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  トップページ > 方針・決議 > 全国商工新聞 第3122号6月9日付
 
方針・決議
 

全商連第51回定期総会方針

一、開催にあたって
二、激動する情勢の特徴
三、危機打開、緊急切実な要求運動に全力を
四、大増税路線を打ち破り、民主的な税制・税務行政を
五、憲法を生かし、平和・民主主義を守る運動を
六、道理と団結、共同を貫く強大な民商・全商連を
七、助け合い共済を全会のものに
八、業者婦人対策の強化を
九、業者青年対策の強化を
十、おわりに

一、開催にあたって
 いま、日本の政治経済は、広範な国民と大資本との利害対立が高まり、持続可能な社会、人間復権の社会をどう構築するかをめぐるせめぎ合いが激化しています。
 世界有数の経済力を持ちながら、貧困と格差がかつてないほど激しくなるとともに、計り知れない犠牲の上に築かれてきた戦後の日本国憲法、平和と民主主義を根底から破壊しようとする勢力が台頭し、日本の前途への危機意識が広範な国民の間で強まっています。
 そして、消費税の増税中止をはじめ、原発ゼロやTPP(環太平洋連携協定)参加阻止、在日米軍基地の再編強化反対など、国民の共同と連帯が重層的に広がっています。
 民商・全商連はこの2年間、「中小業者の大同団結と平和的・民主的日本への貢献」を自らの歴史的使命とし、励まし助け合って苦難打開のたたかいに力を合わせてきました。
 東日本大震災からの生業再建や原発賠償とともに、中小業者への直接支援を広げ、「税金の在り方と使い道」を根本から批判する世論と運動を高揚させるため、たたかいを組織してきました。ここに、中小業者全体、大きくは国民全体の幸福に心を寄せ、団結と共同で切実な要求の実現と組織の拡大・強化に奮闘している民商・全商連運動のかけがえのない役割が示されています。
 今後2年間、憲法を守り生かすたたかいをあらゆる局面で強め、民商・全商連運動の継承・発展に本腰を入れて取り組みます。
 歴史の試練に耐え確かめられてきた、「民商・全商連運動の基本方向(以下、基本方向)」から活動を不断に検証し、納税者の権利宣言(第4次案)や日本版・小企業憲章(案)などの政策提案を確信として、歴史的な転換点を社会進歩の方向へ促進するため、持てる力を結集しましょう。

二、激動する情勢の特徴
1、苦難の広がりと国民意識の変化
 消費税率8%への増税など過酷な税金や社会保険料、燃油・資材や生活必需品の高騰によって経営も暮らしも逼迫し、中小業者・国民の苦難は耐え難いものになっています。
 消費税が5%に増税された97年からの17年間で国民の貧困化が進み続けています。非正規雇用は23・2%から37・6%になり、年収200万円以下は276万人増えて1090万人に及んでいます。また、貯蓄なし世帯は10・2%から31・0%に3倍化し、生活保護受給者は200万人を超えて増え続ける異常な事態です。
 大企業が潤っても、賃金や単価は上がらず、消費購買力は冷え切ったままで、景気回復などまったく実感できない状況です。
 商売をするにも困難が増え、将来不安も高まる中で、中小業者・国民の意識は大きく変化しています。
 多くの中小業者は商売が根絶やしにされかねない危機が広がる中で、懸命に働き、政治への関心を高めています。
 復興が遅れ、人口流出が続く被災地では、故郷での商売再建や原発事故の加害責任を追及するたたかいが広がっています。
 混迷する社会の中で多くの若者が「使い捨て許すな」という気持ちを高め、「反貧困」や「原発ゼロ」の声を上げ、足を踏み出しています。
 高齢者や生活困窮者は、情け容赦のない年金や生活保護の支給削減に対して、「このままでは生きていけない」と国や自治体に異議を申し立ててたたかっています。
 人々の営みはもとより、それを育んできた地域もろとも壊そうとする悪政への怒りが高まり、自覚的行動が広がっています。

