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  トップページ> 共済会 > 全国商工新聞 第3122号6月9日付
 
共済会
 

全商連共済会第23回定期総会方針

一、開催にあたって
二、民商・全商連共済の歴史に学び、助け合いの前進を
三、社会保障の解体に反対し、権力から共済を守るために
四、全会員参加の集団健診をすすめ、いのちと健康を守る活動の強化を
五、班・支部を基礎に全会員参加の共済会を
六、学習を力に、共済運動を前進させよう
七、財政活動の強化と実務活動の改善を
八、おわりに

一、開催にあたって
 第23回定期総会は全商連第51回総会と、はじめて連続して開かれる総会となりました。総会を連続して開くことにした目的は、民商と共済会の相互理解を深め、共済会の歴史と理念を民商・全商連の活動全体にみなぎらせ、保険業法やTPP(環太平洋連携協定)の参加交渉による不当な規制など、国家権力のいかなる介入も許さない構えを確立することにあります。
 いま、社会保障の大改悪と一体に消費税8%への増税が国民世論を無視して強行され、憲法改悪の策動が強められるなど、安倍自公政権が暴走を強めています。これに対し、広範な国民、中小業者が危機意識を高め、さまざまな共同と連帯が広がっています。悪政との激しいせめぎあいを繰り広げるもとで、仲間どうしの「目くばり、気くばり、心くばり」によって団結を強め、いのちと健康を守る助け合い共済の運動がますます重要になっています。
 全商連共済会は今年創立30周年を迎えました。その確かな歩みは、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という精神を広げ、民商・全商連の運動を豊かにしてきました。
 民商・全商連共済会の歴史とかけがえのない役割に確信を持ち、連続総会を新たな出発点として全会員参加の共済会へと発展をめざします。

二、民商・全商連共済の歴史に学び、助け合いの前進を
1、全商連共済会30年の歴史に確信を持って
 全商連は1951年8月、戦後の混乱が続く中、すべての中小業者の利益を守り平和的民主的日本の建設の一翼を担う組織として創立されました。当時から会員どうし助け合う制度の必要性を感じ「助け合う事業の確立は会員の団結を強める」「中小業者が社会保障からのけものにされている不安を少しでも軽くする必要がある」と努力を重ね、1984年4月22日に全商連共済会は10万人の加入者で出発しました。発足時には短期間に、倍加に近い拡大を成功させる大きな運動の中で創立されました。
 発足以来、いのちと健康を守る活動を強め、3年にわたる全会討議を経て生存者重視の方向を明確に「保険的」な考えを克服し制度を発展させてきました。阪神・淡路大震災や東日本大震災など未曽有の災害には、「特別措置」を決定し見舞金を届け、中小業者の生きる希望をつないできました。東日本大震災から3年、「くらし・営業再建支援金」(震災見舞金)では2122件、1億7455万円の震災見舞金が届けられてきました。被災地では見舞金を渡す活動をとおして、全国の仲間の助け合いが実感されています。
 市場拡大を狙うアメリカ政府と日米大手保険資本の圧力により、自主共済に対しもうけを追求する保険会社と同等の規制がかけられました。共済会は民商・全商連と一体で他団体とも共闘し、署名や国会議員要請、金融庁交渉を重ねて保険業法の「再改正」を行わせました。共済と保険の同一視が徹底される中でも、全商連共済会を保険業法の対象外とし共済会の制度と組織を守ってきました。
 創立以来30年間で約150万人に850億円(13年2月)の入院見舞金や結婚、出産、長寿祝い金などの共済金を届けてきました。また、集団健診活動助成金でいのちと健康を守る「要」の健診活動を広げ、集団健診の入り口となる、大腸がん検診など一点検診で運動をつくってきました。共済金を受け取った加入者から、多くの感謝と喜びの声が届けられ、会員を励まし勇気づけています。

