憲法擁護へ共同強め 自由法曹団と懇談

全国商工新聞 第3332号10月15日付

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「自由と民主主義を守るたたかいの共同を広げていきたい」とあいさつする太田会長

 全国商工団体連合会(全商連)と自由法曹団は9月26日、自由法曹団の事務所で、倉敷民商弾圧事件、納税者の権利の確立などで懇談を行いました。自由法曹団の弁護士は、税金裁判、弾圧事件などで全商連と協力共同を進めてきましたが、両団体役員がそろって懇談するのは「30年以上なかった出来事」(太田義郎会長)。喫緊の問題などで、今後も意見交換することを確認しました。
 懇談には、自由法曹団から、船尾徹団長、加藤健次幹事長、森孝博事務局長、鶴見祐策弁護士ら13人が、全商連からは太田義郎会長、鎌田保、星実の両副会長、中山眞常任理事などが参加しました。
 船尾団長は、税務当局による民商弾圧事件として有名な「中野民商事件」を担当したことにも触れながら、「民商は税務行政の民主化、自主申告の権利確立のためにたたかってきた。今日は忌憚のない意見交換をしたい」とあいさつ。太田会長は、自民党総裁選で支持者以外を排除した、安倍首相の秋葉原での演説会を紹介した上で「異論を許さない自由と民主主義の危機が進行している。市民の権利擁護、民主主義を守るたたかいを共同して大いにやっていきたい」と語りました。
 倉敷民商弾圧事件とのたたかいでは、鶴見弁護士が問題提起。「この事件の本質は弾圧事件である」と断言した上で、税理士法違反事件の上告を棄却した最高裁決定を盾に取って攻撃してくる可能性に触れ、「知恵を出し合って具体的な対処の検討」を呼び掛けました。
 参加者からも「憲法改正と国民投票が具体的な課題になってくるなかで、最高裁決定を民主団体攻撃の材料にされる可能性がある」「禰屋さんの事件では、検察側がいまだに立証計画を出せない。公訴を取り下げさせる全国的な運動が大事」などの意見が出されました。
 納税者の権利宣言問題では、中山常任理事が「不公平な税制の実態」を図表なども使って簡潔に説明するとともに、「納税者の権利宣言」(第5次案)の柱に沿って「能力に応じて公平に負担する原則をあらゆる分野に徹底したい」と報告。
 意見交換では、来年秋に迫った消費税率10%への引き上げ、複数税率、インボイスの問題点を紹介。参加者からも「弁護士の申告にも直接関わる問題」などの声が上がりました。税制や税務に詳しい弁護士が少ないことも報告され、全商連と学習会を行うことや、今後、懇談会を定期的に開催し、マイナンバーや風営法対策などについても協議していくことを確認しました。

《自由法曹団とは》

 1921年、神戸における労働争議の弾圧に対する調査団が契機となって結成された弁護士の団体。「基本的人権をまもり民主主義をつよめ、平和で独立した民主日本の実現に寄与すること」を目的とし「あらゆる悪法とたたかい、人民の権利が侵害される場合には、その信条・政派の如何にかかわらず、ひろく人民と結して権利擁護のためたたかう」としている。会員約2100人。全国に41の支部がある。

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