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個人住民税 特別徴収強制やめよ=富山県連

 富山県が2017年度から全市町村ですべての事業者に個人住民税の特別徴収を義務付けようとしている問題で、富山県商工団体連合会(県連)は2月4日、小規模事業者の実情を踏まえ柔軟な対応をするよう求めました。

小規模事業者は例外に 県税務課「他県も調べ検討」
 交渉には折橋英明会長など6人が参加。県側からは税務課長をはじめ税務課と市町村支援課の担当者4人が応対しました。
 総務省・全国税務協議会が作成したチラシでは、「常時2人以下の家事使用人のみに支払う場合は特別徴収しなくても構いません」としていますが、富山県は例外を一切設けていません。
 交渉では例外を設けている他県の資料を示して見直しを要求。県側は「例外が示されていることは知らなかった。出された要望には他県の状況も調べながら検討する」と回答しました。
 折橋会長らは「地方税法では、事業主が従業員の給与から個人住民税を特別徴収(天引き)することが義務付けられているが、これまで普通徴収が容認されてきたのは、小規模事業者の実態に応じて対応してきたから。一律に義務化しても小規模事業者に負担を押し付けるだけで、滞納の根本的解決にはならない」と指摘。さらに、県が「小規模企業振興基本法」の制定を受け、「中小企業振興基本条例」を見直すことになっていることを取り上げ、「住民税の特別徴収の強化は小規模事業者に負担を押し付けるもので、条例見直しの方向にも反する。これまでどおりに実情に合った対応を」と再度、要望しました。
 住民税の特別徴収とは従業員の住民税を事業者が給料から天引きし、市町村に毎月納付する制度で、県内では対象従業員の75%に対して実施しています。

強要はせず柔軟対応を
株式会社第一経営相談所代表取締役 吉村浩平さん
 ここ数年、全国の自治体が従業員を雇用する事業者に対し「特別徴収」を徹底する動きを強めています。これまで希望により「普通徴収」を認めていたところでも「特別徴収」は義務であるとして、専従者給与等を除き、基本的に例外は認めないという自治体が一気に増えています。その背景としていわれているのが、2007年から実施された国税から地方税への「税源移譲」です。個人住民税の負担割合が増えるに伴い、各自治体では滞納額が年々増加しているという現実があり、それへの対応策だと思います。
 特別徴収することで住民税が年12回に分割され、従業員の負担感が緩和されるとか、各人が納めに行く手間が省けるメリットがあるといいますが、その分事業者の手間が格段に大きくなることは間違いありません。
 特別徴収は各市町村から事業者に宛てて各人別の税額が通知されるため、あらためて税額を計算する必要はありませんが、給与受給者の市町村ごとにまとめて、毎月納付(常時10人未満の事業所の場合は年2回にまとめる「納期の特例」も可)の手続きをする必要があります。規模にかかわらず事業資金と家計を明確に区分すること、そして事業の資金繰り表を作って計画的に税金を積み立てること等が大切になり、確実に資金をプールしておかなければなりません。
 また、従業員の入退社がある度に、該当する市町村で手続きを行う必要も生じます。
 事業者(特別徴収義務者)が滞納した場合は、延滞金のほか「10年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し…」(地方税法324条3項)などとし、差し押さえなどが横行する徴収行政がさらに強められる可能性もあります。
 消費税増税から間もなく1年が経過しますが、確定申告では税額が大幅に増えて驚いている事業者が多いかもしれません。その上で今度は住民税の特別徴収への対応が求められます。
 消費税が引き上げられる中、特別徴収の適用を機械的に拡大すれば従業員の外注化が進む可能性があります。今、求められているのは強引な法の適用ではなく、地方税法321条の3に基づき、はん雑な実務や資金繰りに耐えられない小規模事業者の実態に即して柔軟に対応することではないでしょうか。

全国商工新聞(2015年3月9日付)
 

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