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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3235号10月10日付
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輸出大企業などに給付金 消費税収19兆円から6兆円も

輸出戻し税 トヨタなど12社に1兆円
 税率8%で1.5倍に 税収の31%失う
 中小業者が苦労して納めた消費税19兆円の3割以上、約6兆円もが国庫に入らず、還付金として輸出大企業に払われている輸出戻し税の実態を、元静岡大学教授・税理士の湖東京至さんが推計しました。輸出大企業12社だけでも還付金は1兆円を超え(2015年度)、輸出企業全体への還付金で毎年6兆円もの税収が失われています。還付金制度は輸出大企業の補助金だと指摘し、ヨーロッパの同制度廃止の動きを紹介する湖東税理士が解説します。

湖東 京至さん(元静岡大学教授・税理士)が解説

図

表1

 表1は、わが国を代表する製造業12社の消費税の還付金額を最新の決算書に基づいて推計計算したものです。還付金が一番多いのはトヨタ自動車で3633億円、2位は日産、3位はマツダ、4位はホンダと自動車産業が続きます。
 2014年4月から税率が5%から8%に上がったため、これらの大企業の還付金はぐんと増えました。財務省の予算書でも、輸出企業に対する16年度の還付金は税率8%に換算しておよそ5兆円が見込まれ、税率5%時と比べ1.5倍です(図下)。推算した12社だけでも年に1兆円強の還付金があります。
 輸出大企業は消費税を払わないばかりか毎年5兆円を超える還付金をもらい続けるのです。

還付金支払いで赤字の税務署も

表2

 表2は、消費税の還付金が消費税の税収を上回る八つの赤字税務署を赤字額の多い順に並べたものです。この数字は国税庁が発表した資料に基づいてつくったものです。
 これらの赤字税務署は管内の事業者が納めた消費税額より、還付金額が多いことを示しています。
 ここでもトヨタ本社がある愛知県の豊田税務署が赤字の1位。2位が日産本社がある神奈川税務署、3位がマツダ本社がある広島県の海田税務署となっています。
 豊田税務署の例では、管内の8168社が納めた390億円をはるかに上回る2753億円を341社に返しています。このうちトヨタ1社で2753億円の90%、2477億円をもらっていると推定されます。これは消費税の国税の税率6・3%の数字ですから、8%に換算するとおよそ3146億円になります。
 よく、「輸出企業は還付金をもらっているといっても、自分が払った消費税を返してもらうのだから得をしているわけではない」という人がいます。でも、消費税を実際に税務署に納めているのはトヨタではなく、下請け先や仕入れ先です。トヨタが税務署に納めたことは一度もありません。税金の還付というのは、自分が納めた税金が多かったとき返してもらうことをいうのです。他人が納めた税金を税務署を通じて返してもらうのは還付ではなく、国からの補助金です。

不公平の是正へ欧州で見直し案
 いま、ヨーロッパではEU委員会を中心に輸出還付金制度を抜本的に見直す動きが出ています。EU委員会は輸出還付金制度を悪用して不正な還付金を受け取っている詐欺集団がいるとして、輸出企業に対する還付金制度(輸出ゼロ税率制度)を廃止し、輸出企業にも輸出先国の税率で課税する仕組みを提案しています。ヨーロッパでこの提言が実施されれば、不正還付がなくなるばかりか、国の税収も確保することができ、標準税率を引き下げることも可能になるでしょう。
 EU委員会は輸出還付金制度の廃止とともに、ヨーロッパ諸国で広く採用されている食料品などに対する軽減税率も廃止すべきだと提言しています。軽減税率は国家間と事業者間に不公平を招き税収減になっていると指摘しています。
 諸外国で定着しているかに見える消費税=付加価値税ですが、いま本家のヨーロッパで抜本的な見直しの動きがあることに注目しなくてはなりません。

不公平極まりない税金

表3

 今回、新たに赤字ではないけれど、消費税収から還付している割合の高い税務署を調べてみました(表3)。
 2016年度の還付金額の見込み額は財務省の計算でおよそ5兆円となっていますが、これは還付金額であり、輸出企業への軽減分が別に1兆円程度あると思われます。そうすると合計6兆円ぐらい税収が失われていると推定されます。
 事業者が納める消費税額は税率8%でおよそ19兆円(2016年度財務省主税局の説明)。6兆円はその31.5%に相当します。
 消費税にある輸出還付金制度は税収を奪う上、企業間に格差をもたらす不公平極まりない税金だといえます。

全国商工新聞(2016年10月10日付)
 

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