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  トップページ > 税金のページ > 地方税 > 全国商工新聞 第3080号7月22日付
 
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地方税 強権的徴収やめよ 県内全23市町に要請=広島

 中小業者の営業と暮らしを脅かす地方税の滞納処分が広がる中、広島県内の民主商工会(民商)と県商工団体連合会(県連)は、県内23のすべての市町に対して、納税者の権利が守られる税務運営を求める一斉申し入れを行いました。住民税や国民健康保険料(税)の納付が始まる6月に取り組んだもの。民商・県連の要望(別項)に対し、憲法を順守し、住民の命と暮らしを守る重要性と、納税緩和措置の適用に前向きな回答も寄せられました。

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「納税者の権利を守れ」と迫った広島市への申し入れ(6月13日)

憲法を順守し実情考慮する
 広島市への申し入れは6月13日に行われました。広島、広島北、広島西部の3民商と県連の他、生活と健康を守る会と医療生協共立病院、日本共産党市議団も参加。総勢23人で臨みました。市財政局税務部・納税推進課や保険年金課が応対しました。市は「憲法と基本的人権を守っていくのは当然」「滞納処分にあたっては、市民生活の保障や生業を維持する上で、差押禁止財産を定めた国税徴収法の規定を当然に考慮する」「納税緩和措置は、納税者の状況を十分確認し法律に該当する場合には適切に対応している」と回答。
 参加者は「中小業者の実情も把握しないまま、『税の公平性』だけが強調され、納税者を追い詰めている」と不当な徴収の実態を告発。市は「滞納処分は納税者の事情など事実関係を十分調査した上で行っている」と答えました。

納税相談中は差し押さえず
 安芸高田市への申し入れは6月20日に行われ、三次民商の役員ら7人が参加しました。要望に対して市民部は「一度でも納税相談をしている場合、差し押さえはしない。分割が未納となっても再度相談に乗っている。仮に差し押さえしても生活が困窮する場合、差し押さえの解除や返還もしている。差押禁止財産を押えるようなことはしない。営業と暮らしを壊すような処分は行わない」と答えました。
 6月21日の福山市への申入れには、福山民商から11人が参加しました。
 応対した納税課は「憲法や基本的人権を無視した徴収は行っていない」「納税相談に力を入れ、きめ細かく対応している」「(鳥取地裁判決は)知っている。(児童手当を)狙うような差し押さえはしない。手形や小切手を出してもらうこともない」と回答。役員らは「納税緩和制度を市民によく説明すべきだ」と求めました。
 安芸民商の役員ら6人は6月26日、坂町に申し入れました。
 応対した税務住民課は「もともと無理な納付約束はしていない。少額でも毎月納めていただくようにしている。差押処分は1件もない。納税緩和措置も勉強する」と答えました。

▼民商・県連の要望
 (1)すべての税務職員は、憲法と納税者の基本的人権を順守する立場を貫くこと(2)「住民の福祉の増進を図ることを基本」とした地方自治法の理念を徴収行政に反映すること(3)納税者の実情に耳を傾け、営業と生活の基盤を奪うような差押処分等は行わないこと(4)分納はもとより、納税の猶予や処分の執行停止など納税緩和措置を積極的に講じ、「地方税法15条の7」に該当の場合は速やかに滞納処分の執行を停止すること(5)「納税の猶予等の取扱要領」「国税庁長官通達」など、納税者の権利規定を地方税でも順守すること。

構造改革で滞納も急増
強権的徴収の背景
 小泉自公政権時代の「構造改革」の一環として進められた2002年からの「三位一体改革」以降、庶民や中小業者の生活を脅かすほどの強権的な徴収行政が各地でまん延しています。
 「地方にできることは地方に 民間にできることは民間に」という小さな政府論を具体化する「政策」として進められた「三位一体改革」。これにより住民税率がフラット化(一律10%)されました。
 この「改革」と前後して実施された、各種控除・非課税措置、定率減税を廃止、消費税の免税点の引き下げなどで、とてつもない税の負担増が庶民・中小業者を襲い、「税金を払いたくても払えない」という滞納者が急増しました。
 2002年をピークに減少傾向にあった地方税の滞納残高は07年度には増加に転じています(図)。

図

 一方、「三位一体改革」による地方交付税の5・1兆円削減などで、自主財源に乏しい地方自治体の財政は厳しい状況に。同時期から地方税債権回収機構が各地で設立されるなど、滞納処分ありきの徴収体制も強化されてきました。
 民主党政権では復興財源の流用問題が国民的な大きな批判を浴びながらも、所得税と個人住民税の庶民増税が押し付けられています。その一方で、法人税を恒久的に5%引き下げる大企業優遇税制が行われています。
 安倍自公政権は来年4月以降の消費税増税を狙っていますが、消費は冷え込み、中小業者の営業は破壊され、滞納を増やすことになります。
 消費税増税を中止し、応能負担に基づく税制度が国税・地方税で確立されなければ、滞納問題の根本的解決にはつながりません。

全国商工新聞(2013年7月22日付)
 
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