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税金 徴税攻勢
 

※以下の文書は、国税庁への情報公開の手続きによって明らかになったものです。一部不開示部分は(不開示)と記入してあります。



滞納処分の停止に関する取扱いについて(事務運営指針)

平成12年6月30日
国税庁長官


 滞納処分の停止に関する取扱いについて、別添のとおり定めたから、今後はこれにより適切に処理されたい。 (趣旨) 滞納処分の停止の趣旨を踏まえ、滞納処分の停止事務を適正に処理しつつ、その効率化を図るため、滞納処分の停止処理に当たっての具体的な手続を定めるものである。

別 添

滞納処分の停止事務の取扱いについて

第1 基本的な考え方
 滞納処分の停止は、滞納者につき国税徴収法(以下「徴収法」という。)第153条第1項に定める事由に該当するときに、その者についての滞納処分の執行を停止するものであり、納税の猶予等の猶予措置とともに、納税緩和措置の一環をなすものである。滞納者の納付すべき国税については、租税負担の公平を実現するためにも、その確実な徴収に努めなければならないが、一方、滞納者について滞納処分の停止に該当する事由があるにもかかわらず滞納処分の停止を行わない場合には、納税緩和措置の適正な執行という観点から不適切であるのみならず、滞納処分の執行を続行する意義がない事案の管理等のために事務量を投入せざるを得ないこととなるなど、事務の効率化にも反することになり、全体として、滞納整理における確実な徴収にも支障が生じることになる。
 したがって、滞納整理に当たっては、滞納者の実情を把握し、その実情に即した処理を的確に実施し、その結果、滞納者について、滞納処分を執行することができる財産がない場合、又は滞納処分を執行すれば滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがある場合など徴収法第153条第1項に定める事由に該当するときには、遅滞なく滞納処分の停止を行うことに努める。
 なお、滞納処分の停止に当たっては、租税負担の公平を実現する観点から、本取扱いにおいて一律的・形式的に行うことのないよう留意する。

第2 停止相当事案についての調査
1 「停止相当」該当事由
 滞納事案について、次のいずれかに該当する事由がある場合は、原則として「停止相当」として事案管理を行う。
(1) 滞納処分着手後5年以上経過しているとき(滞納国税(延滞税を含む。以下同じ。)に相当する価額の財産を差し押さえている場合、交付要求により滞納国税に相当する配当が見込まれる場合、納税の猶予、換価の猶予若しくは納付受託を行っている場合又は不服申立てを行っている場合を除く。)。
(2) 滞納者がすでに事業を行っておらず、かつ、滞納処分を執行しても滞納国税を徴収できる見込みがないとき。
(3) 滞納者の所在又は滞納処分を執行できる財産が不明で、1年以上調査を継続しても発見できないとき。
(4) 税額が確定したときにおいて、滞納者について次のいずれかに該当する事由があるとき。
イ(不開示)
ロ 滞納国税が破産宣告前の原因に基づいて生じた国税及び破産宣告後の原因に基づいて破産財団に関して生じた国税である場合で、既に破産手続が終結していること。
ハ 滞納国税が会社更生手続開始前の原因に基づいて生じた国税である場合で、既に清算を内容とする会社更生計画案が認可決定されていること。
ニ 債務を弁済するために財産を譲渡したことに基因して税額が確定したもので、その課税資料等から判断して滞納国税を徴収できる見込みがないこと。
ホ ニに準じ、税額が確定したときにおいて、その課税資料等から判断して滞納国税を徴収できる見込みがないこと。

2 停止相当事案についての調査
(1) 停止相当とした事案は、その事案に係る処理事績及び既収集資料に基づき「滞納処分の停止適否点検表」(別紙様式1)を作成し、今後において調査すべき事項(以下「補完調査事項」という。)を明確にした上、滞納処分の停止の適否についての調査を行う。

