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  トップページ > 方針・決議 > 全国商工新聞 第3117号4月28日付
 
方針・決議
 

全商連第51回総会方針(案)上/用語解説

一、開催にあたって

▼TPP(環太平洋連携協定)
 自由貿易協定で物品の関税は100%撤廃を原則とし、米国型の「貿易と投資の自由化」「市場原理」を国際ルールとして押し付けようというもので、米国企業のもうけのために、日本の市場を開放させるのがTPPの本質です。
 しかも、交渉の内容や政府間で決めたことは、締結後4年間は公表しないという秘密協定です。
 政府はこれまで、コメと麦、砂糖、牛・豚肉、乳製品の重要5項目を関税撤廃の対象外とすることを公約してきましたが、それさえ投げ捨てようとしています。

▼在日米軍の再編強化
 米軍は、日米安全保障条約を根拠に、沖縄をはじめ、日本全土に駐留しています。米国は、世界規模の米軍再編の一環として、在日米軍の態勢や基地機能を強化することを狙っています。
 沖縄では、普天間基地の「県内移設反対」が県民の総意になっていますが、日米両政府は名護市辺野古への移設を押し付けようとしています。しかし、沖縄県民と国民は国の圧力をはねのけ、名護市長選挙で「新基地建設反対」の稲嶺市長を再選し、米軍基地の再編強化反対の意思をキッパリ示しました。

▼「民商・全商連の基本方向」
 民商・全商連のめざす方向、運動の進め方などをまとめたもの(1992年制定、2002年一部改訂)。運動の中で確立してきた「三つの理念」((1)会員の利益・幸せだけでなく、中小業者・国民全体の幸福に力を尽くすこと(2)団結こそ何ものにも勝る宝(3)共通する要求で労働者・農民など国民各層と連帯し要求実現の道を切り開く)や、「中小業者の時代」を切り開く民商運動の展望を明らかにし、共感と信頼を広げてきました。

▼「納税者の権利宣言」(第4次案)
 民商・全商連の税金要求運動を通じて、その精神と到達点をまとめた税金に関する政策提言です。1977年に第1次案を発表し、3度の改定を重ね、2001年に第4次案を発表しました。
 憲法に基づく税制として、(1)生活費に課税すべきではない(2)大衆的な消費課税は廃止すべき(3)税金は能力に応じて公平に負担すべき、をはじめ6項目を打ち出しています。

▼日本版・小企業憲章(案)
 全商連は2011年7月、第2回理事会で日本版・小企業憲章(案)を確認しました。
 憲法が規定する幸福追求権、生存権や財産権、職業選択の自由など民主的諸権利を踏まえ、小企業・家族経営の営業の自由が実質的に保障される経済社会の建設をめざし、小企業への支援策の実現を迫るものです。
 1章は小企業政策の根本的転換を、2章では小企業・家族経営の役割の正当な評価を、3章では小企業・家族経営の経営環境を改善する政策方向を提案しています。

二、激動する情勢の特徴

▼国民の貧困化
 労働者の年収は1997年以来、平均で77万円も減少しています。最近でも、23カ月連続で所定内賃金が前年同月水準以下となっています。
 低賃金の非正規雇用で働く人の割合は、37・6%に上昇、年収200万円以下で働く人が1090万人に達しています。
 生活保護受給者も216万人超。市町村民税(均等割)非課税の人口が2400万人にもなります。国保の滞納も372万世帯、年金保険料の納付率は60%を切っています。

▼年金・生活保護の支給削減、異議申し立て
 2013年8月より、3年かけて一世帯平均6・5%、最大10%、総額670億円の生活保護費が引き下げられました。これに対し、「全国生活と健康を守る会連合会」を中心に、県知事に対し、全国で1万人を超える不服申し立ての審査請求運動が展開されました。
 また、年金支給額が同年10月より、3年かけて2・5%、総額1兆円を超える削減が実施されました。
 これに対し、「全日本年金者組合」を中心に12万6000人が不服審査請求を年金事務所に提出しました。