2、国民の願いに逆行する暴走政治
 安倍政権の暴走は国民との利害対立と矛盾を日々激化させています。
 社会保障改悪と一体に消費税を増税し、大企業へ大盤振る舞いする予算案を強行したことをみても、「社会保障のため」「財政再建のため」という消費税増税の口実がまったくのでたらめであることが明白になっています。
 原発を再稼働させるエネルギー政策や、財界と一体に原発輸出をすすめる姿勢は、汚染水処理を後回しにし、原発ゼロの願いにそむく無責任かつ許しがたいものです。
 TPP参加でも、「守るべきものは守る」と公約しながら、重要5項目さえ守りきれず、日本の経済主権を売り渡す結果を招こうとしています。
 そして、沖縄新基地建設をゴリ押しするため、札束の力で県知事に辺野古への埋め立てを承認させ、オスプレイの低空飛行を日本全土に広げたことは、国民の安全を最優先すべき政府の使命を投げ捨てる行為に他なりません。
 同時に憲法を敵視し、戦争する国への野望をむき出しにした政治姿勢も鮮明になっています。
 首相自ら靖国神社に参拝し、公共放送であるNHKの経営陣をすげ替えて、過去の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する世論誘導を進めています。また国民の目、耳、口をふさぎ、国家による情報統制をすすめる秘密保護法を強行するとともに、侵略戦争の口実となってきた集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を強行し、憲法9条を空文化しようとたくらんでいます。
 こうした安倍政権の暴走は、自民党の支持基盤の崩壊と保守層の相次ぐ離反を招き、情勢の新たな激動を呼び起こしています。

3、希望の持てる経済社会をめざして
 いま、国の主権も国民の人権も脅かす暴走政治を阻止するために、憲法に根差した国民的なたたかいが求められています。
 憲法は世界に誇るべき進歩的な価値を持っています。国民こそ主人公であることを明確に示し、政府による戦争発動の歯止めとなり、「個人の尊厳」を守るために国家権力を制限し暴走を許さない力となってきました。それが可能であったのは、憲法の平和的・民主的条項を守り、徹底しようとたたかってきた中小業者・国民の不断の努力があったからです。
 民商運動は憲法を生かしたたたかいに彩られています。たとえば、「生存権」や「法の下の平等」「法定手続きの保障」などを納税者の権利と結んで、権力による人権無視の税収奪と対決してきました。「勤労者の団結権」や「結社の自由」を創造的に生かし、大企業の横暴や不公正取引を是正する力にしてきました。国保や年金の制度と運用を改善し「社会保障向上への国の使命」を果たすよう迫り、「両性の平等」に基づき業者婦人の働きが正当に評価される社会の実現をめざしてきました。
 民商・全商連は歴史的な歩みの中で、「納税者の権利宣言」を4次案まで発展させてきました。そこには、生活費非課税、大衆的消費課税の廃止、応能負担、申告納税制度の擁護発展、住民主人公にふさわしい地方税財政の確立、税金の使途を監視・是正することなどの権利を確立する重要性が明らかにされています。
 また、全商連創立60周年の節目に政策提案を集大成した日本版・小企業憲章(案)には、国民の圧倒的多数を極度の生活不安に追い込む社会のありようを根本から転換し、中小業者の社会的・経済的役割と可能性が大きく発揮される社会への方向が提起されています。
 国民・中小業者が希望を持てるよう、憲法が掲げる理想を現実のものにすることが強く求められています。

三、危機打開、緊急切実な要求運動に全力を
 デフレ不況に輪をかける中小業者いじめの悪政のもとでも、「商売を続けていること自体が社会貢献」の立場で共感を広げながら頑張ってきました。
 班・支部を基礎にした「商売を語り合う会」や商工交流会運動で自らの商売の値打ちと発展方向を学び合い、小規模工事登録や住宅リフォーム助成制度を確立させ、商工フェアなど地域で中小業者が輝く取り組みを広げてきました。
 経済危機を生き抜く努力とともに、すべての中小業者と連帯を広げ、商売を圧迫する悪政を転換させる運動そのものが営業と生活を守るたたかいの大道となっています。
 TPP参加は、日本の経済主権を放棄させようというアメリカの圧力に日本が屈服していく「亡国の選択」に他なりません。直ちに交渉から離脱するべきです。
 憲法を生かす運動として、日本版・小企業憲章(案)を要求実現の力にしていく時です。その柱は、(1)従来の小企業政策の根本的反省を進め、(2)小企業・家族経営の役割を正当に評価し、(3)営業の自由を保障する経営環境改善の政策を実現することです。これらはすべて憲法が規定する平和的・民主的な諸権利を原理とするものです。
 中小業者の要求実現は、日本国憲法を守り発展させる道につながっています。

1、経営力強化と仕事おこし・顧客拡大を
 小企業・家族経営ならではの苦労と喜びを交流するとともに、自主記帳・自主計算に基づく事業計画づくりに挑戦し、仕事おこし、顧客拡大に取り組みます。
 多様な小企業・家族経営の存在が庶民の暮らしを豊かにします。
 住民の生活に密着することで、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の商売発展の道が開けます。多様な要求を捉えるところから雇用や仕事、所得を生み出し、地域経済の再生・持続可能な社会づくりへと広がります。人間性や環境、風土、文化を大事にしてこそ、ものづくりやサービスが経営力強化につながり、地域住民からも支持されます。
 民商まつりや商工フェア、料飲オリエンテーリングなどを地域ぐるみで積極的に開催します。
 営業実績や資金繰りの見通しなどを数字で把握し、自分の経営を語って、営業発展への意欲を高め合います。小企業・家族経営の発展への道筋などを話し合い、多彩な知恵や工夫を身につける場を多様につくります。

