消費税10%は経済を破壊する
景気冷やす最悪の増税

全国商工新聞 第3347号2019年2月4日付

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家計消費が伸びなければ経済は成長しないと訴える藤井聡・京都大学大学院教授

 安倍政権が10月から消費税を10%に引き上げることに国民・中小業者の不安と怒りの声が広がっています。「10%消費税が日本経済を破壊する」と訴えているのは昨年12月まで内閣官房参与を務めていた藤井聡・京都大学大学院教授。「消費税増税は凍結、消費税減税こそが最大の景気対策。法人税の引き上げこそ、最も検討すべき対策」と発信しています。藤井教授に話を聞きました。

ふじい・さとし

 1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授(都市社会工学専攻)。京都大学工学部卒、同大学院修了後、同大学助教授、東京工業大学助教授、同教授、イエテボリ大学心理学科研究員等を経て2009年より現職。12年から18年12月まで安倍内閣・内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。著書に『大阪都構想が日本を破壊する』(文春新書)、『「10%消費税」が日本経済を破壊する』晶文社)など多数。

減税こそ最大の景気対策

-10月からの消費税増税は凍結すべきとの理由はどこにありますか?
 いま、消費税を増税すると貧困と格差が拡大し、国の財政も悪化して必要な公共投資や社会保障費の確保も不可能になります。国民生活が先進国とは呼べない水準に下落することは間違いありません。
 消費税増税は、毎年の成長率を長期的に下落させます。成長率は極めて重要で、中国は7%ずつ成長していますので、10年ごとに所得が2倍に拡大しています。それに比べて日本は、成長率がジリ貧で経済が縮小しています。
 経済学的にいえば、消費税増税が一番ダメな理由は、成長率を長期的にかつ大幅に下落させてしまうことです。

デフレ続く日本

-日本がデフレに陥ったのは97年に消費税が5%に増税されてからと言われていますね。
 消費、物価、企業業績と投資、所得の全てが互いに循環的に影響を及ぼしながら同時に下落するというのが「デフレ不況」です(下の図)。日本ではGDP(国内総生産)の6割が家計による消費ですから、そこが伸びなければ経済はトータルに伸びません。

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 日本経済はこの30年間に4回ショックを受けています(グラフ1)。97年の消費税5%への増税、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、そして14年の消費税8%への増税です。
 リーマンショックや大震災より消費税増税の方が消費の下落は大きく、しかも影響が長く続き、元の状態に戻るのに時間がかかります。8%への増税が最も大きな影響を与え、消費の下落が今も続きデフレから脱却できていない中で、消費税を10%に増税すると「日本経済は破壊しますよ」と言っているわけです。

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-法人税や所得税についても言及されていますが…。
 国税の税収割合の推移を見ると、消費税が高くなる一方で、法人税や所得税が低下しています(グラフ2)。日本経済がデフレになった根源的な原因は、直接税(法人税や所得税)と間接税(消費税)の比率(直間比率)が変わったからです。間接税の比率が高くなったから、景気が冷え込んだわけです。直接税というのは景気を冷やさない。税金はお金持ちや利益があるところからたくさん取る。困窮している人からは取らない。困窮していようがいまいが、とにかく取るというのが間接税です。消費税は消費者にとって消費行動の"罰金"のようなもので、消費税を上げれば上げるほど消費にブレーキがかかり、デフレは進みます。

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法人税増税こそ

-逆に消費税が減税されると、消費は増えると。
 増えるでしょうね。理論的にいうと、たとえ消費が増えなくて消費税が5%に下がると実質物価は3%下落し、実質消費が3%拡大します。たくさんのモノが買えるようになる、という効果があるのです。ですから消費税減税は極めて効果が大きい経済対策です。
 デフレ脱却の本丸は、法人税増税と消費税減税です。これだけで日本は、あっという間にデフレから抜け出せます。
-しかし、政府は消費税増税の一方で、法人税を引き下げようとしています。
 法人税を引き下げるのは財界、とりわけ大企業の圧力があるからです。大企業も国民の一員ですから、大企業のための経済政策を展開する必要がありますが、99%が中小企業ですから、そこへの経済政策が必要です。大企業が栄えれば経済が栄えるというトリクルダウンは、間違いであることは証明済みです。
 「消費税増税を凍結したら、社会保障の財源はどうするんだ」という議論が必ず出てきます。しかし、消費税を増税すると税収が下がり、ますます社会保障に回らなくなります。社会保障費を捻出しよう思えば、減税して税収を増やすことが一番の近道です。

絶対に諦めない

-消費税増税を凍結させるための展望は?
 菅官房長官も「最終的な判断は予算成立後」と言っていますからね。普通に考えれば、消費税増税ができる環境ではありませんので、増税凍結の展望は十分にあると思いますよ。
 消費税増税はまだ決まっていません。そのことを知ってもらう。「増税は決まったでしょう」とみんな思っているわけです。大切なことは、絶対に諦めないことです。私も、消費税増税がどれだけ破壊的なのかを発言し続けます。

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