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声明・談話
「まちづくり3法」の抜本改正と
中小業者・国民本位の商業政策をめざす緊急提言
2005年7月15日 全国商工団体連合会


緊急提言の発表にあたって

 
 「大店法」(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)が廃止されてから、すでに6年が経過しました。
政府はその後、いわゆる「まちづくり3法」(大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法・改正都市計画法)によって、「地域の生活環境を保持」し、「小売業の健全な発達」をはかるとしてきましたが、現実に広がったのは大型店の無秩序な郊外出店でした。
 深夜営業や異常な24時間営業が増えたことに対し、「大型店が匿名性の強い空間となり、犯罪多発の温床になっている」との指摘があります。また1万uを超える巨大郊外店舗が「まちの顔」である中心市街地や商店街の衰退を招く「引き金」となり、交通渋滞や騒音による住環境の悪化や、歴史ある街並み・景観、自然の破壊など、地域社会にさまざまな悪影響を及ぼしています。そして車がなければ日常の買い物にも不便をきたすようなまちやむらが増えています。
 政府は98年当時、アメリカと大手小売資本の圧力を背景として、「大店法による商業調整は、WTO(世界貿易機関)違反」とくり返し、大店法の廃止を強行しました。大店立地法にわざわざ「小売業の店舗立地に関し、地域的な需給状況を勘案することなく」(第13条)と書き込み、事実上、大型店の出店を野放しにしました。
 しかし今日、日本ほど大型店の無秩序な出店や撤退がくり返されている国は世界にありません。
ヨーロッパではもちろん、日本政府に圧力を加えたアメリカでさえ、自国では州政府などを中心に、大型店に厳しい規制を実施しています。「なぜ、日本だけが大型店が野放しなのか」「政府はどこまでだますのか」という怒りの声が広がったのは当然です。世論に押され、今では、「地域住民の暮らしを守るためなら、大型店を規制するルールもWTO違反ではない」と、政府も認めざるをえなくなっているのです。
 今日、大型店の無秩序な出店と撤退がくり返され、多くの商店街が衰退・停滞するなかで「まちをどう再生するか」が緊急かつ切実な社会問題になっています。この事態を打開するために、私たちは地域住民の合意と参加で、大型店を規制するとともに、「活力ある多数」として、地域に根ざす中小商業の経営振興をはかり、まちづくりを推進することこそ「決め手」ではないかと考えます。
中小業者は、厳しい経営環境に直面しているとはいえ、地域社会の重要な担い手として厳然と存在しています。地域の風土、資源の活用にも通じ、住民の生活に必要なものを供給しています。また商売のかたわらで、自治会やPTAの役員を担うなど、子どもや高齢者・障害者といった社会的に弱い立場の人々を支え、地域に貢献しています。
 今日、消費行動が多様化し、品質の安全性ときめ細かいサービスへの要求が高まっています。また大量生産、大量消費、大量廃棄の大企業型の経済が環境問題を一段と深刻化させています。 
 私たち中小業者は、持続が可能であり、人間復権の経済・社会をつくるため、新たな役割を発揮したいと考えています。
今回、まとめた緊急提言は、新たな世論と運動の高まりを見せる「まちづくり3法」の抜本改正問題に焦点を当て、大型店の民主的な規制・誘導策と、中小商業、及び地域経済を振興する方向の一端を提案したものです。国民の共同を広げる一助となれば幸いです。

まちの荒廃に歯止めをかける大型店規制を

 いま、大型店の郊外型出店ラッシュによって、圧倒的多数の商店街の停滞・衰退を招き「地域コミュニティ」がさびれています。中心市街地には廃墟と化した大型店の空き店舗が残り、さらに系統的な都市計画を困難にしています。このことからも「まちづくり3法」は機能せず、まちの荒廃を広げたことは明らかです。
 いま緊急に必要なのは、これ以上のまちの荒廃に歯止めをかけ、地域住民の生活環境を守り発展させるため、以下の3つの大型店規制を実施することです。

1、深夜営業を規制し、住民の安全と健康を守る生活環境を
 大型店の動向を追う調査結果が発表されるごとに、夜10時を超える深夜営業の比率が拡大しています。
代表的な大手スーパーであるイオン・ジャスコに至っては、370店舗の内、実に329店で深夜営業を強行し、24時間営業さえ159店舗に上っています。
 深夜営業は、一見すると「消費者利便」に応える行為に見えます。しかし住宅密集地では静寂を乱し、人件費を抑制した店舗運営・オペレーションが犯罪を誘発し、深夜労働を余儀なくされる従業員や納入業者の健康、家庭生活の破壊さえ呼び起こしています。またエネルギーの大量消費、地球環境保全の面からも黙過できません。
 深夜の購買機会確保を「消費者利便」として優先するのか、それとも住民の安全や健康を守る生活環境を優先するのかについて、地域住民が論議し、合意形成をすすめるルールが必要ではないでしょうか。
 その点で、例えば、大阪・堺市が大型店の閉店時間を調整する「特定商業施設における適正な事業活動の推進に関する条例」を制定したことは注目に値します。青少年の健全な育成を求める住民の要望等にも応えた同条例は、立地区分を設け500u以上の小売店舗について住宅系地区では深夜10時、商業集積地区で2000u以上の店舗は24時までと規制しています。
 私たちは、労働基準法が深夜労働と定める「夜10時以降」を原則禁止とし、「自治体調整方式」を確立することで、住宅系地区での規制を強化するべきだと考えます。