2、地域経済を振興し、官公需施策の活用を
 自治体への働きかけを強め、中小業者の役割発揮と地域経済の活性化を結び付ける政策提案を強化します。
 地域経済への波及効果が実証されている住宅リフォーム助成制度をさらに広げます。
 地元業者の設備投資意欲をも誘発する、店舗・工場対象の「リニューアル助成制度」をすべての自治体で実現させる運動に挑戦します。
 公共施設の防災や老朽化の対策工事を地元優先で分離分割発注するよう要求し、低単価の歯止めともなる公契約条例の制定を求めます。
 ものづくりの補助や災害復旧などで直接支援制度を広げてきたことを確信として、その積極的活用と拡充に取り組みます。
 持続可能な社会に向け、地域から循環型経済を構築することが重要です。
 中小企業振興基本条例の制定を求めるとともに、中小業者の要求を基本に、自らが担い手となる具体的な振興策を提案していきます。
 まちづくりと商店街振興、ものづくり、再生可能エネルギーの取り組みなどを通じて中小業者の果たす役割への理解と信頼を広げていきます。

3、資金繰りの環境改善と融資獲得の運動を
 金融機関に融資実行の努力義務を課した金融円滑化法が廃止されたものの、機敏な交渉や懇談を通じて、金融機関に地域業者への支援継続を約束させてきました。
 「融資は権利」の立場で、自治体の制度融資改善・拡充をすすめ、融資獲得の運動を前進させます。
 消費税増税が経営を圧迫する情勢のもとで、中小業者の資金繰りへの抜本的支援策として「返済凍結」「新規融資付きの借り換え」などの実現をめざします。
 地域経済活性化、小規模事業振興に向けて地域金融機関の役割発揮を促します。
 民商・全商連が提案してきた「担保や保証人を不要とする」考え方が、一定の制度改善につながってきました。経営者保証ガイドラインをより使い勝手の良いものに改善させるとともに、事業再生への意欲を引き出す支援を強めるよう働きかけます。
 日本政策金融公庫をはじめ、各地で広げてきた創業支援融資の条件緩和や拡充を生かし、新規開業を応援して活用をすすめます。
 中小企業金融の円滑化と金融機関の地域経済への貢献を義務付ける「日本版・地域再投資法」の制定を求めます。

4、公正取引ルールの確立と問題別対策の強化を
 下請代金法や建設業法に基づく違法行為の取り締まりを強化させ、不公正取引を是正させます。
 大企業の下請けいじめに勇気をもって立ち上がる中小業者を応援し、公正なルール確立をめざします。建設下請け代金への元請け責任を果たさせるため、実効性のある行政指導を迫ります。法定福利費や社会保険料の別枠明示・支給と発注者責任を明確にする仕組みを確立するよう求めます。
 切実な要求を会員同士で話し合い、その正当性に確信を持ち、実現に向けて一緒に粘り強く努力することが運動の基本です。班会を基礎に、問題別・業種別に実態と対策を交流する場を多様に設定します。要求あるものが運動の先頭に立ち、それを民商全体が応援する取り組みを広げます。また、民商運動が国民諸階層や地域住民からも支持されるよう、広い視野から実績を宣伝し共同行動をすすめます。
 県連や民商で、さまざまな業界の課題と展望を語り合える懇談会の開催に挑戦します。

5、震災復興と原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換を
 被災支援で「個人財産・事業資産の形成に税金は使えない」という厚い壁を突き崩し、グループ補助や二重ローン解消などを実現してきたことは貴重な成果です。
 しかし、被災から3年を経過する中、医療・介護の免除縮小や再開発でのしゃくし定規な規制、住民無視の大型開発をすすめる国の姿勢が復興の妨げになっています。多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされ、営業再開の展望も見いだせず、いのちさえ危険にさらされています。
 大切なのは、生活と生業の再建へ、復興の格差を許さず、すべての被災者が歩み出せるよう国が公的支援を行うことです。
 原発事故で13万人の避難が続く中での「事故収束」はありえません。原発賠償の完全実施とともに生業再建にむけた取り組みを強化します。賠償金を非課税にする運動に本格的に取り組みます。再稼働・原発輸出に反対し、原発ゼロの共同行動を広げ、エネルギー政策の転換をめざします。
 各地で、太陽光や小水力、風力などのエネルギー開発へネットワークづくりも進められています。地域の風土や特性を熟知する中小業者が力を発揮し、再生可能エネルギーの普及発展に貢献する取り組みを強めます。