▼大企業へ大盤振る舞いする予算
 2014年度予算は、「消費税増税による悪影響を防ぐ」ための13年度補正と合わせて100兆円超の大型予算です。国民・中小業者には増税と負担増を押し付け、大企業には減税と大型公共工事のバラマキ支援が中心です。
 7兆円を超える公共工事は物流ネットワークや国際コンテナ戦略港湾、首都圏空港、整備新幹線など、大企業のための大型公共工事に集中。さらに大企業には復興特別法人税の1年前倒し廃止による6453億円の減税をはじめ、設備投資促進や研究開発など5810億円の減税を盛り込んでいます。

▼エネルギー基本計画
 政府は4月11日、国のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画を閣議決定しました。東電福島第一原発の事故を収束できず、核のごみの行き場も決められないなど多くの課題を残したまま、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働を進める方針を明確にしました。
 民主党政権は2012年9月に「30年代の原発稼働ゼロ」を盛り込んだエネルギー・環境戦略を作成しましたが、閣議決定はできず、政権交代後、自公連立政権が改定する議論を進めていました。

▼沖縄新基地建設
 「米軍再編」で日米両政府は、普天間基地移設計画と引き換えに、名護市辺野古沖を埋め立て、1600メートル級のV字型滑走路など、米海兵隊の最新鋭出撃基地の建設計画を押し付けようとしています。中心には、米海兵隊の輸送機MV22オスプレイの配備があります。これに対し、2014年1月の名護市長選挙では、辺野古移設反対が公約の稲嶺市長が大差で再選。「新基地ノー」の審判をきっぱりと突き付けました。

▼秘密保護法
 国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、報道を規制し、知ろうとした人なども処罰するという内容です。何が秘密なのかさえ秘密にされ、国民の目、耳、口をふさぎ、「国民の知る権利」など憲法の基本原則を覆す悪法です。2013年12月の第185回国会で強行成立させられましたが、国民の反対の声は収まるどころか高くなる一方です。

▼集団的自衛権の行使
 「日本が攻撃されなくても同盟国への攻撃を実力で阻止する権利」と政府は集団的自衛権行使を説明しています。米軍のアフガニスタン戦争の際、同盟軍として英軍が一緒に戦ったように、自衛隊が米軍と一緒に海外で戦争できる国に変えるということです。憲法9条で、海外での武力行使は許されないというのが憲法の平和の理念です。安倍首相は、この解釈の変更を閣議決定で行うと発言。立憲主義・法治国家にあるまじき策動を狙っています。

三、危機打開、緊急切実な要求運動に全力を

▼小規模工事登録制度
 地元中小建設業者の受注機会の拡大を図るための制度です。自治体が発注する小規模な工事や修繕について、あらかじめ受注・施工を希望する業者に登録してもらうことにより、入札参加資格にとらわれず、地元業者を積極的に選定対象にすることが目的です。
 2010年3月31日現在、全都道府県の439自治体で実施されています。

▼住宅リフォーム助成制度
 地域住民が住宅をリフォームする際に、地元業者が工事を行うことを条件に、自治体が一定の補助金を出す「住宅改修助成制度」。
 少額の助成でも工事契約高への直接波及効果は10倍、さらに生産、所得、雇用の誘発など16・6倍の経済波及効果(秋田県の場合、入谷貴夫・宮崎大学教授による産業連関分析から)を生み出し、住民、業者、地域経済にとって「三方よし」の政策です。
 2012年7月1日現在、3県530市町村が実施しています(現在、2月末時点での実態を調査中)。

▼リニューアル助成制度
 2013年に群馬県高崎市が創設した「まちなか商店リニューアル助成事業」は、店舗の改装や備品の購入などについて100万円を上限に半額を補助する制度です。シャッター通りを解消する有効な方法はないかと同市が、ヒアリングなどの調査をもとに創設したもの。(1)仕事をおこす(店舗のリニューアル工事で地域業者の仕事をつくる)(2)内需の循環をはかる(助成は地域振興券でされ、まち全体への波及効果が期待できる)(3)業者を元気にする(リニューアルを通じ経営意欲を高め、新たな顧客確保や売り上げ拡大につながる)という「一石三鳥」の効果があり、中小業者支援として好評です。