(2) 上記1の(4)により停止相当とした事案は、滞納発生時において、課税資料等に基づき「滞納処分の停止適否点検表」を作成する。
 この場合には、上記1の(4)のロにより停止相当とした事案の補完調査事項は、破産財団に属さない財産(自由財産)の有無、第二次納税義務該当事実の有無及び自由財産についての詐害行為該当事由の有無とし、また、1の(4)のハにより停止相当とした事案にあっては、第二次納税義務該当事実の有無とする。
(3) 補完調査事項について、例えば、調査対象者等の死亡、所在不明(不開示)休廃業・倒産等のため、これまでの調査状況から判断して今後3年程度調査を継続しても、調査対象事実を証明するために不可欠な資料の収集ができないと認められる場合等、解明できないことについてやむを得ない事由がある場合又は調査を了したとしても徴収上の実益がないと認められる場合には、税務署特別国税徴収官又は統括国税徴収官(統括国税徴収官の置かれていない税務署にあっては総務課長とし、国税局(沖縄国税事務所を含む。以下同じ。)に書かれている特別整理総括課長、特別国税徴収官及び統括国税徴収官を含む。以下「統括官等」という。)を中心とした事案の検討会による検討などを慎重に行った上、その調査を終了することとして差し支えない。

第3 滞納処分の停止要件の充足性を判断する場合の留意事項
 滞納処分の停止の要件に当たるかどうかは、次の事項に留意して判断する。
1 一般的留意事項
(1) 交付要求をしている場合
 滞納者の財産について強制換価手続が行われ、執行機関に対する交付要求(参加差押え及び「滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律」に基づく二重差押え等を含む。)をしている場合で、これらの執行機関からの配当を受ける見込みがあるときには、原則として滞納処分の停止を行わない。
(2) 第二次納税義務者等がある場合
 第二次納税義務者、譲渡担保財産、連帯納付義務者、保証人及び物上保証人等から滞納税金の徴収ができる場合には、滞納処分の停止を行わない。
 なお、第二次納税義務者又は保証人について滞納処分の停止事由がある場合には、これらの者に対しては滞納者(主たる納税者)に関係なく滞納処分の停止をすることができる。
(3) 原告訴訟の提起見込みがある場合
 詐害行為取消訴訟、名義変更訴訟など、原告訴訟の提起見込みがある場合には、原則として、滞納処分の停止を行わない。
(注)徴収法第187条各項に該当する場合には、原則として滞納処分の停止を行わない。
(4) 課税処分又は滞納処分についての争訟が係属している滞納がある場合
 課税処分又は滞納処分について不服申立て又は訴訟が係属している滞納がある場合には、原則として滞納処分の停止を行わない。

