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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3160号3月16日付
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税金 消費税
 

重税に驚きと怒り 10%は絶対に中止に

 消費税の税率が8%に引き上げられて初めての確定申告を迎えました。各地の民主商工会(民商)では相談会や班会が開かれ、消費税額を計算した会員から驚きと怒りの声が上がっています。安倍政権は大もうけを上げている大企業に法人税を減税する一方で、消費税増税でその穴埋めをしようとしています。「10%への引き上げは絶対に中止」「税金は大企業から取れ」の世論と運動を広げるときです。

飲食/年間負担が2.5倍に=大阪・福島

 「ある程度は覚悟していたけれど、これほど上がるとは」。大阪・福島民商のNさん=飲食=は計算した消費税の金額65万円に驚きました。昨年の消費税額42万円の1・5倍。さらに消費税額が48万円を超えたために中間申告と納税が必要になり、65万円を納めた上に、9月までに40万円を納めなくてはなりません。「消費税は小さな業者から売り上げと所得をむしり取る」とNさんは憤りを感じています。
 サラリーマンから16年前に独立し、紀州備長炭で焼く丹波地鶏の焼き鳥と鳥料理の専門店を開業。素材にこだわりつつ、サラリーマンが気軽に食べられるようにリーズナブルな金額に設定し、「気軽に来店してもらう」をモットーに営業してきました。
 店内はカウンター中心のこじんまりとした造りですが、予約なしでは入れないほど話題の店になりました。
 しかし、消費税増税によって事態は一変。値上げは3%以内に抑えましたが、客足が鈍るように。昨年12月、かき入れ時の売上額が前年を下回り、激しいショックを受けました。
 そんな中で迎えた確定申告。8%への引き上げにあらためて怒り、「消費税の10%引き上げはやめてほしい」と訴えています。

金属加工/商売続けられない=大阪・都島

 「えらいこっちゃ。消費税が1・6倍に増えた」と悲鳴を上げるのは、大阪・都島民商のOさん=金属加工。昨年、24万8800円だった消費税が今年は40万4500円に増えました。昨年は一度に納付できずに3回に分けて納付しました。「今年も資金繰りの見通しがつくかどうか…」と頭を悩ませています。
 独立して40年。地場産業のメーカーの2次下請けとして、兄弟2人で部品を加工してきました。業界は消費税の話題で持ちきりです。「10%に上がったら商売は続けられないと言っている。このままでは業界全体がなくなってしまう」とOさんは危機感を強めています。
 消費税増税に加えて円安の影響で金属材料費が高騰し、取引先からは連日のように金型代と工賃の引き下げを迫られています。
 「加工賃はもう下げられない。1個4円だった加工賃がリーマン・ショック時に2円80銭下げられた。これ以上、下がったら工場はつぶれる。10%への引き上げは絶対に許さん」と力を込めます。
 「10%なんてとんでもない」「このままでは商売を続けられない」「円安や株高で大もうけをしている大企業に減税をするなんて」と怒りが湧き上がる中、Oさんは「一番の景気対策は消費税を5%に戻すこと」と訴えています。

▽注 中間申告とは
 個人事業主の確定消費税額が60万円(地方税を含む)を超えた場合は、消費税および地方消費税の中間申告と、確定消費税額の12分の6とその25%の地方消費税を9月1日までに納めなければなりません(振替納税利用の場合は9月29日まで)

大企業に公正な課税を
税理士 菅隆徳さん
 安倍首相は法人税の引き下げを「成長戦略」の目玉にしています。ところが日本の大企業の実際の法人税の負担率は、法定税率よりもずっと低い上に、中小企業より軽いことが明らかになっています。資本金100億円以上は19.6%となり、資本金1億円以下の中小企業よりも低いのです()。
 さらに、09年度から13年度までの5年間で計算すると、この間の法定実効税率は37.3%から41%であるのに、トヨタ自動車22.7%、三菱商事6.2%、キヤノン24.7%と著しく税負担が低くなっていることが分かります。
 原因は大企業優遇の「租税特別措置」です。トヨタ自動車は08年度から12年度の5年間にわたり、法人税(国税分)を1円も払っていませんでした。リーマンショック後の赤字もありますが、課税所得から除かれる配当利益で9300億円も所得を圧縮。さらに算出された法人税額から、試験研究費の税額控除などで1000億円以上も減税されているためでした。2011年度だけを見ても、こうした大企業優遇の法人税減税は5兆円に上り、本来の法人税収15兆円の3分の1を占めています。
 「税金は支払い能力に応じて平等に負担する」という税の公平原則を犠牲にして、特定の大企業に税金をまけてやる不公平を正せば、消費税増税も、法人事業税の外形標準課税拡大による中小企業・赤字法人の増税も、必要ないのです。
 消費税の実質負担を考えてみると、庶民(消費者)は買い物のたびに8%を負担しています。中小企業は下請け単価や市場価格を支配できませんから、消費税を上乗せできない分は、自腹を切って消費税を税務署に払っています。競争力の強い大企業は消費税を価格に完全に転嫁できるため、実質1円の負担もしていないのです。
 法人税を下げて、消費税を増税し、社会保障は削減する。このアベノミクスの不公平を、国民はいつまでも許しません。

表 資本金階級別の法人税負担率(2012年)

全国商工新聞(2015年3月16日付)
 

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