2、郊外出店を規制し、公共投資の浪費是正を
 大型店の立地は、駅周辺や市街地が減少し、ロードサイドや白地地区といった郊外へと拡大しています。「農業振興地」として基盤整備に予算を投入してきた地域でも規制をはずし(農振除外)、安易な転用(農転)がはかられることで、無秩序な郊外開発・出店が大きく伸びています。しかも売場面積で6000u以上の大規模店舗ほど、この傾向が顕著です。また市役所はじめ、病院、大学といった公共施設が市街化抑制の例外開発となっていることから、郊外への移転に拍車がかかっています。既存の中心市街地の活性化と整合性を持たない都市開発が、新たな公共投資の浪費を生むばかりでなく、これまで投資蓄積されてきた既存施設・公共財の価値を大きく減退させるという「二重のムダ」を呼び起こしています。
 大型店や公共施設の無秩序な郊外出店・配置を規制する都市計画で、予算の限られた公共投資の経済効果を上げ、有効な農地を保全し、既存公共施設の有効活用をはかるべきです。
 福島県では「良好な小売商業機能を確保する」ことを目的に、まちづくり広域調整条例(案)が審議・検討されています。「既存小売業者の売上額の10%以上に影響を及ぼすと認められる場合」に、大型店が出店する当該自治体だけでなく、周辺自治体からも調整を求める意見表明を可能とするシステムなどが盛り込まれています。私たちは条例(案)が規制対象としている15000uの店舗面積を、さらに引き下げるべきだと考えますが、都道府県の権限を強化し、まちづくり広域調整を全国に広げ、実効性を上げるべきです。

3、身勝手な閉鎖・撤退を規制し、まち再生基金の徴収を
 イオン・ジャスコやイトーヨーカ堂など、大手スーパー10社が05年度に予定する大型店の閉鎖は92店舗に及び、過去最多になる見通しです。ある全国調査では、店舗面積1000u超の大型店の撤退が約6割の自治体で発生し、地方中核都市では8割以上に達することが明らかにされています。商店街や駅周辺など中心市街地では、出店後20年を越える大型総合スーパーや百貨店が経営不振を理由に閉鎖・撤退しているケースが多い一方で、幹線道路沿線では、出店から10年以内の大型専門店などの撤退が相次いでいる状況です。
 この10年来、ダイエー、マイカル、そごうなど大型店の乱脈経営による破たんも相次ぎましたが、一方で、イオン・ジャスコが15年を目途にした撤退を基本戦略とするなど、「スクラップ・アンド・ビルド」で、消費者利益より自らの企業利益を優先する姿勢が露骨になっています。
 大型店の身勝手な撤退・閉鎖は、テナント専門店や取引業者、周辺小売業者などへの悪影響や雇用悪化はもとより、中心市街地などの地域では買物にも支障をきたします。税収減少による都市計画の中止・変更も自治体に迫られるなど、地域経済に大きな打撃となり、その負の影響は計り知れません。
 大型店の身勝手な閉鎖・撤退に際し、地域貢献義務を果たさせるルールを確立するべきです。閉鎖・撤退による悪影響を緩和するため、取引業者や周辺商店街、自治体との協議をすすめ、また大型店の従業員がつくる労働組合からも意見徴収するなどして、大型店自らが撤退条件の緩和や代償措置を検討するのは当然の責務です。
 同時に、大型店の出店時に、「まちづくり再生基金」を徴収し、閉鎖・撤退する場合には、その基金を住民合意による中心市街地での後継店舗の誘致や、条件に応じた再利用・再整備、農振地への復帰などに活用する制度の新設を提案します。

地域経済を振興するまちづくりを

 私たちは、この10年以上にわたって地域経済振興条例の制定運動を広げてきました。この運動は、住民参加と広く開かれた審議のなかで、地域の特性に応じ、農漁業や中小商工業を「基幹産業」と位置付けさせ、その振興政策の発展を提案したものでした。各地で条例制定の住民直接請求運動にとりくむとともに、大阪・八尾市のように、「中小企業地域経済振興基本条例」を制定するなかで、地域経済の振興に対する「大企業者等の努力」(第8条)を規定し、実際にコクヨの工場撤退に際しても、跡地利用で地域経済への打撃を緩和する改善を実現してきました。
 地方の「自治と分権」を求める世論が高まり、まちづくりに対する新たな期待も広がっているなかで、私たちは、以下の4つの視点から地域経済を振興するまちづくりの方向を提案します。