2 1号要件の充足性を判断する場合の留意事項
 徴収法第153条第1項第1号により滞納処分を停止する場合には、徴収法基本通達(昭和41年8月22日付徴徴4―13外5課共同「国税徴収法基本通達の全文改正について」(法令解釈通達)をいう。以下同じ。)第153条関係2によりその要件の充足性を判断するほか、次の事項に留意する。
(1) 次に掲げる財産を差し押さえている場合において、その財産について必要な売却手続(随意契約による売却の勧奨を含む。)を行っても売却できる見込みがないときは、その財産は、滞納処分を執行することができる財産に当たらないものとする。
イ 差押え前から公共目的のために供されている財産(当該財産の使用状況を勘案すると、他の財産でもってその公共目的が達せられると認められる場合を除く。)
(注)上記の財産については、その財産につき利害関係を有する者に対し任意売却のしょうようを行った上で、滞納処分を執行することができる財産に当たらないとの判断をする。
ロ 差押財産の性質形状が、災害その他やむを得ない事情によって差押え時に比較して著しく異なることとなった財産(人為的な原因により差押財産の現状が著しく異なることとなったときは、その原因を引き起した者に対し原状回復請求、損害賠償請求等の法的手段を講ずることができない特別の事情があるとき、及びその著しく異なることとなった原因が滞納者の責に帰さないときに限る。)
ハ 第三債務者が次に掲げる事由のいずれにも該当する債権
(イ) 強制執行の対象となる財産を有しないこと。
(ロ) 差押債権を履行しているが、完済までにおおむね10年以上の長期間を要すること。
(ハ) (ロ)の長期間を要する理由が、契約上又は法律上の原因に基づかず、専ら第三債務者の資力に基因すること。
(ニ) 第三債務者の資力が現に履行中の金額を超えると認められないこと。
(2) 取立訴訟を提起することにつき法務局との協議が整わない差押債権及び国税訟務官が取立訴訟を提起することについて不適当と認めた差押債権は、滞納処分を執行することができる財産に当たらないものとする。
(3) 国外に所在する財産は、滞納処分を執行できる財産に当たらないものとする。
(4) 滞納者が事業を継続している場合において、次のいずれにも該当するときは、滞納処分を執行することができる財産がないときに当たるものとする。
イ 滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められること。
 この場合の納税について誠実な意思を有すると認められるかどうかは、その判定を行おうとする日前のおおむね3年間において、その期間中に納期限が到達した国税の納付税額に相当する金額以上の納付を行っており、かつ、滞納者について、滞納処分の停止をした場合においても、今後新たな滞納を発生させるおそれがないと認められるかどうか等を勘案して判定する。
(注) 法人の代表者等役員又は納税者の親族その他納税者と特殊な関係のある従業員に対する報酬等の支払額が、その者の家族構成等からみて著しく高額と認められる場合には、納税について誠意がないものとして取り扱う。
ロ 現金、預金、売掛金等の当座資産及び棚卸資産(仕掛品等を含む。以下「当座資産等」という。)以外に滞納処分を執行することができる財産がないこと。
ハ ロの当座資産等について滞納処分を執行することにより、直ちにその事業の継続を困難にするおそれがあること。
ニ 見込納付能力調査により算出した月平均支払可能資金額により毎月分割納付を継続した場合において、完納に至るまでおおむね10年程度の長期間を要すること。
 この場合の見込納付能力調査は、昭和51年6月3日付徴徴3―2ほか1課共同「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(法令解釈通達)に定める見込納付能力調査に準じて行うこと。
ホ 資力の急激な回復が見込まれないこと。
 この場合の資力の回復の見込みは、その判定を行おうとする日の直前の年分(法人については事業年度とする。以下同じ。)、その前年分及び前々年分の3年間における売上高と経営損益(又は所得金額)の推移、負債の返済状況、経営再建策の有無等を勘案して判定する。
(注)上記の取扱いにより滞納処分の停止をする国税は、滞納者が事業を継続する上で納付が困難と認められるものに限る。なお、原則として滞納処分の停止を行う日前3年分の滞納国税は除外する。

