「3・1ビキニデー」
核兵器ない世界へ共同広げよう

全国商工新聞 第3349号2019年2月18日付

 1954年3月1日、アメリカは南太平洋・ビキニ環礁で水爆実験を行いました。マグロ漁船「第五福竜丸」が被ばく、無線長の久保山愛吉さんが亡くなり、マーシャル諸島の島民や1000隻を超える日本の漁船が被災しました。水揚げされる魚が放射能を帯びた事件は、社会に大きな衝撃を与えました。
 鮮魚が売れなくなる中、すし店、鮮魚商ら中小業者が立ち上がり、国際協定締結などを求めて始まった原水爆禁止署名は瞬く間に全国に広がりました。3・1ビキニデーは、55年の第1回原水爆禁止世界大会の開催へとつながる、反核平和運動の原点です。
 今年のビキニデーは、国際的な緊張が高まる下で、来年の被爆75年、NPT(核拡散防止条約)再検討会議に向けた運動の大きな節目となります。
 米国は2月2日、中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱をロシアに通告しました。史上初めて核兵器が具体的に廃棄された条約が無くなることに、米国内からも軍拡につながるとの懸念が表明されています。トランプ政権は新たな小型核弾頭を装備した海洋発射の弾道ミサイル開発に着手し、ロシアも新たな戦略核兵器の開発を行い、核戦力を競う危険な状況が生まれています。核保有国はNPTなどの国際合意をもほごにしようとしています。
 一方、一昨年採択された核兵器禁止条約は70カ国が調印、批准は21カ国となり、20カ国が批准手続きに入ったと表明しています。昨年8月、米国最大の人口を有するカリフォルニア州では、禁止条約を支持する決議が賛成多数で採択されました。
 日本国内では、禁止条約に賛同する自治体首長が1146人となり、日本政府に批准を求める自治体決議は358へと広がっています。
 核兵器禁止条約を採択させる変化を作り出したのは市民の運動と世論です。朝鮮半島情勢も変化する中、運動は正念場を迎えます。平和でこそ商売繁盛と「ヒバクシャ国際署名」を大きく広げ、3・1ビキニデーへの代表参加を強め、禁止条約に背を向ける日本政府を追い詰めることが求められています。

ページの先頭