2、仲間の健康実態と助け合いの重要性にふれて
 前総会以降1年半の間に、集団健診を受けたのは4万6101人です。13年4月〜9月の期間中の集団健診結果のまとめによると、報告があった3913人の検査結果は、要再検査、要治療などの有所見率が83・8%と非常に高い率を示しています。
 12年に行われた「業者婦人の実態調査」によれば、具合が悪い・時々悪いという人が63・4%であり、病気でも医者にかからないで我慢する・売薬で済ませる人の割合が3割以上という結果になっています。
 13年10月1カ月間の死亡弔慰金の支払いに対しての「初診から死亡までの期間調査」では、初診から24時間以内に亡くなった人が全体の10%、半年以内が40・8%となっており、12年10月調査の38・9%より悪化しています。忙しさなどから、相当具合が悪くなってから医者にかかっている状況がうかがえます。
 生活環境の悪化や食生活の変化から、死亡原因の上位にある「大腸がん」による死亡者数は20年前の2倍以上(厚生労働省人口動態統計)に増えており、健診による早期発見の重要性が増しています。
 厳しい経営環境、経済状況のもとで、中小業者の健康悪化がさらにすすんでいます。いのちと健康が脅かされる事態を仲間として放置するわけにはいきません。中小業者は「体が資本」であり病気の早期発見、早期治療に取り組んでこそ安心して商売を続けることができます。また、家族経営の多くは、家族のだれかが倒れても商売は成り立たなくなるだけに、健康問題に関心を持ち、助け合いの輪を広げることが求められています。

三、社会保障の解体に反対し、権力から共済を守るために
1、社会保障の解体を許さず、実態告発を強める
 安倍自公政権は、社会保障を消費税増税の口実にし、消費税8%への増税を強行しました。今回の「消費税増税分はすべて社会保障にまわす」と言いながら、年金を連続的に引き下げ、医療費負担は増大の一途、介護保険給付から要支援者を外してサービスを低下させるなど、国民・中小業者の生活を圧迫しています。
 こうした中で、国民健康保険(国保)料(税)未納による制裁行政が強められています。高過ぎる国保料(税)により、388万世帯が保険料を払いきれず、その数は加入世帯の18・8%に及んでいます。短期保険証や資格証明書など正規の保険証が発行されていないのは153万世帯であり、具合が悪くても医者に行けない状況にあります。12年度の国保料(税)滞納者に対する差し押さえ件数は約24万件、総額900億円に及び、この5年間で差し押さえなどの件数は2倍に急増しています。一世帯当たりの滞納額は平均40万円と高額になっています。国保の広域化によりさらなる改悪が狙われ、すべての国民が平等に医療を受けられる国民皆保険制度が壊されようとしています。
 特定健診制度は実施から5年を迎えようとしています。同時に進められてきた特定保健指導には、生活習慣改善の具体的指導が受けられるなど一定の評価があるものの、健診が保険者ごとの実施となり、健診料などの個人負担が増え、年齢による差別、受診できる医療機関が狭められるなどし、利便性が大きく低下しました。そもそも、特定健診は早期発見・早期治療という健診の目的を、公的給付の削減を目的に、生活習慣病の減少に主眼を置くものへと変えられたものです。受診が広がらないもとで、受診率の低い保険者にはペナルティーが科せられる事態の中でも、市町村国保は32・7%、協会けんぽが37・4%(2011年度)と、全体の受診率45%に対し中小業者の加入が多い保険者で受診が少ないのが現状です。
 生活保護世帯は159万5596世帯、216万4856人(13年11月)と年々増え続け、過去最高を更新しています。こうした中、生活保護の老齢加算や母子加算を廃止したのは憲法違反と訴える「生存権裁判」が、全国でたたかわれているのは大きな変化といえます。年金の引き下げに対する不服審査も、約12万人が請求する大きな運動になっています。中小業者に対する劣悪な社会保障の実態を告発し、いのちと健康を守る運動を発展させることが重要になっています。
 世界を見れば、医療負担はイギリス、イタリアなどが原則無料であり、「金の切れ目が、いのちの切れ目」という日本の医療保険制度は異常です。
 中小業者は医療、年金など社会保障の上でも、一番劣悪な状況におかれています。全商連が発表した日本版・小企業憲章(案)に学び、日本が持つ有数の経済力を生かし、税金のとり方、使い方を変える広範な中小業者・国民の暮らしと社会保障を充実させるたたかいを、民商・全商連とともに前進させることが求められています。