6、自治体と公務労働の本来の役割発揮を
 大企業本位の東京一極集中により、地域の疲弊が進行するもとで、自治体の中には福祉と合わせ、独自の産業政策に力を入れる動きが広がっていることは重要です。地方自治体には官公需や制度融資をはじめ、条例制定権を活用し中小企業振興の施策を拡充させる責務もあります。
 一方で、公務労働者の3人に1人が非正規雇用となり、「官製ワーキングプア」の広がりが、民間の労働条件の悪化にもつながっています。財界や安倍政権は、地方を大企業優先の活動基盤にする道州制や経済特区、公共サービスをもうけ口にする策動を強めています。
 公務労働者が、憲法擁護の義務を果たし、本来の役割を発揮できるよう共同を強めます。
 まちのコミュニティーと地域経済を守り、住民主人公の地方自治を確立する運動を強めます。

四、大増税路線を打ち破り、民主的な税制・税務行政を
 国民各層と連帯して消費税増税反対・中止のたたかいを大きく広げた2年間でした。
 署名を活用し旺盛な対話を広げるとともに、節目の国民集会や賛同を募っての意見広告、税理士など専門家や著名人によるアピール運動、3・13国民大行動などを多彩に取り組み、消費税廃止各界連絡会(各界連)の発展にも貢献して、「増税中止こそ最大の景気対策」の世論を広げてきました。
 改悪国税通則法の施行(2013年1月)後、事前通知の徹底など法定手続きを順守するよう機敏に交渉し、お尋ね文書乱発などの違法行為を是正させる成果も挙げ、納税者の権利を守ってきました。
 強権的徴収を許さず、当然の権利として納税緩和措置の適用を求める運動を展開し、売掛金や預金の差し押さえを解除させる成果を広げてきました。とりわけ、「児童手当の差し押さえは違法」と地裁や高裁で鳥取県を断罪した判決をかちとったたたかいは、過酷な徴収行政に苦しめられる人たちを励まし、困難打開の力にもなっています。
 徴税攻勢の嵐の中で誕生した民商・全商連の原点に立ち返り、「納税者の権利宣言」(第4次案)や税務行政に適正手続を求める「納税者の権利憲章」(第2次案)を学び、申告納税制度の擁護・発展と民主的な税制・税務行政の確立をめざします。

1、消費税増税反対の共同ひろげ、廃止への展望ひらく
 消費税率の8%実施が、国民と中小業者に未曽有の困難をもたらそうとしています。増税後の情勢と中小業者の経営実態を正確に把握し、税率の引き下げと10%阻止の国民的大運動を展開します。重税押し付けへの怒りを呼び起こし、大企業優遇・庶民いじめの税制をただす国会を求め、安倍首相の退陣を迫る政治的世論を広げます。
 各界連を通じた国民運動を重視し、構成団体の輪を広げつつ一点共同を強めます。業界団体や商店会などとの対話を進めます。逆進性や転嫁問題、輸出戻し税など消費税の根本的欠陥を告発し、あるべき税制についての理解を広げて、廃止への展望を切り開きます。
 3・13重税反対統一行動が、全国のあらゆる地域で国民的共同のたたかいとなるよう、会内外への働きかけを強めます。

2、大企業優遇税制をやめ、応能負担の徹底を
 生活費に食い込む容赦のない課税が、小企業・家族経営の発展を阻害する大きな要因です。消費税による重税押し付けが、払えない税金と徴収の強権化を引き起こし、営業と生活を直接破壊してきました。
 民主的税制への根本的改革は中小業者の死活がかかった切実な要求です。生活費非課税、応能負担を貫く税制の確立をめざしてたたかいます。
 大企業への特権的な減免税を中止させ、早急に法人税率を消費税導入前の水準に戻すよう国に迫ります。世論を高めて所得税法第56条を廃止し、自家労賃を経費として認める税制の実現をめざします。
 応能負担の原則を無視した税制が膨大な滞納を生み出しています。多くの中小業者は、国税・地方税、国保料(税)や年金保険料などの合計が所得の約4割にも達し、生きる権利が侵害されています。営業と生活の存続のため納税緩和措置を活用する集団申請の運動を推進します。