3 2号要件の充足性を判断する場合の留意事項
 徴収法第153条第1項第2号により滞納処分を停止する場合には、徴収法基本通達第153条関係3によりその要件の充足性を判断するほか、次の事項に留意する。
(1) 滞納者が差押禁止財産以外に財産を有していても、収入がきん少で安定性がないためその生活の維持が難しい場合(滞納者の収入が主として給料等によるものであるときは、徴収法76条に定める差押禁止額と同等の額以下で、かつ、生計を一にする親族等の収入を見込んでも生活の維持が難しいと認められる場合をいう。また、滞納者の収入が主として事業によるものであるときは、見込納付能力調査の結果、納付可能資金が算出されず、かつ、生計を一にする親族等の収入を見込んでも生活の維持が難しいと認められる場合をいう。)、扶養親族を含めた滞納者の生活を維持するためにその財産を生活費に充てつつある場合(今後1年程度の間にその財産を生活費等やむを得ない支出に充てる状態になるおそれがあると認められる場合を含む。)又はその財産が現に生活の用に供されており生活の維持に必要不可欠と認められる場合には、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たるものとする。
(2) 滞納者の居住用財産を換価するときにおいて、生活保護法の適用を受けなければならないほどではないが、次のいずれにも該当する場合は、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たるものとする。
イ 滞納者について老齢又は病気、負傷その他これに準ずる事実があり、滞納者及び生計を一にする親族の収入の合計が徴収法76条に定める差押禁止額と同等の額以下しかなく、今後3年程度の間においてもその回復が見込まれないこと。
ロ その財産が、滞納者の生活にとって必要最低限のものであること。
 この場合において、必要最低限のものであるかどうかは、その財産の立地条件等を勘案して、社会通念上必要最低限度のものと認められるかどうかにより判定する。
ハ 居住用財産を換価した場合において、滞納者が親族その他の者と同居することが不可能であり、かつ、新たな生活の本拠となるべきアパート等の賃借に要する費用等(引越費用及び今後1年間の家賃相当額を含む。以下同じ。)を有しないと認められること。
ニ 居住用財産を差し押さえている場合において、国税に劣後する公租公課、私債権等を有する者の参加差押え又は強制執行により差押え等がないこと。
 なお、参加差押え等がある場合においても、差加差押権者等がその権利を行使しないと認められるときは、参加差押え等がないものとして処理する。
(注)1 次に該当する場合には、原則として、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たらないことに留意する。
@ 土地のみを換価する場合
A 居住用財産を換価した場合において、滞納者に交付すべき残余金が滞納者の新たな生活の本拠となるべきアパート等の賃借に要る費用等に相当する額を超えると見込まれる場合
B その財産に第三者の債務を担保するための抵当権等が設定されている場合において、その被担保債権の弁済に伴う求償権の行使が現実に可能な場合
2 物上保証人(個人に限る。)について、災害等やむを得ない事由があり、上記(2)のイからニのいずれにも該当する場合には、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たるものとして、担保の解除をして差し支えない。ただし、滞納者が無財産である場合に限る(他の物上保証人又は相続税法34条により連帯納付責任を負う者が存在する場合を除く。)。
(3) 主として相続税を滞納している滞納者の固有財産を換価するときにおいて、次のいずれにも該当する場合には、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たるものとする。
イ 滞納者が、相続財産の大部分を相続税納付のために充てているなど、相続税の納税について誠意があると認められること。
ロ その固有財産が、滞納者及び生計を一にする親族の生活の維持又は事業の継続に必要なものであり、その財産を換価した場合に滞納者及び生計を一にする親族の資力からみてこれと同程度の代替資産を直ちに取得することが困難と認められること。
ハ 見込納付能力調査により算出した月平均納付可能資金額により毎月分割納付を継続した場合において、完納に至るまでおおむね10年程度の長期間を要すること。
(注) 1 滞納者の固有財産の換価は、滞納処分の執行に支障がない限り、その者の相続した相続財産を換価に付してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に行うよう努めること。
2 相続税法34条に定める連帯納付責任を負う者の固有財産を換価するときにおいて、上記(3)のイからハに当たる場合には、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに当たるものとする。

4 3号要件の充足性を判断する場合の留意事項
 徴収法第153条第1項第3号により滞納処分を停止する場合には、徴収法基本通達第153条関係4によりその要件の充足性を判断するほか、次に留意して判断する。
(不開示)

第4 滞納処分の一部停止
 停止相当とする事案が次のいずれか一に該当するときには、それぞれに掲げる金額を控除した残税額について、滞納処分の停止をする。
(1) 滞納処分により差し押さえた債権について、その全部又は一部の取立てにおおむね1年以上の期間を要すると認められる場合において、その債権を除くと、滞納処分の停止をすることができると認められるとき。
 その差押債権の額
(2) 強制換価手続の執行機関に対して交付要求をしている場合において、その執行機関からの配当を受けるまでにおおむね1年以上の期間を要すると認められるときで、かつ、その配当見込額を除くと、滞納処分の停止をすることができると認められるとき。
 配当を受けることができると認められる金額
(3) 滞納処分により差し押さえた不動産について、その不動産を再公売に付しても売却できない場合(随意契約によっても売却できない場合を含む。)で、今後、換価におおむね1年以上の期間を要すると認められ、かつその財産からの配当見込額を除くと、滞納処分の停止をすることができると認められるとき。
 その換価により徴収できると認められる金額
(注)換価により徴収できると認められる金額は、原則として、その財産からの配当見込額に、その財産の見積価額のおおむね3割の金額を加えた額とする。
(4) 第3《滞納処分の停利要件の充足性を判断する場合の留意事項》の2の(4)の場合において、滞納者が事業を継続する上で納付が可能と認められる滞納国税を除くと、滞納処分の停止をすることができると認められるとき。
 その事業を継続する上で納付可能と認められる滞納国税の額(ただし、原則として滞納処分の停止を行う日前3年分の滞納国税を除いた額を限度とする。)