2、TPPや保険業法規制での共済破壊を許さない
 TPP交渉は、日米の主張に隔たりが大きく難航が伝えられていますが、アメリカ政府は農産物重要5品目の米、牛肉などの関税撤廃を要求するとともに、大きな関心事である「金融・保険商品」の非関税障壁を撤廃し、共済を「もうけの道具」に変質させ、市場開放を迫る姿勢を変えていません。日米の大手保険資本も共済に対する不当な規制を強めるように圧力をかけ、提携などの動きを見せています。医療の皆保険制度なども市場開放の対象となるTPP参加反対のたたかいは正念場を迎えています。
 この間、全商連共済会は民商・全商連と一体で、助け合い共済を破壊する保険業法規制に「結社権」や「租税法律主義」などの憲法理念を対置してたたかい、制度と組織を守ってきました。また、広範な自主共済との共同行動を通じて保険業法を「再改定」させてきました。政府は「オレンジ共済事件」などをきっかけに消費者保護をうたい、あらゆる共済に対して保険会社と同等の認可や経理、募集などの規制をかけ、法人化などを求めてきました。業務を停止せざるを得ない共済が相次ぐもと、保険業法の改定に反対する大きな運動が起こり、「再改定」されたものです。
 保険業法は2015年に「再々改定」が予定されています。再び違法、不当な共済規制が強められることがないよう、世論と運動を広げます。国家権力の干渉・介入を許さないよう、民商・全商連の運動の中に共済会の活動を、より深く位置付けて団体自治を高めます。
 共済会の財政について、その正しい運用を対外的に説明する力を高めるため、この間、公認会計士による外部監査を導入してきました。これら民主的な専門家との協力・共同を強めます。

四、全会員参加の集団健診をすすめ、いのちと健康を守る活動の強化を
 全商連共済会は、いのちと健康を守る活動の「要」として、集団健診を位置付けてきました。健診制度が特定健診へと改悪されるもとでも、民商の集団健診に取り組むとともに、参加しやすい大腸がん検診や、婦人科検診など一点検診を広げ、助け合いの精神を培ってきました。この活動を班支部からすすめるのは、民商の理念に基づく活動であり、「目くばり、気くばり、心くばり」の喜ばれる活動です。また、健診活動助成金を集団健診とすべての一点検診で、重複して支払う制度の改善も活用されています。
 集団健診、一点検診をすすめる上で、「病気が見つかったら怖い」という不安の声も聞かれ、受診をためらう傾向があることも指摘されています。だからこそ、受けづらい健診を、仲間どうし声をかけ合い、健康であることの大切さを伝え、参加者を増やし広げることが必要です。
 すべての民商共済会が加入促進と結び、全会員対象の一点検診を重視し、集団健診活動をすすめます。また、大腸がんなどの一点検診を重視し、民商婦人部との懇談を強め、婦人科検診も大きく広げます。
 この取り組みを通して、医療機関との協力・共同を発展させ、年齢、性別の区別なく受けやすい健診制度への改善、負担軽減を自治体に求め運動することが大切です。
 健康増進の学習やストレッチなど体を動かす集まり、ストレスを解消するレクリエーションなど、多彩な取り組みを大いにすすめ、いのちと健康を守る活動を強めます。民商まつりなどの機会をとらえ、健康相談コーナーを設けるなど、その成功にも貢献します。

五、班・支部を基礎に全会員参加の共済会を
1、会員加入率を引き上げ「より民商らしい共済」を
 この間、すべての共済会で会員加入率を80%に引き上げようと奮闘してきました。
 全商連が昨年はじめて開催した地方別活動交流会には多くの共済会理事長も参加し、民商・全商連運動の総合力に確信を深めるとともに、「より民商らしい共済」めざし、助け合い共済の魅力や役割を伝え、加入促進の力にしてきました。
 役員会で学習を重ね目標を議論し、民商でも共済の意義を深め、一体の拡大に取り組み、共済デーを設けるなど独自の加入推進を行った組織で前進をしています。
 3月1日の加入者総数は23万9669人、会員加入率74・3%となっています。会員加入率が80%を超えているのは14県連、231民商共済会です。
 すべての民商会員が加入することで「助けられる人と、助けられない人」の垣根をなくすことができます。連続総会を新たな出発点にして、決意新たに全民商会員の加入をめざします。会員加入率を高め、加入者が増えれば、助け合いの制度をいっそう豊かにし、仲間どうし助け合う民商本来の姿に近づくことができます。健康で商売を続けたいという会員本来の要求に基づく活動として発展させ、全会員に助け合いの輪を広げます。
 助け合い共済の意義を深める機会を設け、拡大目標を堅持し、同時加入や未加入者への働きかけを強めます。民商の班・支部にそって、対象者を明確にした加入対象者名簿をつかった具体的な加入促進の取り組みを行います。
 附則加入者は5250人(3月1日現在)です。「制度改善を知らなかった」という附則加入者も残されており、生存者重視の共済会の理念、制度の優位性を伝え、理解と納得を基本に「移行」をすすめます。

2、家族の健康を気づかい、配偶者の加入率を高める
 3月1日の配偶者加入率は25%です。共済会の助け合いの中心は会員とその配偶者であることを明確に、共済会の制度と魅力を知らせ、総合力を発揮した運動をすすめます。
 中小業者は、家族の誰かが倒れても、たちまち経営がなりたたなくなってしまいます。引き続き、配偶者加入を高める運動を強めます。あわせて婦人科検診の取り組みを広げ、この面からも「より民商らしい共済」をめざします。

