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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3038号 9月10日付
 

社会保険料が払えない 納税緩和措置で困難突破を

「社会保険料が払えない」と小規模事業者から悲鳴の声が上がっています。滞納を理由にした売掛金などの差し押さえも横行しています。売り上げが大幅に減少する中で、社会保険料は大変な負担。しかも社会保険料率は大企業ほど負担割合が低く、小規模事業所ほど重い負担になっています。各地の民主商工会(民商)は社会保険料の支払いに苦しむ小規模事業者の相談に乗り、一緒に解決の道を探りながら経営を守っています。

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分納で困難突破
兵庫・兵庫民商 野畑多恵子さん

 「税金も社会保険料も払えず、本当に苦しかった。そのことを税理士や社会保険労務士に相談しても何も教えてくれず、年金事務所では『お宅はもう駄目じゃないの』と言われ、針のむしろだった。夜寝て、そのまま死ねたらいいのにと何度思ったことか」。神戸市内で飲食店を経営する野畑多恵子さんは、1年半前のことを振り返ります。

 インターネットで検索し、野畑さんが兵庫県商工団体連合会(県連)に駆け込んだのは昨年1月。社会保険料が360万円、国税、地方税を合わせて420万円(延滞税など含む)が払えず、銀行からの借り入れは3400万円に膨らみ、店舗は税務署に差し押さえられていました。すぐに兵庫民主商工会(民商)に連絡を入れると、業者訪問をしていた村上健次会長=酒販=が飛んで来ました。

 「4年前、30メートル先に競合店が出店してから売り上げが半減し、税金や毎月50万円の社会保険料が払えなくなった。それでもお金をかき集め、質屋にも通い、少しずつ納めていたけど、もう限界、死にたい」。野畑さんは苦しかった思いを一気に吐き出しました。

 「つらかったね。一緒に解決しよう」。村上会長の言葉を聞いた野畑さんは「相談できる人たちにやっと出会えた」と思った途端、大粒の涙があふれ出しその場で民商に入会しました。

 村上会長はすぐに事務局と相談し、野畑さんと一緒に対策を考えました。借入金の返済は元金据え置きに、地方税は「換価の猶予」を申請し、認められました。国税と社会保険料は「納税の猶予」(最長2年)を申請するかどうか悩みましたが、野畑さんと相談して納税猶予では支払うめどが立たないと判断。年金事務所や税務署と交渉し、社会保険料は10万円、国税は20万円を毎月分納することにしました。

 野畑さんは現在、毎月20日になると事務局と一緒に税務署、市役所、年金事務所を回って約束通り分納しています。

 「今でも経営や暮らしは厳しいけど、苦しみを分かち合える仲間に出会えたからもう前を向いて歩ける」。野畑さんは笑顔を取り戻して困難を乗り越えようとしています。

延滞金の免除を
神奈川・川崎中原民商 柳沢芳信さん

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延滞金に憤りを感じている柳沢さん

 神奈川県横浜市にある有限会社柳沢精機の代表取締役・柳沢芳信さんも社会保険料の支払いに苦しんでいます。川崎中原民商の会員です。ハイレベルな職人の技と、特殊技術を持った企業とのネットワークを生かした精密な金属加工を手がけ、10人の正社員を雇用し、厳しいながらも経営を続けていました。

 そこに襲いかかった08年のリーマン・ショック。仕事がパタッと止まり、1カ月1200万円の売り上げが400万円にまで落ち込みました。休業を余儀なくされ、雇用調整助成金を活用しながら雇用を維持しました。

 重くのしかかったのが毎月100万円の社会保険料。会社を訪ねてきた年金事務所の職員に会社の状況を説明し、少しずつ納めるようにしました。

 しかし、売り上げは思うように回復せず、毎月資金繰りに追われ、社会保険料の滞納額は一時1800万円に膨らみました。「いつまでも、このままにしておくのはまずい」。経営者としての責任を感じた柳沢さんは社債を募集して親戚や友人から資金を集め、全額を納付。その翌日に東日本大震災が起きました。

 緩やかに回復していた売り上げは再び落ち込み、またもや社会保険料が払えなくなりました。行き詰まった柳沢さんは銀行と相談。毎月の返済額を200万円から50万円に減額して資金繰りを改善し、社会保険料の支払いを再開しました。

 気がかりなのが185万円もの延滞金です。催促されることはありませんが、それでも「経営が赤字で、払いたくても払えない企業に延滞金を課してむしり取るようなやり方は納得できない」と憤り、「必死で従業員を守っている企業には延滞金の免除を」と話しています。

民営化を契機に差し押さえ急増

 社会保険料の徴収が強まった背景には、国が社会保険庁を廃止(民営化)し、2010年1月1日から日本年金機構をスタートさせたことがあります。職員の中からは「成績主義がさらに強まり、払えない事業者への差し押さえ件数の目標が職員に課せられ、ハッパをかけられている。達成できなければ賃金の上げ幅にかかわってくるので、やらざるを得ない」との声が上がっています。

 滞納を理由にした差し押さえ件数は8433事業所(2011年9月末)に上り、前年から3010件増加。「従業員の給与に充てる売掛金が差し押さえられた」「売掛金が差し押さえられ、取引停止になった」などの事態が発生しています。