第5 滞納処分の停止の事務手続
1 通則的事項
(1) 滞納者
 滞納処分の停止をする場合の「滞納者」には、連帯納付義務者、第二次納税義務者及び保証人が含まれるが、次の者は含まれないことに留意する(徴収法基本通達第153条関係1参照)。
イ 繰上保全差押えの規定の適用を受ける納税者(通則法38条3項)
ロ 担保物の処分を受ける物上保証人(通則法52条1項)
ハ 譲渡担保権者(徴収法24条1項)
ニ 保全差押えの規定の適用を受けている者(徴収法159条1項)
(2) 滞納処分の停止をする税額
 滞納処分の停止は、第4《滞納処分の一部停止》に定める場合を除き、滞納税額の全部について行う。
 なお、第4《滞納処分の一部停止》に定めるところにより滞納税額の一部について滞納処分の停止をするときは、滞納処分の停止通知書にその旨を付記する。
(3) 滞納処分の停止の所轄庁
 滞納処分の停止は、徴収の所轄庁が行う。
 なお、徴収の所轄庁を異にする同一の滞納者について停止相当とした事案は、それぞれ異なる所轄庁ごとに滞納処分の停止をするが、この場合においては、既に滞納処分の停止を行った他の徴収の所轄庁が作成した滞納処分の停止適否点検表(写)等を参考として滞納処分の停止要件の存否を判断する。

2 事前協議等
(1) 国税庁との事前協議
 国税局長(沖縄国税事務所長を含む。以下同じ。)は、国税局が所掌する停止相当とする事案のうち、租税負担の公平の実現の観点から滞納処分の停止をすることにつき、特に慎重な判断を要すると認めたものについては、国税庁長官と事前に協議を行う。
(2) 国税局長に対する事前上申
 税務署長は、滞納処分の停止をする場合において停止相当とする事案が次に該当するものであるときは、滞納処分の停止をする前に国税局長へ事前に上申する。
イ 滞納処分の停止をしようとする税額が国税局長の定める金額を超えるとき。
ロ 滞納処分の停止の事由が第3の2の(4)及び3の(3)に当たるとき。

3 滞納処分の停止の処理手続
(1) 滞納処分の停止適否点検表による確認等
 停止相当とする事案は、滞納処分の停止適否点検表を滞納処分票に添付して調査を進め、滞納処分の停止をするに当たっては、滞納処分の停止適否点検表によって、必要な事項の調査を了しているかどうかを確認する。
(2) 滞納処分の停止決定調査書等の作成
 資金徴収額計算書に添付する証拠書類(昭和50年2月17日徴管2―4ほか8課共同「管理事務提要(報告編)の制定について」(事務運営指針)の第2章第3節の第8の1の(1)参照)のうち、滞納処分の停止決定調査書及び納税義務消滅決定の調査書は、おおむね次の区分により作成する。
イ 停止税額1,000万円以上の事案
 別紙様式4の1
ロ イの事案のうち、統括官等が特に重要と認めて指定するもの
 別紙様式4の2
(注)停止税額300万円以上1,000万円未満の事案については、滞納処分の停止適否点検表を証拠書類とする。
(3) 滞納処分の停止決議及び滞納者への通知
 滞納処分の停止をするときは、滞納処分の停止決議書(別紙様式2)を作成し、統括官等の決裁を受ける。

