強権的徴収許さない
滞納処分対策を交流

全国商工新聞 第3338号11月26日付

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滞納処分の実態交流や納税緩和制度を学んだ集会

 「滞納処分・差押問題東日本学習交流集会」が11日、都内で開催され、80人が参加しました。東京社会保障推進協議会(社保協)、中央社保協が共催し、全国の自治体で横行する強権的な滞納処分の実態やたたかいを学びました。
 吉野晶弁護士が基調講演。「滞納、即、差し押さえ」が原則的な対応になっている群馬県前橋市の実例を紹介し、「滞納処分は最後の手段であることが常識。まずは、納税を促す対応をすることが基本であり原則」と指摘。地方税の減免規定や納税緩和制度を解説し、▽経済事情が変わったら減額・免除申請を▽督促通知が来たら、すぐに納税相談を▽条件を満たしたら猶予申請を▽滞納処分の停止の活用も▽不利益処分に納得できなければ審査請求を-と呼び掛けました。
 特別報告では、角谷啓一税理士が猶予制度の見直しで新たにできた「申請型換価の猶予」や猶予制度の該当要件について解説。申請型は納期限から6カ月以内の比較的新しい税金に対して申請するもの。5年、10年の滞納については、職権型の対象になるため、法律の規定を行政に示すなど「あきらめず職権型換価の猶予を認めさせていく運動が必要」と訴えました。
 東京商工団体連合会(東商連)の池田克憲常任理事が実態報告。「納付相談に行くと、まず、どう喝まがいの対応をされる」「お客さんや従業員がいる前で差し押さえを執行する事例も」などと報告しました。
 運動交流では、「市民からの税金相談を議会で取り上げ、土建や民商とともに市と懇談し、丁寧な対応に変わってきた。職権型換価の猶予も、過去5年間で0件だったのが、今年度はすでに2件ある」(武蔵村山市議会議員)、「中小業者の実態を調査中だが、税金・保険料について、無理して払っている人が55.7%、生活費を削っている人が52.7%、経費を削っている人が24.7%いる。自治体職員は、個々の具体的内容に基づいて相談に乗るべき」(千葉県連)などの報告が。全国商工団体連合会(全商連)は、運動の中で勝ち取った申請型換価の猶予の意義を紹介し、2017年7月からの1年間で96.6%が認められたと報告。会場からは納税緩和制度の活用法や報告された事例に対する質問、滞納処分の事例が語られ、交流を深めました。
 中央社保協の山口一秀事務局長が閉会あいさつし、「滞納処分・差し押さえがさらに強まる可能性がある。今日の集会の内容を地域・職場に持ち帰り、滞納処分の学習や実態を交流することが大事」と訴え、来年2月3日に開催予定の西日本学習交流集会(福岡市)への参加を呼び掛けました。

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