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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2888号 7月20日付
 
税金 徴税攻勢
 

不当に差し押さえた児童手当を返還せよ=鳥取

 国や自治体による滞納処分が強まる中で、年金など差押禁止財産の差し押さえが相次いでいます。鳥取県は昨年6月、国税徴収法や児童手当法でも差押禁止財産とされている「児童手当」13万円を差し押さえました。県は98年2月の最高裁判例を根拠とし、処分を正当化。県議会や国会での追及にもかかわらず返還を拒否しています。立正大学教授で税理士の浦野広明さんは「生活存続預金の差押えは憲法違反」と主張。日本大学名誉教授の北野弘久さんは「差押え禁止は憲法25条の直接要請」と生活費などの預金差し押さえは不当と指摘しています。

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 鳥取民主商工会(民商)会員のTさん(35)=宅建=の「児童手当(4カ月分)」が県税事務所に差し押さえられたのは昨年6月。預金口座に振り込まれて9分後のことでした。
 「振込 トツトリシ ジドウテアテ 130,000」のすぐ下に「ケンゼイジムシヨ 130,073」とあり、残高が0円になった預金通帳にあ然とするTさん。児童手当は、子どもが通う高校と小学校に滞納していた教材費と給食費を支払うためのものでした。
 Tさんは病弱な妻と認知症の父親、子ども5人の8人家族。本業の収入が激減し、夜間警備員などのバイトでしのぎましたが、05年度からの個人事業税や自動車税約24万円が滞納になりました。
 県は差し押さえ実行までに、3回の電話と4回の面談で実情をよくつかんだうえでの処分だったと主張しますが、Tさんは「徴収官から生活の実情を聞かれたことはなかった」と反論します。
 家族の医療費と教育費の支払いで頭がいっぱいのところへ、突然襲い掛かった血も涙もない税の徴収に途方にくれるTさんは、民商に入会。
 Tさんは6月4日、差し押さえた「児童手当」の返還を求めて不服審査請求を行い、鳥取県民主商工会連合会(県連)や全国商工団体連合会なども参加し交渉を重ねました。県議会や国会の衆参両議院でもこの問題が取り上げられ、与謝野馨財務相は「支給されたものが使用できなくなることも禁止されていると解釈する」と明言しました。
 一方、平井伸治県知事は「差押禁止財産であっても預金口座に振り込まれると受給者の一般財産に混入し、識別できなくなる場合にまで差し押さえを禁止できない」という98年の最高裁判例を根拠に処分を正当化。児童手当を返還していません(7月13日現在)。
 県連・民商会長の奥田清治さん(39)は「憲法が保障する生存権の問題だ。さらに運動を強める」と話し、Tさんも「国会質問を見て感動した。泣き寝入りせず、頑張りたい」と決意を述べています。


子どもに使うべき
 与謝野財務相


違法差し押さえ 衆参両院で追及
 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は4月17日、財務金融委員会でこの問題を質問。「児童手当法は児童手当の差し押さえを禁止している。明確な違反ではないのか」とただしました。
 与謝野馨財務相は、児童手当は子どもの養育に使うという目的に達せられるべきものだと答弁。禁止されている「権利の差し押さえ」は、受給者が差し押さえによって「支給されたものが使用できなくなるような状況にすることもまた禁止されているというふうに解釈することが正しい」と明言しました。
 財務省答弁を受けて、山口岩国市では、差し押さえた児童手当を返還しました(本紙6月1日号既報)。
 日本共産党の仁比聡平参院議員は6月22日、決算委員会で質問し、滞納者の実情を正確につかまずに預金を差し押さえたことを非難。差し押さえ正当化の根拠としている最高裁判決は「(差押禁止財産が)一般財産に混入してしまった事案であるが、それでも差押禁止の趣旨はきちんと考慮されなければいけないと評価している」ことを指摘した上で、今回は差押禁止財産と識別できたと主張。滞納者の実情もつかまずに差し押さえる行政はやめるべきだと追及し、児童手当の返還を求めました。
 与謝野馨財務相は「法律は厳格に適用しなければならないが、個別の事情に応じた相当性のある判断が求められる」と述べ、佐藤勉総務相は「(指導を)検討したい」と答弁しました。

県議会でも追及 「検討する」
 県議会では6月23日、日本共産党の市谷知子県議が前日の国会審議を踏まえ、児童手当の返還を要求。平井伸治県知事は「国からの指導があれば検討する」と回答しました。
   
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