 この場合において、滞納者に対する滞納処分の停止をした旨の通知(徴収法153条2項参照)は、書面により行う。
 なお、滞納者への通知の発送に関する事務は、徴収担当部門のうち内部事務の取りまとめを行う部門の統括国税徴収官(統括国税徴収官の置かれていない税務署にあっては総務課長とする。以下「指定統括官」という。)が指定した特定の者に行わせることとする。また、滞納者の所在及び財産が不明であることを理由として滞納処分の停止をした滞納者に送付した通知書については、通知書が返れいされ次第指定統括官は当該通知書を滞納処分票等に編てつする。
(4) 第二次納税義務者等に対する滞納処分の停止
 第二次納税義務者又は保証人について滞納処分の停止をしたときは、主たる納税者に対しても第二次納税義務者又は保証人に対する通知に準じた通知を、原則として書面により行う。
(5) 管理担当部門への連絡
 滞納処分の停止をしたときは、滞納処分の停止決議書(副本)を管理担当部門へ回付する。
(6) 滞納処分の停止管理簿の作成
 滞納処分の停止をした事案は、事後監査対象の把握を的確に行うために、滞納処分の停止管理簿等の管理帳票を作成し、これに登載する。

4 滞納処分の停止の効果に伴う処理
(1) 新たな滞納処分の禁止
 滞納処分の停止をしたときは、その停止期間中は、その停止に係る国税について、新たに財産の差押えをすることはできず、既に差し押さえた財産については、その差押えを解除しなければならないことに留意する(徴収法基本通達第153条関係10参照)。
 なお、交付要求は、滞納処分の停止をした後であっても行うことができる。
(2) 収納等
 滞納者から滞納処分の停止に係る国税の納付があった場合には、その納付金を収納し、過誤納金等又は交付要求に係る受入金は、滞納処分の停止に係る国税に充当する(徴収法基本通達第153条関係11参照)。
(3) 納税義務の消滅
イ 3年間の継続による消滅(徴収法153条4項)
 滞納処分の停止をした場合において、その執行の停止が3年継続したときには、その滞納処分の停止をした国税を納付する義務は当然に消滅することに留意する。
ロ 直ちに消滅させることができる場合(徴収法153条5項)
 滞納処分の停止をした場合において、次のいずれかに該当するときは、直ちにその納税義務を消滅させて差し支えない。
(イ) 限定承認をした相続人が、相続によって承継した国税を有する場合において、滞納処分を執行する高とができる相続財産がないとき。
(ロ) 解散した法人又は解散の登記はないが廃業して将来事業再開の見込みがない法人について、滞納処分を執行することができる財産がない、又は不明であるとき。
(ハ) 会社更生法による再生計画の認可決定があった場合において、国税が更生債権に当たる場合で、同法第241条本文の規定によりその会社が免責を受けたとき。
ハ 納税義務の消滅確認等
(イ) 納税義務消滅確認決議
 徴収法第153条第4項の規定により、納税義務が消滅した場合又は徴収法第153条第5項の規定により納税義務を消滅させる場合(滞納処分の停止期間中に時効の完成により納税義務が消滅した場合を含む。)には、納税義務消滅確認決議書(別紙様式3又は6)を作成し、統括官等の決裁を受ける。
 ただし、事務効率化の観点から、証拠書類として会計検査院へ提出する必要があるものを除き、連記式による決議又は滞納処分の停止決議書の余白において決議するなど適宜の方法により処理して差し支えない。
(ロ) 納税義務の消滅の通知
 納税義務の消滅の通知は、滞納処分の停止の通知に準じて行う。
(ハ) 管理担当部門への連絡
 (イ)により決裁を了した後、納税義務消滅確認決議書(副本)を管理担当部門へ回付する。
ニ 延滞税の消滅等
(イ) 徴収法第153条第4項又は第5項の規定により、納税義務が消滅した場合には、滞納処分の停止の期間に対応する延滞税についても、その納税義務が消滅することに留意する(徴収法基本通達第153条関係13参照)。
 この場合には、延滞税の徴収決定及び免除等の手続を要しない。
(ロ) 滞納処分の停止を取り消した場合は、滞納処分の停止の期間に対応する延滞税を免除する(通則法63条1項)。
 ただし、取消事由が取消しの日の前までに生じている場合には、その生じた日以後の期間に対応する部分の金額については、免除しないことができる(通則法63条1項ただし書)。
 
