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【談話】

国税通則法に国税犯則取締法を「編入」する策動に断固反対する

2017年2月17日
全国商工団体連合会 事務局長 岡崎民人

 安倍晋三内閣が2月16日に衆議院本会議で趣旨説明を行った「所得税法等の一部を改正する等の法律案」には、見過ごすことのできない重大な問題が含まれている。

 第1に、国税通則法(通則法)に国税犯則取締法(国犯法)を「編入」することである。税務行政の適正手続きや、「(税務署員の権限は)犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」など課税権の限界を示し、自主申告権をはじめとした納税者の権利を定める通則法と、巨額な脱税犯を取り締まる国犯法は、法の趣旨がまったく異なっている。しかも、50年以上も別個に存在していた異質の法律を一つにまとめることへの道理ある根拠は示されていない。

 第2に、現行の国犯法で規定されている捜査権限を強化した上で、通則法に盛り込むことである。悪質な脱税やタックスヘイブンを悪用した税逃れへの厳格な対処は当然といえる。しかし、パソコンデータの差し押さえやインターネット接続サービスを提供する企業に対する通信履歴データの保全要請、強制調査の夜間開始など、強権発動の根拠とされる刑事訴訟法や関税法にならった犯罪調査の手法が納税者全体へと拡大されるなら、国税当局による監視やプライバシー侵害が際限なく広がることになる。

 第3に、国犯法が規定する懲罰的な罰則が通則法上の罰則になることである。その中には、現行の国犯法にある「納税者がすべき国税の課税標準の申告をしないこと、虚偽の申告をすること又は国税の徴収もしくは納付をしないことを煽動(せんどう)したものは、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」など、当事者だけでなく第三者や団体を処罰する条文も含まれている。税金対策を話し合う団体への弾圧法規とされかねない条文を通則法に盛り込むなど、言語道断である。

 いまでも、任意調査でありながら、内観調査(おとり調査)や、納税者の承諾なしの反面調査、「動向確認」と称する偵察行為など、納税者を犯罪者扱いする不当な調査が行われている。通則法への国犯法の「編入」によって、任意調査と強制調査の境があいまいにされる危険性がある。脱税調査への移行をちらつかせて納税者を言いなりにさせ、「7年さかのぼって重加算税を課す」といった強権的な税務調査が横行しかねない。

 個人の尊厳を守る立憲主義の立場を投げ捨て、納税者の権利憲章の制定を拒みながら、「共謀罪」にもつながる通則法の大改悪を行うなど断じて許すわけにはいかない。
 民商・全商連は、この策動に断固反対し、納税者の権利を守る運動のさらなる発展をめざして奮闘するものである。

以上
   
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