全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3186号10月5日付
相談は民商へ
 
 
税金 徴税攻勢
 

マイナンバー対策 仕組みや問題点は? 民商で語り合おう

 マイナンバー(個人番号)法が5日に施行され、今月半ばから「通知カード」が送られてきます。各地の民主商工会(民商)は班会を開き、マイナンバー制度の仕組みや疑問などをざっくばらんに語り合っています。制度開始でどうなるか、中小業者はどう対応すればいいのか、都内下町の班会に集まってきた春さん、熊さん、冨さん、清さんが話し合いました。

photo



【登場人物】
春さん
 :20人を雇っている
  食品会社の社長
熊さん
 :妻と息子と一緒に仕事を
  する金属加工業者
冨さん
 :5人の職人がいる町場の大工
清さん
 :10人の従業員を雇用し、
  運送業を営む女性経営者


銀行口座も?!国が個人情報を収集・管理

資産状況も把握し税金の徴収強化へ

冨さん: 個人番号の「通知カード」は送られてきたかい?

熊さん: 個人番号って何だい?

春さん: 熊さん、知らないのかい。住民登録をしている全ての人に12桁の個人番号が付けられるんだよ。その番号を知らせる紙製の「通知カード」が、10月中旬から11月にかけて市区町村から住民票の住所に世帯ごとに簡易書留で郵送されてくるんだ。その個人番号は原則として一生変わらない。運用が始まるのは来年1月からって話だ。

熊さん: なんで個人番号なんか付けるんだ? まるで囚人扱いじゃないか。

清さん: 保険証や年金、パスポート、銀行口座などバラバラに付いている番号を統一して一人ひとりに個人番号を付けて国が一元的に管理するのよ。まさに「国民総背番号」だわ。国は個人番号を使って医療や介護、年金などの社会保障や税金に関する個人情報をつかもうというのよ。

熊さん: 情報をつかんでどうするんだい?

冨さん: 所得だけじゃなくて資産まで調べて税金や社会保険料をきちんと納めているか、「過剰や不正」な社会保険給付がないかをチェックして、社会保障費を減らすことを狙っている。

清さん: みんなは「個人番号カード」を取得するの?

熊さん: それは通知カードとは違うのかい?

冨さん: 希望者は通知カードと一緒に同封される個人番号カード交付申請書と顔写真を返信封筒に入れて郵送すると、2016年1月以降に個人番号カードが交付される

春さん: 個人番号カードはプラスチック製でICチップ入りのカードで氏名、住所、生年月日、性別、個人番号が記載され、本人の顔写真が表示されるんだろ。国は身分証明書になったり、e―Tax(国税電子申告・納税システム)などの電子申請、図書館の利用証、印鑑登録証などに利用できたりするって取得を勧めているよね。

情報が漏れる危険 業者に過大な負担

熊さん: じゃ、便利になるってことかい?

清さん: そうとも言えないのよ。個人番号カードを紛失すると番号や重要な情報が漏れて悪用される恐れがあるわ。

冨さん: 米国じゃ共通番号の社会保障番号が漏れて、本人に成りすます犯罪が増えて利用を停止したって話だよ。

春さん: 国は個人番号の利用範囲を今は社会保障、税金、災害防災分野に限っているけれど、利用範囲を増やしたいと思っているんだ。個人番号カードの取得が増えれば利用範囲が広がり、それだけ情報漏れや悪用が増えるってことだね。

冨さん: 政府は、制度が始まる前から預貯金口座やメタボ健診にも個人番号が利用できるように法律を変えたしね。

熊さん: カード1枚で俺の情報がつかまれるのは面白くないね。

春さん: 個人番号カードの取得は強制じゃなく罰則もない。交付申請しなくてもいいんだよ。

熊さん: じゃ、おれは申請しない。

冨さん: 法人にも番号があるって話だろ?

春さん: そうなんだ。国税庁が13桁の法人番号を付けてインターネットで公表する。法人番号を付ける目的の一つは社会保険に加入していない事業者をつかんで強制的に加入させるためだって。

熊さん: ますます保険料の徴収が強まるな。

マイナンバー制度実施の流れ

冨さん: 大変なのは、個人番号を扱う事業主が「個人番号関係事務実施者」にされて、アルバイトを含む全ての従業員とその家族の個人番号の取得、提供、保管、廃棄が義務付けられるってことだよ。

春さん: うちは従業員が20人いるだろ。その家族が平均3人とすれば60人の個人番号を扱わなきゃいけない。個人番号を扱う担当者を決めて番号を書いた書類は金庫に保管する。番号情報がパソコンから流出しないようにセキュリティー対策を立て、安全に管理するための基本方針と規定を作ろうと思っている。

熊さん: そりゃ、お金も大変だし、時間もかかるじゃないか。

憲法13条に違反 延期・廃止の運動を

冨さん: うちは職人も個人番号カードは持たないって言っているし、しばらく様子をみようと思っている。清さんのところはどうするんだい?

清さん: 私は従業員に一応、個人番号を聞こうかと思うけど、従業員が個人番号を教えたくないといえば、それ以上は聞けないわ。その経過を記録しておかないといけないらしいけど…。

熊さん: うちは家族だけだから、番号収集・管理はないけれど、取引で提出を求められたり、求めたりするのが不安…。

冨さん: 罰則があるって聞いたけど?

清さん: 罰則が適用されるのは、個人番号を不正に取得したり故意に漏らしたりした時だよ。

熊さん: 確定申告書に個人番号を書かないといけないのかい?

春さん: 個人番号が書いていなくても確定申告書を受け取るって、税務署交渉で回答していた。

清さん: きょうは来て良かったわ。民商の班会はいいね。情報がつかめるし、話し合って対策を考えることが大事ね。

熊さん: こんな制度はいらないよ。運用まで時間はある。制度の廃止・延期を求める署名をたくさん集めて、仲間を増やして実施させないことだ。

冨さん: そうそう、熊さんもたまにはいいこと言うね。個人番号で国民を管理するなんて憲法13条(個人の尊重)に違反している。それに番号を使っての税金の徴収強化は戦費調達の体制づくり、戦争する国づくりを進める戦争法強行と一体だ。みんなの力で廃止させるぞ。

全国商工新聞(2015年10月5日付)
 

相談は民商へ
ページの先頭