5 停止処理事務の計画的・効率的実施
 滞納処分の停止事務は、納税緩和措置の適切な適用の観点からその処理が遅延することのないよう、事務計画に織り込むなどにより計画的・効率的に実施するよう努める。

6 審理事務
(1) 滞納処分の停止に際しての審理事務
 停止相当とする事案のうち、滞納処分の停止の要件に該当するかどうかの判断が困難であるなど複雑な事案及び統括官等が必要と認めた事案は、原則として審理担当者に審理を行わせる。
(2) 税務署における審理事務  税務署における審理事務は、おおむね次により行う。
イ 審理担当者は、指定統括官に属する者から指定統括官が指定する。
ロ 特別国税徴収官又は統括国税徴収官は、滞納処分の停止決議書の決裁前に、指定統括官を経由して決議書等(関係資料を含む。以下同じ。)を審理担当者に回付する。
ハ 審理担当者は、決議書等の回付を受けたときは、速やかに当該事案を滞納処分の停止をすることについて法令及び通達に適合しているか否かを審理し、その結果を決議書等に明示した上、決議書等を指定統括官を経由して担当する特別国税徴収官又は統括国税徴収官に返れいする。
ニ 決議書等の返れいを受けた特別国税徴収官又は統括国税徴収官は、審理担当者から指摘を受けた事項がある場合には必要な是正措置を講じた上、滞納処分の停止について決裁を行う。
(3) 国税局における審理事務
 国税局特別整理部門の審理事務は、税務署における審理事務に準じて行う。
 この場合、審理担当者は、特別整理総括課長(特別整理総括第二課が置かれている国税局においては特別整理総括第二課長、特別整理総括課又は特別整理総括第二課が置かれていない国税局においては内部事務の取りまとめを行う部門の統括国税徴収官。)の下に設ける。

第6 事後手続
1 事後監査
(1) 目的
 滞納処分の停止をした事案は、租税負担の公平を確保する観点から、この項の定めるところにより、滞納処分の停止を継続することの適否を監査する。
(2) 事後監査の対象
 事後監査は、前事務年度以前に滞納処分の停止をした事案について、「滞納処分の停止事後監査てん末書」(別紙様式5の1)を作成の上、実施する。
 したがって、統括官等は、事務年度初において滞納処分の停止管理簿等により監査対象事案を把握し、原則として事務年度末までに1回程度事後監査を実施するよう配慮する。
 なお、この場合において、当該事務年度中に納税義務が消滅する見込みのものについては、納税義務消滅見込年月日のおおむね3月前までに実施するよう配意する。
(3) 事後監査の実施基準
イ 所在判明者に対する監査
 停止処分にしたもの全部について実地に監査を行う。
 ただし、停止税額が税務署所掌事案についてはおおむね30万円以下のもの、また、国税局所掌事案についてはおおむね100万円以下のもののうち、新規課税のないものは、実情に応じ文書照会による調査等簡易な方法によって処理して差し支えない。
(注) 滞納処分の停止をした滞納者に対しては、棚卸照合を行った際には、停止税額の通知を行うこととする。
ロ 所在不明者に対する監査
 滞納者の所在及び財産が不明であることを理由として滞納処分の停止をしたものは、その所在確認に努める。
 なお、所在が確認できたものは、イの監査を行う。
2 滞納処分の停止の取消し
(1) 滞納処分の停止の取消決議
 滞納処分の停止を受けた者が、停止後3年以内において徴収法第153条第1項各号のいずれにも該当しないこととなった場合には、滞納処分の停止を取り消す。
 滞納処分の停止を取り消すときは、滞納処分の停止取消決議書(別紙様式7)を作成し、統括官等の決裁を受ける。
(2) 滞納処分の停止の取消通知
 滞納処分の停止の取消の通知は、滞納処分の停止の通知に準じて行う。
(3) 管理担当部門への連絡
 (1)により決裁を了した後、滞納処分の停止の取消決議書(副本)を管理担当部門へ回付する。