3、班・支部を基礎にした「目くばり、気くばり、心くばり」の運動を
 班・支部がなくては、共済会が全会員参加の組織として発展することはできません。
 家族の健康を気づかい、商売を続けるのにも仲間の力が大切です。班の共済係、支部の共済役員を強化することが決定的に重要です。
 多くの中小業者が健康に不安をもち、多少具合が悪くても「休めば商売に影響する」と営業を続けています。仲間どうし健康を気づかい、集団健診を班・支部からよびかけ、共済金をとどける活動は民商そのものの活動と言えます。
 「目くばり、気くばり、心くばり」の活動を行きわたらせ、健康に関心をもち、一人の犠牲者も出さない運動が求められています。
 共済金を共済加入者に渡す時が、民商の役割と仲間の助け合いをいちばん実感できる機会にもなります。共済役員からの声かけを徹底し、組織の強化に生かします。

六、学習を力に、共済運動を前進させよう
 全商連共済会の果たしている役割や歴史、理念、制度の優位性をつかみ、確信を持つことが前進の力になります。
 全商連発行のリーフレット、月刊民商などを活用した学習を強めます。助け合い共済を保険業法やTPPから守るたたかいを前進させるため、総会決定集などを活用し、学習を推進します。
 専門家の協力も得た健康に関する学習会の開催や、健診結果の結果返しなどに取り組みます。いのちと健康を守る学習交流会報告集なども活用し、運動の力にします。
 商工新聞には集団健診や、レクリエーションなど各地の経験が載っています。集団健診や声かけで助かった経験などを、通信で送る活動をとおして共済会の魅力と理念をつかみます。商工新聞を共済活動にも生かし、総合力を発揮して、商工新聞読者を広げましょう。
 県連主催の幹部学校に共済会からも積極的に参加し、民商・全商連の歴史や理念にも学ぶ活動を旺盛にすすめます。
 すべての県連共済会で「いのちと健康を守る学習交流会」を開催します。

七、財政活動の強化と実務活動の改善を
 加入者の共済会費は見舞金や弔慰金の基金になり、いのちと健康を守る運動を支え、加入者の権利を保障するものです。加入者が積極的に共済運動に参加するためにも、未収・未納はあってはならないという議論を深めることが大切です。
 未収・未納を克服して健全な財政を確立することは、共済会の維持、発展に欠かせないものです。民商・県連とともに財政活動の「5点改善」のために努力します。
 共済加入の議論の中で、「未収が増えるから共済会への呼びかけをしない」という消極的な議論があります。むしろ、加入率が低い民商ほど未収問題をかかえる傾向にあります。民商の財政部会とも協力して、未収・未納の状況を常に役員会に明らかにし、総合力を発揮して、財政問題の解決にあたることが重要です。
 正確な実務の基本は、規約・運営規定を理解することです。役員、事務局の世代交代がすすむ中で、正確・迅速な実務が抜け落ちれば不団結や退会の原因となります。助け合いの共済で、不団結を生まないためにも、規約・運営規定に立ち返り、実務の学習を深めることが大切です。役員中心の民主的運営を強るとともに、民商役員会との懇談を定期的に持つようにします。

八、おわりに
 共済会30年の歴史は、劣悪な環境におかれる中小業者の営業と健康問題に光をあて、社会保障を改善させ、仲間どうしの助け合いを大きく広げてきた確信に満ちたものです。中小業者の営業と生活、健康実態を告発し、社会保障制度の改善をせまる活動はますます重要になっています。
 大企業中心の政治をすすめる安倍自公政権の政策では、中小業者には景気回復の実感などありません。長期の不況から抜け出すどころか、消費税増税によって廃業の危機と格差が広がっています。
 会員どうし助け合ってきた全商連共済会を、アメリカや日本政府による保険業法やTPP参加による攻撃によってつぶされるわけにはいきません。全商連共済会を守るためには、全会員参加の強く大きな共済会へと発展させることが求められます。
 共済運動の発展のため、全商連総会と連続して開かれる今回の共済会総会を契機に、共済会の助け合いを民商運動にみなぎらせます。全会員加入と配偶者の加入率を引き上げ、班に共済係、支部に共済役員を確立し、全会員が参加する集団健診を広げ「より民商らしい共済」を確立します。

全国商工新聞(2014年6月9日付)
   
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