納税緩和措置 社保にも適用

 全国商工団体連合会(全商連)はこの間、厚生労働省と交渉し、(1)中小・小規模企業への保険料率の引き下げ(2)延滞金(14・6%)の大幅引き下げ(3)納税の猶予の適用(4)売掛金の差し押さえをしない―などを求め、「将来の見通しを丁寧に聞きながら計画的分納相談に応じる」などの回答を得ています(2011年1月28日)。

 社会保険料は国税と同様に分納などができる「納税緩和措置」((1)納税の猶予(2)換価の猶予(3)滞納処分の停止=別表)が法律で明記されています。

 各地の民商では「生きることが優先する」と主張し、「納税緩和措置」を社会保険料にも適用することを求め、成果を上げています。また、延滞金については「滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合」を適用させ、徴収させないことが必要です。

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解説 社会保険料負担が中小企業の経営圧迫
社会保険労務士 曽我浩さん

滞納処分の回避へ請願権活用し交渉

 社会保険料の収納率は97%といわれていますが、滞納事業所のほとんどが中小零細企業です。平成23年度の滞納事業所はとうとう18万6805事業所に上り、社会保険に加入している事業所の1割を超えてしまいました。

 一方、厚生年金保険料率は毎年値上がりし(平成24年9月から16・766%)、健康保険も中小企業が加入する協会けんぽは全国平均10%になっています。労働保険料も含めると給料の3分の1近くになります。

 社会保険料は労働者負担分もありますが、中小企業の経営を圧迫することは間違いありません。3カ月も滞納すると1カ月分の給料相当額になってしまいます。この状態が続けばますます滞納事業所は増加します。年金事務所の職員に聞くと、かなり効率的に売掛金などの差し押さえをするように厚生労働省から指導されています。

仲間と行動を

 滞納処分をされそうになったら全国商工新聞にも紹介されているように仲間の協力を得て年金事務所などと交渉することが大切です。年金事務所も「お客様への約束10カ条」を公表し「お客さまの立場に立ち誠意をもって対応します」と言っていますので、誠意ある対応を求めましょう。この際、憲法で保障された請願権を活用し、要求や経営実態を請願書にまとめて提出したらどうでしょうか。

 民間保険は(1)たくさん保険料を支払う人はたくさんの給付を受ける(2)危険な人ほど保険料が高い(3)保険給付は集めた保険料で賄う-という原則があります。国民皆保険がないアメリカの医療がいかに残虐なものかはマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」で明らかです。だからこそ憲法で掲げる「健康で文化」的な生活を送るために、社会保障の原則に沿った社会保険が必要なのです。

 社会保険は給料が100万円の人も10万円の人も医療の内容は同じです。65歳以上の人は、65歳未満の人と比べて医療費が4倍かかるといわれていますが、ほとんど病気をしない20歳の若者と給料が同じなら保険料は同じです。これが国民皆保険制度です。政府は税金を投入してこの制度を保障しています。これは民間保険にはありません。

格差が広がり

 一方、最近、大企業の健保組合と中小企業が加入する協会けんぽの格差が広がっています。国会で明らかになりましたが、NHKの社会保険料の負担は協会けんぽの約半分の5・35%です。

 また、厚生年金保険料の標準報酬月額の上限は62万円です。中小企業の社長と、年間約10億円の報酬を得ている日産社長のカルロス・ゴーンと保険料が同じというのはいかにもおかしいのではないでしょうか。社会保険料についても応能負担の原則をきちんと適用させ、国庫負担を増やすことが求められます。

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全国商工新聞(2012年9月10日付)

  1. 法人事業者(株式会社、有限会社、財団法人等)の場合

    事業の種類を問わず、従業員がいれば(社長1人でも)強制加入が適用されます。

  2. 個人事業者の場合

    1)任意適用事業所(健康保険・厚生年金の加入が任意)

    1. 従業員が5人未満の個人経営の事業所の加入は任意です。
    2. 個人経営で常時5人以上の従業員を使用する以下の事業所は任意適用を受けれらます。
      1. 第一次産業(農林水産業)
      2. サービス業(理容・美容業、旅館、飲食店、料理店、クリーニング店等)
      3. 士業(社会保険労務士、弁護士、税理士等)
      4. 宗教業(神社、寺等)

    ※【任意適用を受けるには】
    事業主がその事業所の従業員の半数以上(2分の1以上)の同意を得て、厚生労働大臣(実際は地方社会保険事務局長)に任意加入の申請をし、認可を受ければ加入を希望しない人も含めて健康保険に加入することができます。

    2)強制適用事業所
    常時5人以上の従業員を使用する上記A ・B以外の「一定の事業所」(※2)は、強制加入が適用されます。

    ※2 法定16業種
    「工業、鉱業、エネルギー業、運送業、貨物荷役業、商店、金融保険業、保管賃貸業、媒介斡旋業、集金案内広告業、焼却・清掃・屠殺業、土木建築業教育・研究・調査業、 医療、通信報道事業、社会福祉・更生保護事業」

詳細は特設ページでご覧ください

お電話でのお問い合わせは 03-3987-4391
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