3、申告納税制度の擁護・発展、納税者の権利確立を
 改悪国税通則法や記帳「義務化」、滞納徴収強化、マイナンバー(共通番号)制度などによる税務行政の強権化がすすみ、申告納税制度が脅かされています。
 「申告・納税」は、憲法に規定された主権者・国民の当然の権利行使です。国民は「自分の税金は自分で計算して支払う」ことで政治に参加し、国家はこれを最大限尊重する義務があります。
 「国民の不断の努力」(憲法12条)によって申告納税制度を擁護・発展させることが重要です。権利を自覚し行使する納税者を増やし、民商を強く大きくすることが徴税権力の横暴を正すたたかいの基本です。
 助け合いの自主申告を萎縮させ、憲法に違反する税理士法の拡大解釈と断固たたかいます。同時に、重税に苦悩する納税者に心を寄せる税理士や弁護士など専門家との協力共同を大きく広げます。
 記帳「義務化」に対しては、自主記帳・自主計算を納税者の権利の土台として、会員一人ひとりが身につけることを重視し、自主計算パンフレットを日常的に活用し、学習する運動を強めます。
 調査や徴収、異議申し立てから裁判に至るあらゆる局面で、納税者の権利が貫かれるようたたかいます。
 税務調査の強権化に歯止めをかけるため、班・支部を基礎に納税者の自覚に基づく立ち会いを強め、不当な対応には機敏に抗議・交渉を行います。

4、社会保障の解体を許さず、いのちと健康を守る運動を
 庶民への重税押し付けと合わせ、国民の最低生活と生存権を保障する社会保障制度を解体しようとする策動が強まっています。中小業者にとって、社会保障は営業と生活の重要な基盤の一つであり、その崩壊はいのちと健康の危機に直結するものです。
 払いきれない国保料(税)とともに、社会保険料の滞納徴収や強制加入などによって廃業の危機に直面する中小業者の苦悩と相談が寄せられています。この中で要求ある者を先頭にたたかい、国保料(税)の引き下げや減免、医療費窓口一部負担金の減免などで実績をあげてきました。日本年金機構には、納付猶予申請書の交付を確約させ、売掛金・預金などの差し押さえを解除させてきました。
 いのちと健康を守る運動を強め、「社会保障制度改革推進法」の廃止をめざす世論と運動を広げます。国保や介護、社会保険の制度改善を要求し、国庫負担を引き上げさせます。あらゆる費用負担にも生活費の確保優先と応能負担が貫かれるよう働きかけます。また、徴収・納付猶予制度を積極的に活用するとともに、震災被災地での医療費と介護保険料の全額免除をめざします。

五、憲法を生かし、平和・民主主義を守る運動を
 「平和でこそ商売繁栄の道」の信条に基づいて、平和憲法を敵視する勢力と対決し、在日米軍基地の再編強化反対、核兵器廃絶などをめざし、多彩に奮闘してきました。
 復古主義に染まった安倍政権の暴走によって、日本国憲法が蹂躙されています。在日米軍基地や自衛隊配備が増強され、国民の大きな反対を無視して特定秘密保護法が強行されるなど平和と民主主義の危機が進行しています。
 閣僚や自民党幹部などから、ナチスドイツを肯定したり、「従軍慰安婦」問題で歴史を歪曲する発言も相次いでいます。その一方で、保守勢力からもあまりの暴走に危機感が広がり、解釈改憲を危惧する声も日増しに強まっています。安倍政権は東アジア近隣諸国との外交に行き詰まり、アメリカからさえ靖国参拝に「失望」が表明されるなど国際的孤立状態に陥っています。
 改憲への動きが強まる中、憲法の平和的・民主的条項をあらゆる運動に生かします。侵略戦争を肯定・美化する歴史の逆流をはね返す取り組みを強めます。

1、憲法改悪に反対し、民意反映の選挙制度、政治革新を
 安倍政権は、憲法擁護義務(第99条)を投げ捨て、「日本を戦争ができる国」へとつくり変えようと改憲に突き進んでいます。国家安全保障会議を設置し、戦時体制・法制度を準備しながら、集団的自衛権の行使容認を狙い、アメリカが引き起こす戦争への参戦をめざしています。
 憲法9条の空文化を許さず、解釈改憲に断固反対する運動をすすめます。武器輸出三原則の緩和や教育「改革」など憲法改悪につながるあらゆる策動を阻止するとともに、特定秘密保護法の撤廃を求めて共同を広げます。
 民意の反映に逆行し政治を劣化させている小選挙区制の廃止を求め、比例定数削減の策動を許さない運動をすすめます。累積6000億円にも達する憲法違反の政党助成金の廃止を求めます。
 中小業者の要求を実現するたたかいとして、要求と政治を結ぶ対話を重視し、全会員参加で政治戦をたたかえる民商建設を推進します。この間の総選挙や参議院選挙の教訓を生かし、主権者として政治革新に取り組めるよう奮闘します。
 「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)」の運動強化に貢献します。

