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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3021号 4月30日付
 
税金 徴税攻勢
 

不当な税務調査に異議申立 重加算税266万円全額取り消し=岐阜・岐阜北

 全国で、納税者の知識不足につけ込んだ税務署の不当な税務調査が広がっています。岐阜県瑞穂市の村瀬彰生さん=断熱保温板金=は、税務署員に指図されるまま脱税扱いにされ、重加算税を課せられました。岐阜北民主商工会(民商)に入会し、支部の仲間とともにたたかい、重加算税266万円全額を取り消させ、「脱税扱い」のぬれぎぬを晴らすことができました。

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重加算税の取り消しをかちとった岐阜北民商の村瀬さん夫妻(前列右から2人)と伊藤会長(その左)ら役員

 「税務署員の対応が丁寧だったので、言われるがままに申告書にも印を押してしまった。まさか重加算税がかかるなんて思ってもいなかった」と話す村瀬さんが税務調査を受けたのは2010年8月25日のことでした。

質問てん末書?
 調査に当たった税務署員は、村瀬さんが税務申告の知識がないのをいいことに、意図的に脱税していたかのような質問てん末書を作成しました。10月14日にそのてん末書をもとに作成した所得税5年分〔05(平成17)年〜09(平成21)年分〕、消費税2年分〔08(平成20)年〜09(平成21)年分〕など追徴700万円程の申告を金額の説明もなく強要し、印を押させました。その結果、重加算税約266万円に加え、地方税と延滞金とを合わせた税額は総額1400万円にも上りました。

民商に入会し権利を学んで

 「とても払えない」と困った村瀬さんは、以前新聞に折り込まれていた「なんでも相談会」のチラシを頼りに民商事務所を訪れました。脱税扱いする不当な調査を許さないために一緒にたたかおうと励まされた村瀬さんはその場で入会。瑞穂支部では繰り返し学習会を開き、「納税者の権利」を学ぶなど対策を重ねました。
 村瀬さんは11年1月、税務署に重加算税について異議申立書を提出。3月には村瀬さん夫妻と民商役員ら5人が口頭意見陳述を行い、伊藤公夫副会長は「足が震えたが、村瀬さんのために権利主張をとことんやろうとみんなで話し合いました」と言います。
 陳述に先立ち2月23日には7人で税務署交渉を行い09年分の所得税と消費税について更正請求書を提出。4月6日の異議決定では重加算税の一部取り消しをかちとりました。しかし、所得税、消費税については棄却されたため、4月26日、国税不服審判所へ審査請求を行いました。
 10カ月の審査の結果、「意図的な仮装・隠蔽(脱税)ではない」ことが認められ、村瀬さんは今年2月22日付で所得税、消費税の重加算税の全額取り消しの裁決を受けました。
 「もっと早く相談していれば良かった」というのは村瀬さんの妻・ひとみさん。「もし民商に相談しなかったら商売も続けられなかったし、自殺していたかもしれない」と署員の対応に怒り心頭です。

チラシ

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瑞穂支部の対策会議

税務署を断罪
 早野幸広事務局長は今回の結果について「同じ現場の審判官から見ても、岐阜北税務署が納税者にいかにひどい調査を行って重税を課しているかが明らかになった。会員外からの相談が増えている中で、民商としても新たなたたかいの教訓をかちとれた」と強調しました。
 伊藤次雄会長は「村瀬さんがあきらめず頑張ったからこその成果です。これは納税者を脱税犯扱いし税務調査を進める岐阜北税務署の体質そのものが断罪されたもの。まだ本税の更正を求めたたたかいは続いている。調査内容そのものの撤回を求め引き続き支援したい」と語っていました。
 村瀬さんは「税務署の言いなりになってしまう人は多いと思う。他にも被害者がいるはず。同じ目に遭わせないため頑張るので、ぜひ民商に相談してほしい」と支部の役員を引き受け、たたかう決意を新たにしています。

▼重加算税 =仮装隠蔽がある場合に、増加本税に対し、過少申告または不納付は税率35%、無申告は同40%が課される。
▼質問てん末書 =税務調査官の質問と納税者の応答を記録する税務署内の書類。納税者に「不正の意図があった」ことの根拠にし、重加算税やその後の訴追の証明にしようとする意図で、納税者の署名捺印を強要する事例が増加している。法定外文書。納税者に作成や署名の義務はない。

全国商工新聞(2012年4月30日付)
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