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  トップページ > 活動のページ > 全中連 > 全国商工新聞 第3010号 2月13日付
 
活動 全中連
 

中小業者の暮らしと営業守れ=7省庁、東電と交渉

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三谷政務官(中央)に直接要請した財務省交渉。増税をやめよと訴える全商連の鎌田副会長(右から2人目)ら

 全国中小業者団体連絡会(全中連)は1月26日、中小業者決起大会に先立ち、経済産業省・中小企業庁、国税庁、厚生労働省など7省庁、東京電力本店と交渉し、120人が参加しました。消費税増税の中止、人権無視の税務行政の是正などを要請し「税務調査は合理的な理由がない限り調査期間を5年と考えていない」(国税庁)、震災復旧のグループ支援への予算増額(中企庁)、戸建住宅への耐震助成制度の拡充(国交省)などの成果をかちとりました。東京電力に対しては、原発被害のすべての賠償に応じるよう求めました。

財務省
消費増税中止せよ
 政務官、増税やり抜くと強弁

 財務省では三谷光男大臣政務官に全商連の鎌田保副会長が消費税増税の中止を要請。三谷政務官は「申し訳ない」を繰り返した揚げ句、「申し訳ないが、やらせていただく」と増税を押し付ける姿勢に終始しました。
 東電福島原発事故による営業損害の減収分(逸失利益)に対する賠償金に課税しないよう求めたことに対して「しっかり考慮して検討する」と回答しました。
 交渉に同席した日本共産党の高橋千鶴子衆院議員、大門実紀史参院議員が「事故を起こした責任は国にある。口蹄疫や水俣病で前例があるように政治判断で非課税にするべき」と実行を迫りました。

中企庁
復興補助予算を増やせ
 「グループ支援500億円計上」

 経済産業省・中小企業庁には、金融円滑化法の趣旨を踏まえた中小企業金融の円滑化、二重債務問題の解決、生業層に対するグループ支援事業の認定問題などについて要請しました。
 参加者は「円滑化法が延長されたにもかかわらず、窓口で融資を断る金融機関が増えている」と実態を告発しました。
 震災復興の補助事業であるグループ支援事業については予算の大幅増額、短すぎる受付期間の延長、認定事業の窓口拡大、小規模事業者に対する助成制度の創設などを要望しました。
 庁側は「年度末に中小企業の資金繰りが厳しくなることが予想されるので、金融機関に柔軟に対応するよう要請している」と回答しました。
 グループ支援事業については、「来年度予算で500億円を計上したので活用してほしい」と答えました。

国税庁
税務行政の是正求め
 「調査期間5年と考えない」

 国税庁では、改悪・国税通則法の施行前に広がっている不当な税務調査や人権無視の取り立ての実態を告発し、税務行政の是正を求めました。
 税務調査手続きについて国税庁側は「税務運営方針通りにやっており、職員にも徹底している」と答え、帳簿書類の提示・提出については「あくまで任意調査であり、罰則をもって強制することはない。納税者の理解と協力を得る」と回答。また更正期間を5年に延長したからといって、合理的な理由がない限り5年の調査はできないとただすと、「調査期間を5年とは考えていない」と明言しました。
 参加者は「税務署員が作成した『聴取書』には『脱税しました』という文言が書いてあり、強制的にはんこを押させられ、7年間の修正申告を強要された」「3年分の修正申告をして税金を払ったのに再調査で脱税だといわれ、7年分の修正申告を強要された」などの実態を告発しました。

厚労省
医療費軽減など要求
 窓口一部負担金など「交付金で補てんする」

 厚生労働省では、「社会保障と税の一体改革」の撤回や国民健康保険(国保)の改善、医療費の窓口負担軽減などを要求しました。
 医療費の窓口一部負担金(国保法44条)については、「基本の3カ月を過ぎても一定の条件を満たせば特別調整交付金で補てんする」と回答。また被災者への一部負担金の免除について、福島原発の警戒区域については継続し、警戒区域外でも保険者の判断で免除した場合、特別調整交付金での補てんを検討していると回答(12年9月30日まで延長決定)。
 社会保険料の差し押さえ問題では「分割しながら払っていたのに、年金機構は相談もなく、差し押さえ禁止財産を含めたすべての預金を差し押さえた。取引先や銀行への反面調査をし、その上、納税猶予の申請書を渡さないのは問題ではないか」(埼玉)、「原発事故の損害賠償金を差し押さえられた。税務署ですら納税猶予の活用をと言っている。牛乳の出荷ができないところにこの仕打ち。生活ができないと訴えれば、そちらの勝手だといわれた」(福島)など、機械的な差し押さえに参加者の怒りが爆発。省側は「不適切な発言に対してはおわびする」とし、両者の請願書を受理しました。

金融庁、国交省、総務省
被災地支援など要請
 金融庁では被災事業者の借入金の返済猶予、つなぎ資金の供給が円滑に行われるよう金融機関に特段の対応を求めることなどを要請。返済の条件変更をした場合も、「真摯に相談に乗り、新規の信用供与に努めるよう金融機関に働きかけている」と回答しました。
 被災地の二重債務解消をめぐっては、再生支援機構など枠組みはできたものの、金融機関が債務免除の立場に立たず、約2000件の相談に対し、成立は1件のみということが明らかになりました。
 国土交通省では、復旧事業に関する資材、人件費などの高騰について被災自治体から「負担軽減を」との声が上がっており、対策を講じる必要があると回答しました。
 また、耐震改修助成制度を拡充し、戸建住宅1戸当たり国費で40万円(上限80万円)の助成を実施するとともに、社会資本整備交付金の枠を緩和し、効果促進事業(自治体が自由に使える枠組み)も対象にすること、復興支援住宅エコポイントとも併用可能であることを明らかにしました。
 総務省では、市県民税の滞納相談に応じる体制を確立し、生存権的財産を差し押さえないことなどを要請しました。
 省側は、納税者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行が停止できることや生存権的財産の差し押さえは、地方税法に基づいて、個別の事情に配慮して、適切になされるべきだとの考えを示しました。

東電本店
宮城県の農家が東電と交渉、風評被害の賠償を
 東電本店との交渉には、風評被害を受けている宮城県内のキノコ原木、ヤーコン茶栽培農家らが参加。被害の賠償を求めました。東電は、「中間指針」で指定された地域以外の賠償請求について弁護士任せで処理する姿勢を浮き彫りにしました。
 宮城県内では原発事故以降、キノコ原木、ヤーコン茶、防塵マスク製造などの売り上げが激減し、損害賠償を求めていますが、東電の対応は「弁護士が対応する」「賠償の対象にならない」などというもの。
 参加者は、宮城県の村井嘉浩知事が「福島と宮城とで線引きをせず損害賠償の対象にすべき」と要望していることを指摘し、早急に対処するよう求めました。東電の紫藤英文地域相談部長は「『中間指針』には宮城は入っていない」「場合によっては弁護士を代理人として話をする」と回答。参加者は「損害賠償をあきらめさせようとしているのではないか」「もっと誠実に対応すべきだ」と怒りの声を上げ、東電側は「具体的に申し入れがあった件については責任を持って早急に対処したい」と約束しました。
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全国商工新聞(2012年2月13日付)
   
       
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