2、米軍基地の強化反対、核廃絶、安保廃棄の運動を
 普天間基地の無条件撤去、辺野古への新基地建設反対という沖縄県民の総意と全国民が連帯した運動をさらに強め、オスプレイ配備・訓練の中止や基地拡張反対の運動を広げます。
 東アジア諸国との緊張関係を高める軍拡予算に反対し、憲法に基づく平和外交と基地に依存しない地域振興へと予算の使い道を変えるよう求めます。
 核兵器廃絶を求める粘り強い運動が、「核抑止力論」を唱える日本政府に矛盾を引き起こさせ、世論を無視できない立場へ追い込んでいます。
 被爆者の切実な願いと平和を求める国民の声を次代に引き継ぎながら、核兵器全面禁止のアピール署名をさらに地域から広げます。原水爆禁止世界大会の発展と結び、2015年のNPT(核不拡散条約)再検討会議に向けて、「核兵器のない世界へ」の圧倒的な世論をつくり上げる共同の運動を広げます。
 基地被害が広がり、自衛隊と米軍の共同作戦・訓練による侵略的な機能強化が進められていることも重大です。日本の政治と経済のアメリカ追従の根源となっている日米安全保障条約の本質を学習し、廃棄を求める運動を進めます。

六、道理と団結、共同を貫く強大な民商・全商連を
 この2年間、60年の歴史に学び、中小業者の生きる道ひらく強大な民商・全商連の建設に力を合わせてきました。
 第50回総会から約1年の折り返し点で開催した全商連・地方別活動交流会を結節点とし、商工新聞読者30万人の回復・突破と会員20万人からの反転攻勢をめざしてきました。
 地域を熟知する得手を生かして自治体対策を強め、消費税増税中止を前面に徴税攻勢と対決し、要求と政治を結ぶ対話運動を強めることで、信頼を高め、要求運動と組織建設を一体的に推進してきました。また、地域に門戸を開く相談活動に取り組むとともに、会員の多様な結び付きに依拠して「民商はいいよ」の紹介を広げつつ、読者前面の拡大を追求してきました。
 いま、経営と暮らしの基盤を根底から破壊する悪政によって、圧倒的多数の中小業者は心底、苦悩し、民商・全商連運動にもさまざまな障害がもたらされています。しかし、困難だけに目を奪われることなく、民商の「値打ち」に確信を深め、打って出る取り組みを強めるなら、全中小業者に占める会員・読者の組織率をさらに高め、多数派結集へと向かうことができます。
 「困った時には力になる」「相談できる仲間がいる」と、あらゆる局面で助け合いの手を差し伸べることが強く求められています。
 「増やしてこそ民商」の気概を発揮して組織の拡大・強化をめざします。

1、「基本方向」に基づく検証と学習の抜本的強化を
 要求実現の道筋を示して知恵と力を大いに発揮するにも、民商・全商連の前進を好まない勢力による攻撃をはね返していくためにも、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」という伝統の創造的な発揮が強く求められています。
 「基本方向」は、民商・全商連の歴史の中で、試され、確かめられてきた理念や目的、展望を示しています。確定から22年、一部改定から12年が経過する中で、要求運動や組織建設のよりどころとなり、教育制度の根幹として、その生命力を今日なお、発揮し続けています。
 道理・団結・共同の「三つの理念」や、運動体としての民商の真骨頂を示す「要求実現をめざす運動の基本」から自らの活動を検証するなら、民商のかけがえのない役割への確信を深めることができます。
 また「基本方向」を確かな土台として、要求実現の道筋を示す政策提案活動を発展させることが、大企業にも、国や自治体にも、堂々と意見を述べる団体として、会内外の信頼と共感を広げます。
 「基本方向」と「民商・全商連の60年史」を、激動する情勢に立ち向かい、困難や障害を一つひとつ乗り越えていく確かな力にすることが大切です。
 第51回総会期に、「制度学習大綱」に基づいて、県連・民商で積極的な「学習2カ年計画」を確立します。丁寧な呼びかけや講義内容の充実、参加者の発意を引き出す運営に努め、深い確信を会内にみなぎらせます。

2、旺盛な相談活動で、持続拡大と運動の継承発展を
 要求を掘り起こす対話運動ととともに、旺盛な相談活動に取り組んでこそ、切実な要求を実現し、組織拡大への展望が開かれます。読者前面の持続拡大を日常不断に追求するとともに、読者から入会への仲間づくりを系統的にすすめます。
 助け合いの相談で具体的な問題解決を図り、生き抜く意欲を高め合って、制度やルールの創設・改善を迫るとともに、仲間を増やすことで民商運動への確信を深め合います。
 営業と生活に直接関わる話題を「生きた情報」として発信し、焦点となる要求を具体的に解決する相談会開催を会内外に広く知らせます。ホームページを充実させ、ツイッターやフェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を、これまで接点のなかった中小業者や開業希望者との出会いを広げる宣伝媒体として活用していきます。
 相談活動の担い手を増やすため、寄せられた相談内容を分析・検討する機会を定期的に設け、商工新聞に大いに学んで押し出すテーマの設定を工夫し、実績・成果の宣伝を強めます。
 相談活動の発展・強化は、民商運動の世代的な継承発展にも不可欠です。
 まじめに働いても苦労が報われない事態の広がりに加え、その問題を個人の能力や家族の責任へとすり替える攻撃が若い世代に対しても強まっています。
 それだけに、「自己責任」にとらわれた意識を解放し、ともに困難解決へたたかい、権利主張の根拠を明らかにする相談活動が、実践的な運動の継承発展への確かな力になります。
 成功や失敗、喜びや苦労が蓄積されている業者人生の豊かな示唆を、若い世代の模索や試行錯誤、そして成長へと生かすよう「聞く力」を高めて相談活動の抜本的強化を図ります。