▼中小企業振興基本条例
 地域経済の再生をめざし、従来の誘致型ではなく、内需・中小企業振興型で地域経済を活性化させる取り組みとして、条例制定の運動が広がっています。
 中小企業基本法第6条「地方公共団体の責務」を根拠にするもので、地域の中小企業に最も身近な行政である自治体が、その地域の実情に適した産業振興・中小企業施策を実施する土台となるものです。2014年4月1日現在、31道府県120自治体で制定されています。

▼個人保証ガイドライン(経営者保証のガイドライン)
 経営者保証には信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、破綻の際に経営者が重い責任を負うことになり事業再生や再出発などを阻害する要因となるなど大きな問題がありました。これらの課題を解消するために中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めない(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費など(従来の自由財産99万円に加え、年齢などに応じて100万〜360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討する(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除する-ことなどを規定しています。

▼日本版・地域再投資法
 米国では、低所得者層などが多く住む地域への融資差別をなくすための「地域再投資法(CRA)」(1977年制定)があります。この法律は、金融機関に対し、低所得者や中小企業を含め、営業地域の資金需要に適切に応える責任を求めています。日本でも、日本版「地域再投資法」を制定し、金融機関が地域のニーズにどのように応じているか、具体的な数字を公表し、一定割合の融資を義務付けることなどが提案されています。

▼下請代金法や建設業法に基づく取り締まりによる不公正取引を是正
 下請け代金の減額や単価たたきなど、大企業などの取引上の優越的地位を乱用した不公正取引が横行しています。下請代金法や建設業法は、下請け(請負)代金の支払い遅延や減額、買いたたきなどを禁じ、下請け事業者などの利益を保護しようとする法律です。禁止行為が確認された場合、公正取引委員会などが是正を命ずる勧告や罰金を課すことができます。しかし、下請け業者側からの告発は期待できないのが実情で実効性を上げるためには、立ち入り検査権の強化や罰則強化、被害企業への損害賠償制度の創設など、制度改善や下請け検査官の増員などが求められます。

▼建設下請け代金への元請け責任
 建設産業は重層下請け構造が特徴です。これが進んだ要因は、建設生産の内容の高度化などによる専門化・分業化の進展だけでなく、繁閑の発生への対応や外注によるコスト削減があります。激しい競争のなか採算度外視で仕事確保に走る業者も少なくなく、2次、3次の業者の倒産により末端の下請け業者の下請け代金が未払いになることもしばしば生じます。そのため、建設業法第23条の6では、元請け責任を明らかにするとともに、同41条では当該特定建設業者に「立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告」できるとしています。

▼官製ワーキングプア
 「官から民へ」と公務労働を大企業の市場に開放する政策のもとで、公務員が正規から非正規へと代替が進められました。基幹業務を担っているにもかかわらず、非正規となった公務員の年収は150万〜170万円程度。国や自治体が「ワーキングプア」を生み出している実態を表した言葉です。

▼道州制
 政府・財界が「究極の構造改革」と位置付け、都道府県を10程度の地域に分割し、「東北州」「関西州」などの「広域自治体」をつくる構想で、約1700の市町村も300程度の「基礎自治体」に再編しようとしています。
 狙いは社会保障などに対する政府の役割を縮小し、大企業の要求に応えて、より大規模な事業を行えるよう、地方行政の規模拡大を図ること。
 安倍自公政権は「道州制推進基本法案」の国会提出をたくらんでいますが、市町村議長会などが反対しています。

▼経済特区
 アベノミクスの成長戦略の大きな柱として「国家戦略特区」構想があります。政府が指定した特定地域内で医療、農業などの規制緩和や優遇税制を実施する大企業支援策です。
 「経済特区」ではさらに国税・地方税・関税などの優遇措置に加え、投資や雇用に対する助成、長期・低利融資など類をみない投資環境が整備されます。現在、国内で唯一指定されている地域は法人課税所得の35%控除が実施されています。

全国商工新聞(2014年4月28日付)
   
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