎しています。
 この計画は敷地面積約23万平方メートル、店舗面積約7万3000平方メートルで九州最大級の店舗を建設する予定でした。05年3月に計画が明らかになってから、熊本民商は出店予定地周辺の地域住民や商業者に呼びかけ「大型店の出店を考える会」を発足させ、シンポジウムや学習会を開き、チラシなどで問題点などを訴えてきました。

現地調査をして
 反対運動は大きく広がり、商工会議所や商店街振興組合などが23万人分の出店反対署名を県、市に提出。一方、地元地権者を中心とした計画推進派も13万人分の署名を提出。出店予定地の佐土原では「佐土原地区への大型店SC出店を考える会準備会」が発足し、05年7月には共産党県議、市議、地元住民と出店予定地の現地調査をし、熊本市の担当者から出店計画の概要について説明を受けました。
 同準備会は昨年11月ごろから対策会議を開き、地域の商店街や個人商店、住民組織、著名人などを訪問・対話し、出店反対の運動に賛同を呼びかけてきました。06年3月には、国のまちづくり3法改正の内容と子どもの生活環境問題を中心とした学習交流会を開き、約80人が参加。地権者などの推進派も大挙参加し、激論を交わしました。次回、交通問題の勉強会をやろうと計画していた矢先に、今回の熊本市の不許可の判断が発表されました。
 イオンは、市長への不服申し立てや行政訴訟も視野に検討するとしていますが、「考える会」では、まちづくり問題の連絡会組織に発展させ、引き続き運動をすすめていこうと確認しています。(
 
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