3、商工新聞を積極活用し、活発な班・支部活動を
 侵略戦争の真実をねじ曲げる極右勢力が公共放送で幅を利かし、新聞大手が相次いで消費税増税を礼賛して事実に反する「益税」論まで垂れ流しています。大手メディアが暴走する国家権力に迎合し、悪政の広報役への変質を強めていることは重大です。
 マスコミが権力の監視役となるよう働きかけます。同時に、機関紙ジャーナリズムとして本領を発揮する商工新聞とすべての中小業者との出会いを広く組織します。
 商工新聞は、あらゆる業種・地域を網羅して、たたかいを伝え、生きる力と要求解決の展望を示しています。この商工新聞をよく読むことで、魅力と役割への確信を高め、紹介し増やす力を強めます。配達・集金への会員参加を広げ、ひと声かけて民商の催しを知らせ、購読継続を呼びかけます。通信・ニュースを作成し、県連と全商連に送付することで紙面を充実させます。
 情勢の激動に全会員参加の運動で立ち向かうには、商工新聞の積極活用と結び、会員相互のつながりを保障する班・支部建設が重要です。活発な班・支部活動が、一人ひとりの会員を民商運動の主人公にし、地域に合わせた方針の具体化と行動を広げます。
 商工新聞中心の活動と結び、班・支部から「集まって、話し合い、相談し、助け合う」取り組みを抜本的に強めます。団結の力で人権無視の徴税攻勢を許さないよう、立ち会いの意義を深め合うとともに、新会員を歓迎してつながりを強め、商売の工夫や苦労、地域の変化をみんなのものにします。班長や支部役員の自覚的な行動が強まるよう実務の改善をはかります。

4、団結を強める機関運営と連合会組織の役割発揮を
 民商・全商連は、憲法が保障する「結社権」を創造的に生かし、会員の総意を結集する運営に努めることで発展してきました。規約を構成員の誰もが守れ、団結を強める基準とし、また「基本方向」が示す運動のあるべき姿への理解を、行動を通じて広げていくようにします。
 毎年の基本調査結果を、月末現勢の年間集約や全商連共済会のいのちと健康を守る活動集約などとも結び、拡大を基点とした活動改善に生かします。
 すべての民商が、一回一回の機関会議を充実させ、運動の前進に向けた気概や行動計画を討議して、月サイクルの活動の確立をめざします。商工新聞や月刊民商、全商連会報から全国の仲間の前進的・教訓的な取り組みを学ぶ気風を高め、運動体にふさわしい財政活動を強めます。
 SNSを活用する際は、不団結を招かないよう充分な注意が必要です。蓄積した個人情報の保護はインターネット巨大企業の自主規制でしかなく、不特定多数に訴えることのできないような内容は書き込まない自覚が求められます。
 相談が困難かつ複雑になり、十分な事務局体制が取れない民商も増えているだけに、県連の役割発揮が重要です。
 民商は県連への結集を強め、要求解決の知恵や自治体対策、業種別・問題別対策を推進し、連帯感ある拡大に取り組みます。運動の共同の推進者として、役員会と事務局の団結と相互信頼を深め、事務局活動の発展・強化を民商・県連・全商連が連携し、系統的に強めていきます。

