「消費税10%に反対 複数税率導入やめよ」
税理士400人がアピール発表

全国商工新聞 第3349号2019年2月18日付

Photo
国会内で記者会見する「消費税10%増税・複数税率導入に反対する税理士の会」

 全国の税理士有志でつくる「消費税10%増税・複数税率導入に反対する税理士の会」は4日、国会内で記者会見を開き、約400人の税理士が賛同する「消費税10%への増税・複数税率導入に反対するアピール」を公表しました。その後の国会懇談会には、税理士や国会議員、議員秘書など延べ93人が参加しました。

中小の危機招く

 アピールは、消費税増税が物価を引き上げ、購買力を低下させ、貧困と格差を拡大し、中小業者を倒産・廃業の危機に追い込むと指摘。税率10%への増税や中小企業を危機におとしめる複数税率制度、インボイス制度導入の中止を呼び掛けています。
 会見では、賛同する税理士らが発言。前田信哉・全国青年税理士連盟会長は、消費税の価格転嫁問題に触れ、「消費税の引き上げで、立場の弱い中小事業者の経営に重大な影響を及ぼす可能性がある。滞納件数全体の59%を消費税が占めている」と訴えました。
 土屋信行・税経新人会全国協議会理事長は、消費税増税の一方、所得税、法人税の税率が下がり、減収になっていることを解説し、「所得税と法人税の税率は、ある程度戻すべきだ」と話しました。
 高橋千亜紀・東京青年税理士連盟会長は、複数税率制度に触れ「『軽減』の対象にならない水道光熱費や衣服費といった生活必需品は買い控えることができないため、低所得者の負担は増える」と強調。
 中川敦子・東京税経新人会副会長は、複数税率制度によって、8%、10%の帳簿区分による事務負担の増大を話し「『軽減』税率による恒久的な税収減で、さらなる標準税率の引き上げの可能性が大きくなる」と警告しました。
 浦野広明・立正大学法学部客員教授は、消費税と国債に依存する予算構造を批判し、「応能負担原則の基本は所得課税。所得税と法人税の見直しで約30兆円の財源を生み出し、社会保障の財源を確保するべき」と消費税増税反対の意思を表明しました。

野党統一政策に

 懇談会では、「消費税はなぜ悪税か」と題して、元静岡大学教授の湖東京至税理士が基調報告。輸出大企業の還付金や「軽減」税率で価格は下がらないことなどを指摘。ヨーロッパの付加価値税の抜本的見直しや、マレーシアの消費税廃止などの世界の流れを紹介し、夏の参議院選挙で野党統一スローガンの中心に消費税増税中止を据えるべきと力を込めました。
 10月消費税10%ストップ!ネットワークの呼び掛け人の一人、住江憲勇・全国保険医団体連合会会長・医師が連帯あいさつ。国民生活の安全・安心のために、安倍政権の退陣を求め、統一地方選挙、参議院選挙で意思表示することを訴えました。
 会場から「複数税率は、低所得者対策にならない。自民党の議員にも『よくない』と考える人がいる」(日本税理士政治連盟)、「商店街、商工団体、地元国会議員と懇談を行い、増税ストップを訴えてきた」(税理士・埼玉)などの発言がありました。
 行動提起として、税理士の賛同を引き続き求める、世論を盛り上げるために署名を集める、統一地方選・参院選で増税勢力の議席を減らす-などが確認されました。
 懇談会では、日本共産党の大門実紀史参議院議員、自由党の日吉雄太衆議院議員、日本維新の会の串田誠一衆議院議員、社会民主党の福島みずほ参議院議員が参加し、あいさつしました。

ページの先頭