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  トップページ > 活動のページ > 全国商工新聞 第3125号6月30日付
 
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小企業の役割示し全商連の政策を提起=参院委で太田副会長が陳述

 小規模事業者・個人事業主への支援に光を当てる小規模企業振興基本法案など小規模二法案の参考人質疑が17日、参院経済産業委員会で行われ、全国商工団体連合会(全商連)の太田義郎副会長ら3人が意見陳述しました。他の陳述人は全国商工会連合会の森田哲夫副会長と中小企業家同友会全国協議会(中同協)の鋤柄修会長。

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仕事おこしなど小規模二法案に基づく具体策について陳述した太田副会長

 「町の米屋のおやじ」と自己紹介した太田副会長は、結成以来、60年余にわたって小規模事業者と個人事業者の社会的経済的地位向上をめざし活動してきた全商連の姿を示しながら、小規模企業振興基本法案について「5人以下の小規模事業者と個人事業者への支援に光をあてたもの」と語りました。
 その一方、(1)町工場では、海外移転が進む中で仕事量が減少し、単価・工賃も“アジア並み”に引き下げられている(2)商店街では空き店舗が増え、地域の活力が失われている―と中小業者が置かれている厳しい実態を指摘しました。
 その上で、全商連が「日本版・小企業憲章(案)」を作り上げ、小企業・家族経営の役割を解明し、「小規模事業者が元気になれる」政策方向を示してきたことに触れ、それを踏まえた小規模企業振興策を3点に絞って提起しました。
 一つは「地域での仕事おこしによる地域経済の振興策」です。
 太田副会長は「地域循環型経済振興」の具体例として、全国に広がる住宅リフォーム助成制度を紹介。経済効果も30倍近くに及んでいるとし、「すべての自治体で推進できるように、国が財政支援を」と訴えました。
 二つめは「憲法理念を踏まえた応能負担原則の確立で小規模事業者の税負担の軽減を図ること」です。
 全商連の調査で消費税を転嫁できない業者が約半数に上っていると指摘。一方、フランスでは個人の起業を促すため、付加価値税(消費税)の徴収が3年間免除され、売り上げがない場合は所得税も社会保険料も免除されているとし、「個人事業者に対する思い切った税負担の軽減」を求めました。
 三つ目は社会保険料の負担軽減と金融の円滑化です。
 「小規模事業者にとって金融は命綱」と強調した太田副会長は、金融円滑化法終了後、信用保証制度の見直しなど憂慮する事態が広がっていると強調。「廃業をできるだけ少なくするための金融対策」や地域再投資法など中小企業金融の円滑化、また、社会保険料の負担を軽減する支援策を求めました。
 最後に小企業・家族経営が戦後日本の経済成長を支え、大災害から地域を再生させる上でも大きな役割を発揮してきたとし、「この役割を正当に評価し、事業の継承、発展を保障することが行政の責務」と強調しました。
 森田、鋤柄両氏も「小規模企業の振興と地域の発展は表裏一体の関係」「中小企業は社会の主役として地域社会と住民生活に貢献している」など基本法案への期待を述べました。

小規模企業振興基本法(概要)

国・自治体の責務明記
小規模企業振興基本法とは

 従業員20人(商業・サービスは5人)以下の小規模企業が地域経済の担い手、雇用の創出・維持に大きな役割を果たしていることに着目し、事業の持続的発展を図る施策を、国や地方自治体が連携・協力し講じるよう求めた新しい法律。小規模企業に焦点を当てた法律は初めてで、先の国会において全会一致で成立しました。
 同法は、国が5年間の基本計画を定め、政策の継続性、一貫性を担保するとともに、講じた施策について国会への報告を義務付けるとともに、地方自治体にも小規模企業の振興について「区域の諸条件に応じた」施策の策定とその実施の責務を課しています。
 基本的施策として(1)多様な需要に応じた商品・サービスの販路拡大、新事業展開の促進(経営戦略策定支援など)(2)経営資源の有効な活用及び個人の能力の発揮の促進(事業承継、創業、第二創業支援など)(3)地域経済の活性化に資する事業の推進(地域需要対応型事業の推進など)(4)適切な支援体制の整備(連携の強化、手続きの簡素化など)―を列挙しています。
 全商連は「日本版・小企業憲章(案)」などで、小規模企業・自営業者が日本経済、地域経済で果たしてきた役割を明らかにし、あるべき政策方向を示してきました。小規模企業振興基本法の制定に当たっても「小企業・家族経営を守り支援する政策の具体化と推進」を求めています。
 なお、商工会及び商工会議所による小規模事業者への支援を定めた「小規模支援法」(二つを合わせて小規模二法という)も成立しました。

全商連・商工会・中同協の3団体 外形標準課税に断固反対

 売上金や従業員数などをベースに赤字法人にも課税する外形標準課税について、全商連の太田副会長はじめ、全国商工会連合会の森田副会長、中同協の鋤柄会長の3氏がそろって「断固反対」との態度を表明しました。小規模企業二法を審査する17日の参院経済産業委員会の参考人質疑で答えたものです。
 外形標準課税について、太田副会長は「断固反対」と述べた上で、「消費税は赤字でも納めなければならない。そこへ外形標準課税がかかってくると、商売をやめなさいということと同じ。これは小規模企業振興法の趣旨にも反する」と表明。
 森田副会長は「大反対。安倍首相の賃上げをしていこうということにも真っ向から反する」としました。
 鋤柄会長も「断固反対」と明言した上で、全国47都道府県にある中同協のすべてで反対を表明していることを紹介。「消費税が3%上がったのに加えて、第2弾として企業を直撃すると、もう廃業につながってしまう」と述べました。
 消費税について、太田副会長は「大金持ちも貧乏人も同じ税額を払う」「大企業は輸出戻し税によって、払う消費税よりも、もらう金額が大きい」とシステムの欠陥を指摘するとともに、「10%になれば、国民生活はもっと大変になる」と表明しました。
 森田副会長は「従来から反対を表明している」とした上で、弱いところほど消費税が転嫁できないことに触れ、「こんなに世の中で不公平なことはない。大変苦労している」と答え、鋤柄会長も、消費税が転嫁できない問題について「日本流の消費税の欠陥」と批判しました。

全国商工新聞(2014年6月30日付)
   
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