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大型店
イオンなど4店舗 出店を阻止
長野市「商業環境形成指針」を適用
「農業も商業もつぶすな」
住民、商業者が自治体動かす
 長野市ではイオン系の超大型ショッピングセンターをはじめ4店舗が郊外に進出しようとしていましたが、4店舗とも出店をストップさせました。鷲澤正一市長が2月7日、臨時記者会見を開き、「出店は困難」との見解を示したものです。長野県商工団体連合会(県連)や長野民主商工会(民商)は地元住民や地権者とともに「大型店、街づくり、地域経済を考える長野住民ネットワーク準備会」(「住民ネット準」)を結成し、商店街とも連携して反対運動をすすめてきました。福島県のまちづくり条例や「まちづくり3法」の見直しで大型店を一部規制しようとする国の動きを加速し、幅広い商業者、住民らの運動が行政を動かしたものです。

イオンが出店しようとした篠ノ井地域。広大な農地が広がっています
 長野市が「商業環境形成指針」に基づいて出店を拒否したのはイオン(株)、(株)カインズ、(株)原信、(株)高見澤の各社が計画した四つの大型店。なかでも影響が最も心配されたのはイオンの計画でした。長野五輪のオリンピックスタジアムに隣接する農業振興地域を開発し、敷地面積は19ヘクタール、店舗面積も7ヘクタールと全国的にも例を見ない最大規模。これらの計画に長野市は出店拒否を突きつけました。
 「農業振興と環境保全を図る市の計画と合致しない」「地域経済に与えるマイナスの影響が広範囲に及ぶ」として、市は「大型店の出店は当面、既存市街地を中心とした出店に限定することが望ましい」と判断。出店手続きをすすめない方針を明らかにしました。画期的な決定に民商会員をはじめ市民、商業者から喜びの声が上がっています。

懇談する長野県商店会連合会の小林会長(左)と長野民商の宮沢会長(右)。お互いの運動をたたえ合いました
世論が行政動かす
 「住民ネット準」の世話人を務めた長野民商の宮沢栄一会長(56)=印刷=は「農業や商業がつぶされるとの危機感が市民や商業者の間で相当高まった。住民らが計画した大型店を考えるシンポジウムなどには商店街の役員をはじめ広範な人たちが集まった。今回の出店阻止は住民、商工業者の世論と運動が国や自治体を動かすことを証明した大きな成果」と確信を深めています。
 宮沢さんは決定を受けて2月13日、長野県商店会連合会会長(長野商店会連合会顧問)の小林俊雄さん(75)=青果物店=を早速訪問し、懇談しました。小林会長は「商店街は公的財産であり、よりよいまちづくりを求めるのは、そこで暮らし、営業する人たちの生きる権利。同時に、出店計画地は農地として守らなければならないところで、農業つぶしは許されない。農業従事者は零細業者と同様に国や自治体の公的支援が必要。出店をやめさせることができて本当によかった」と話していました。

各団体も反対表明

 出店計画が明らかになってから1年。反対運動は立場を超えて大きく広がりました。長野商店会連合会(会長=渡辺晃司氏)では大型店問題特別委員会を設置し、勉強会を重ねながら大型店の出店がまちづくりにどんな影響を与えるのかを市民に訴えました。とりわけ、イオンの計画は商業発展のみならず、都市機能を危うくすると1万5000人分の反対署名を集め、昨年10月、陳情書とともに鷲澤市長に提出しました。
 長野商工会議所も大型店出店に関して強く反対。地権者、商業者、建設業者、消費者、雇用者などあらゆる立場からの問題点を指摘したパンフレット1万部を配布しました。反響は広がり、市民から寄せられた意見の8〜9割が会議所の意見に賛成でした。
 塚田國之専務理事(60)は「日本社会が高齢化し、人口も減少し、経済はデフレ状態にある。そういうなかで広大な農地をつぶし、郊外に大型店をつくることは日本の社会、経済にとってどうなのか、その問題を市民に投げかけた。今回の決定は時代の流れに沿ったもの。出店をやめさせたのは当然の結果」と市の方針を歓迎しています。

 
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