様式目次
様式1(その1)、(その2) 滞納処分の停止適否点検表…12
様式2 滞納処分の停止決議書…14
様式3 滞納処分の停止兼納税義務消滅決議書…16
様式4の1(その1) 滞納処分の停止決定調査書…18
〃 4の1(その2) 個人用…20
〃 4の1(その2) 法人用…22
〃 4の1(その3) …24
様式4の2(その1) 滞納処分の停止決定調査書…26
〃 4の2(その2) …28
〃 4の2(その3) 個人用…30
〃 4の2(その3) 法人用…32
〃 4の2(その4) …34
〃 4の2(その5) …36
〃 4の2(その6) …38
〃 4の2(その7) …40
〃 4の2(その8) …42
〃 4の2(その9) …44
〃 4の2(その10) …46
〃 4の2(その11) …48
様式5の1(その1) 滞納処分の停止事後監査てん末書…50
〃 5の1(その2) …52
様式6 納税義務消滅確認決議書…54
様式7 滞納処分の停止取消決議書…56

(様式作成上の共通的な注意事項)
1 記載事項の調整
 この取扱要領で定める各種の様式及びその記載要領については、各国税局において必要に応じ、所要の変更又は調整をして差し支えない。
2 国税局における様式の作成
 この取扱要領に定める様式のほか各国税局において必要に応じ適宜の様式を作成することとして差し支えない。
3 用紙の刷成
 この取扱要領で様式を定めた用紙は、KSKシステムで作成されるもののほかは、各国税局において刷成する。
 なお、従前の様式を補正して使用することができるものについては、できるだけ補正して使用する。


様式1

〔調理要領〕
1 「滞納処分の停止適否点検表」は、滞納事案につき停止相当とした場合に作成する。
2 「指定の適否判定」欄は、担当者がこの表を作成し、停止相当事案とすることにつき統括官等に指示を求めたときに、統括官等が適否の判定を行って押印する。
3 「停止の適否判定」欄は、担当者が滞納処分の停止をするため「停止の適否等」欄を調理して提出したときに、統括官等が適否の判定を行って押印する。
4 「指定の適否等」欄及び「停止の適否等」欄は、調査を行った後の状況により「適」、「否」、「有」又は「無」のいずれかを○で囲む。
 ただし、事案の性質上妥当しない点検項目については、斜線表示する。
5 「要補完調査事項」欄は、見直し調査をした際に「否」又は「有」とされた点検項目について、更に事実の確定に必要な調査が未了である事項を簡記する。
6 「調査年月日」欄及び「処理」欄は、要補完調査事項のある項目についての補完調査年月日及び調査結果を簡記する。
7 「判定理由」欄は、判定の理由を統括官等が簡記する。
 ただし、「区分」欄の番号26ないし50の点検項目について要補完調査事項が多い事案を滞納処分の停止相当事案に指定する場合には、判定の理由を詳記する。


様式2

〔調理要領等〕
1 「滞納処分の停止決議書」は、徴収法第153条第1項の規定により、滞納処分の停止をする場合に作成する。
2 滞納処分の一部停止をする場合には、この決議書の文言を補正して使用する。
 なお、滞納者に対して送達する通知書の「備考」欄には、「(注)上記以外の滞納国税については、滞納処分の停止をしておりませんからご注意下さい。」などの文言を付記する。
3 この決議に当たっては、必要に応じて賦課部門に合議に付す(昭和62年6月2日付徴徴2―1ほか11課共同「賦課徴収関係課・部門の連携強調について」(事務運営指針)の別紙3の(3)のイ)。
4 この決議書の副本は、管理部門に回付する。


様式3

〔調理要領等〕
1 「滞納処分の停止兼納税義務消滅決議書」は、徴収法第153条第1項及び第5項の規定により、滞納処分の停止及び納税義務消滅をする場合に作成する。

2 この決議に当たっては、必要に応じて賦課部門に合議に付す(昭和62年6月2日付徴徴2―1ほか11課共同「賦課徴収関係課・部門の連携強調について」(事務運営指針)の別紙3の(3)のイ)。
3 この決議書の副本は、管理部門に回付する。

   
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