5、多数派結集へ節目ある「目標と計画」の具体化を
 今後の2年間、道理と団結、共同を貫く強大な民商・全商連の建設に挑戦します。
 2012年経済センサス活動調査の結果に基づき、全国目標として対象業者数の10%(約31万8000人)を組織するよう、読者前面の拡大に取り組みます。すでに10%以上を仲間に迎え入れている民商、県連は、多数派結集の大志を持ち、読者から入会への取り組みを相乗的に発展させて、さらなる前進をめざします。
 節目の2015年3月末を、読者30万人・会員20万人から減らさず増やし、大きく上回って迎えるよう力を尽くします。
 今日、歴史的な転換点にある情勢の激動を前向きに打開するには、「地域にどんな民商をつくるのか」を深く討議し、全会員参加の運動を探求することが強く求められています。
 会員一人ひとりのごく身近な問題、切実な要求から出発するとともに、国民のたたかいによってどう変化・発展しているのかをとらえ、個別的な問題も全体の中に位置付けて、変革の立場から行動を起こすことが大切です。
 担当する地域の特性や業種構成とともに、民商会員やその家族が同業組合や商店会、町内会などで担っている社会貢献も視野に入れて、民商運動をどう発展させていくかの目標を確立し、充実をはかります。同時に、力を合わせた要求実現や拡大を基点とした活動改善にむけて、仲間の自覚的な力を引き出す手立てを確立し、その前進をみんなの喜びにします。
 共済会や婦人部、青年部の活動からも商工新聞の魅力を明らかにし、総合力を高めます。

七、助け合い共済を全会のものに
 全商連共済会は今年30周年を迎えました。
 体が資本の中小業者にとって、健康を気づかい、心のこもった慶弔金を届け、集団健診活動の促進など多彩な活動に取り組んできたことは、かけがえのないものです。
 中小業者とその家族の健康破壊が進み、集団健診の結果でも異常がある人が83・8%に達しています。家族の誰かが病気やけがで倒れれば、たちまち経営危機に直面するのが中小業者です。それだけに、助け合い共済を全会のものにすることが強く求められています。
 今回の全商連と全商連共済会の連続総会を新たな出発点にして、全会員加入で助ける喜びと助けられる喜びを分かち合う取り組みを強めます。会員拡大と共済の同時加入をすすめるとともに、業者婦人の健康にも心を寄せ、配偶者の共済加入を広げます。
 班に共済係、支部に共済役員を確立し「目くばり、気くばり、心くばり」で、いのちと健康を守る活動を強めます。
 TPP参加や保険業法の「再々改定」で、すべての共済を保険商品と同等に規制し、もうけの道具にしようという策動が強まっています。こうした攻撃を許さず、助け合い共済を守ります。

八、業者婦人対策の強化を
 全婦協は今年、結成40周年を迎えます。その歩みの中で、業者婦人の地位を向上させ、民商・全商連の発展にも大きく貢献してきました。
 婦人部の暮らしと営業の見直し運動は、あふれる胸の内を語り合い、権利主張の根拠も明らかにし、小企業・家族経営が生き抜く道を広げるための自主計算活動の発展にも役立っています。
 所得税法第56条廃止をめざし、自治体の請願採択をさらに広げて政府の決断を迫ります。
 国保料(税)の引き下げや、出産育児一時金の増額、就学援助制度の拡充などの要求実現へ、婦人部の力が発揮できるよう援助を強めます。
 業者婦人のつながりを生かした商売交流を促進し、女性の視点を生かした開業要求や経営発展に応えられる民商をめざします。
 国、自治体に、女性経営者施策の充実を求めます。
 会内のすべての業者婦人に声をかけ、全民商に会員比6割以上の婦人部をつくるよう援助を強めます。

九、業者青年対策の強化を
 ものづくりの技術や伝統文化を守り、持続可能な社会をつくり上げていくためにも、民商・全商連には独立・自営の道を歩む青年たちへの支援強化が強く求められています。
 民商青年部には、生き方を模索し、商売を熱く語り合える仲間がいます。全国業者青年交流会の参加を契機に、民商の助け合い精神に感動し、青年部活動を活性化させている経験も広がっています。
 事業継承を応援し、新規開業対策を強めて業者青年に魅力ある民商建設をすすめます。
 商売を継ぐことに展望を与え、開業資金獲得の力ともなる計画書作りなど、青年の経営要求に応えた取り組みを重視するとともに、青年部を卒業後も、商工交流会運動や民商まつりなどで活躍できる機会を広げます。
 次の時代を担う業者青年が、民商運動の理念や歴史、役割を学べる機会を増やします。
 全青協は2015年に結成40周年を迎えます。青年部の卒業者が今日では民商運動の継承発展に大きな役割を果たしています。すべての民商に青年部をつくり、1万5000人の全青協づくりに挑戦します。青年対策を位置付け、業者青年の実態や要求に寄り添って成長を促す指導援助を強めます。

十、おわりに
 民商・全商連の60年余にわたる歩みは、困難・障害を一つひとつ乗り越えてきたたたかいの歴史に彩られています。
 民商・全商連運動のかけがえのない役割に確信を深め、「基本方向」を力にして、要求実現の運動と仲間増やしを広げ、魅力ある組織をつくりましょう。
 中小業者が、平和で豊かな社会、地域に根ざし地域とともに繁栄し、役割を発揮できる社会をめざして奮闘しましょう。

全国商工新聞(2014年6月9日付)
   
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