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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2862号 1月12日付
 
税金 徴税攻勢
 

従業員と団結、税務署の差し押さえ撤回さす

仲間と商工新聞活用し解決

 「おかげさまで年が越せました」―約束通り滞納税金の分割納付を実行していたのに、昨年12月、大阪・泉佐野税務署にいきなり売掛金約200万円の差し押さえを受けた川本直治さん(仮名・31)=食品加工。泉南民主商工会(民商)に相談し、粘り強い交渉で年末ぎりぎりに差し押さえを解除させました。解決の力になったのは商工新聞の記事と、従業員連名の嘆願書でした。

 「このままでは滞納は増えるだけ。もう待てない」と、泉佐野税務署徴収課の担当署員は、昨年10月末までに消費税など約400万円の滞納税金の納付を要求。川本さんは「食材値上げの影響を受けて仕事も利益も大幅に減っている。頑張って分納してきた。もう少し様子を見てほしい」と要望してきました。
 署員は「それでは当面、10月から3カ月間の状況を見させてもらう」と、3カ月分の納付書を送付。川本さんは10、11月分を期日通り納付しました。ところが、税務署は「11月25日に来署されたし」と差し押さえ予告書で呼び出し。「用事があっていけない」と電話した川本さんに対し、税務署は12月3日、いきなり取引先の売掛金約200万円の差し押さえを強行しました。

ネットで調べ民商に相談
 わらをもつかむ思いでインターネットで調べ、12月4日に泉南民商に相談した川本さんは「税務署はむちゃくちゃや! 約束と違う。このままでは倒産。従業員の給与も払えんし、どうにもならない」と訴え、解決に向け一緒に運動していくことを決意しました。
 民商は5日、早速税務署と交渉。「担当官との約束違反は重大な問題。しかも差し押さえた売掛金のほとんどは従業員の給与で差し押さえ禁止財産だ。直ちに解除せよ」と迫りました。しかし、国税局から派遣された特別国税徴収官は「担当が変わった」「約束は確認できない。差し押さえたのは加工賃。完納しなければ解除はできない」と平然と言い放ちました。
 8日には、税務署の違法・不当調査に抗議するビラを署員の乗り降りする駅頭で配布。その後、大商連の代表と一緒に税務署交渉しました。
 翌9日の交渉では、前担当署員が出席し「年内の状況を見る」と言った事実を認め、「連絡不十分だった」と謝罪しました。しかし、特別国税徴収官は「滞納の半分(約200万円)を年内に納付して、残りを来年納付する計画でないと解除できない」と強弁。川本さんは「納得でけへん。解除されんかったら従業員の給料も払えんし、倒産してしまう。すぐ解除してほしい」と税務署長に請願書を提出しました。

売掛金の8割従業員の給与
 民商では川本さんを囲んで対策会議(9日)を開き、一方的に約束をほごにした上、給料などの運転資金や仕入れ資金は差し押さえしないとするこの間の国税庁の回答にも反している、徹底的にたたかおうと確認。売掛金の約8割が従業員の給料に当たることから、「従業員にも税務署交渉に協力してもらってはどうか」「地域労連にも話して世論をバックにたたかう」ことを確認しました。
 会社に戻った川本さんは、早速従業員一人ひとりに事情を説明。みんな「それは大変だ」と賛同し、「給料がもらえなければ生活に支障が出る。是が非でも差し押さえは解除してほしい」との嘆願書に印鑑を押しました。
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「給料が支給されなくなると困る」と従業員8人連名の嘆願書

 11日の交渉では、届いたばかりの商工新聞「滞納処分の留意事項」(12月15日号)を示し、「滞納者の実情把握が先決と国税庁は通達を出している」と指摘。川本さんが従業員8人の嘆願書を提出すると、総務課長の態度が一変し、署長に相談したいと退席しました。約1時間後、「差し押さえを解除します。民商側が提案した、売上金総額から従業員給料と必要経費を引いた分は納付してほしい。来年もその方式を続ける」と約束しました。
 11日に行われた民商の常任理事会で川本さん夫妻は「一時は自殺も考えました。これで年が越せます。大切な従業員の生活も守れました。これも民商と皆さんのおかげです」と涙ながらに勝利報告。
 「よく頑張った」「一緒に国の悪政とたたかおう」と喜びの拍手に包まれました。
   
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