1、地域内再投資力を育て仕事と資金の域内循環を
 製造大企業の海外移転で取り残された工場跡地や、工業団地として造成されたものの遊休施設のまま放置されている土地が広がっています。これらを「窮余の策」で用途指定の変更までして、大型店を誘致する自治体もありますが、その多くは地域経済の振興にはつながりません。
 雇用や税収、集客などの経済効果は一時的なものに限られ、むしろ既存商店のいっそうの経営難や廃業、大型店従業員のパート・非常勤化で雇用悪化や税収の減少を招いているのが実態です。また大型店は資金を本社に集中し、一括仕入や新規出店に応じた資本投下などを優先しているため、地域に資金が還流しません。
 いま大切なのは、市町村などの基礎的自治体が企画・調整役となり、住民に身近な「生活領域としての地域」で仕事と資金が還流するしくみをつくることです。各地で広がる「地産地消」や「旬産旬消」も、地域に根ざす中小商工業と農林漁業が消費者と連携し、地域内の産業連関とネットワークを組み直す力にするべきです。
 「学校給食で地元商店街から食材を調達する」(埼玉・草加市)、「地元商店街や卸売市場で使える商品券で住宅リフォームを助成する」(滋賀・長浜市)、「村内特産物や伝統食の観光客への提供で、販売金を農家や中小小売店に還流させる」(長野・栄村)などの自治体施策が広がっています。地域の個性を把握し、住民の暮らし向上の立場から施策を組み合わせ、地域内再投資力を育てることが、まちの再生につながります。

2、「商調法」の積極活用で中小商業の事業機会確保を
 いま、広範な中小業者団体の間から「商調法」(小売商業調整特別措置法)に対する新たな注目が集まっています。「商調法」は「小売商の事業機会を確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去」することが目的です。この間、大店立地法が「地域的な需給状況の勘案」を禁止し、地域商業政策の障害にもなるなか、国会審議を通じて、これまで「大店法」の影に隠れていた「商調法」の活用が可能であると明らかにされたことは画期的です。
 私たちは、今回の「まちづくり3法」の抜本改正で、何より先に、大店立地法にある「地域的な需給状況の勘案」の禁止条項(第13条)を廃止するべきであると考えます。
 アメリカ・バークレー市で業種別に店舗数を制限するゾーニング条例が実施されています。またドイツでは既存商業の売上への影響を10%以内へと調整させる「建築利用令」などが活用され、フランスでも「ラファラン法」で300u以上の小売店舗を許可規制しています。中小商業の事業機会を確保する大型店規制こそ世界の流れなのです。そして「まちづくり3法」制定時の国会付帯決議で明記されていた「地域の実情への配慮」や「中心市街地活性化等のための郊外再開発の規制」が現実に不可能だったことは、誰の目にも明らかです。
 当面、「商調法」を積極活用し、大型店の進出計画に対する「調査・調整」(第14条の2)や「調整・一時停止、命令勧告」(第16条の3以降)を通じて、中小商業の事業機会を確保する施策を拡充するべきです。

3、中小商業と教育・研究機関との「地域産学提携」で若者の自立支援を
 いま、政府の調査でも、若者の失業率が高水準で推移し、フリーターがあふれています。「新卒無業者」という言葉が統計用語となり、若者には「働きたくても働けない」「働けても経済的な自立ができない」という状況さえ蔓延しています。この異常事態を打開する一つの方策として、中小商業の活性化と若者の自立支援を結ぶ「地域産学連携」を提案します。
 中小商業が「まちの顔」「公共財」といわれるゆえんは、歴史的にも「地域コミュニティ」の中核となってきたからです。地域に根ざす中小商業は、様々な厳しさの中でも、若者が生きること、働くこと、暮らすことを総合的な学べる社会的基盤そのものととらえるべきです。
例えば、若者・学生に商店街で働く就業体験・インターンシップを広く提供できるなら、人と人との関わりの中で生きているという具体的経験を育み、社会の構成員としての権利と責任の意識を広げることができるのではないでしょうか。また商店街にとっても、地元の若者・学生との交流は、「自分たちのまちは自分たちで」という地域主導の考えを強め、消費者・住民との共存・理解を広げ、新たな共同・ネットワークの可能性を高めると考えます。
 商店街に対するアンケート調査や懇談会、あるいは「チャレンジショップ」などの施策も広がっており、国・自治体が支援を強めるなかで、中心市街地の活性化にも役立てるべきです。

4、地域の個性を生かす「まちづくり条例」の最大限の尊重を
 いま、商業集積のゾーニングによる施設開発の指導基準や深夜営業の規制、あるいは騒音や交通渋滞の防止、駐車場配置での「上乗せ」規制などを具体化する「まちづくり条例」が広がっています。また長野市などでは「商業環境形成指針」を策定するなかで、「地域経済への影響」や「周辺の生活環境保持」などの項目に基づく、大型店の「地域共生度評価」を実施しようとしています。
 これら自治体独自規制に国は干渉することなく、最大限尊重しなければならないのは当然です。
 同時に自治体においては、都市計画課や農業振興課、商工観光課などの関連部局が「タテ割り行政」の枠を越えて連携するべきです。
 大型店出店に際し、その商圏全体に及ぶ「地域商業影響調査」を事前と事後で実施する制度の確立を提案します。

国民本位の商業政策と公正取引ルールの確立を

 「大店法」の廃止から「まちづくり3法」への政策転換は、他の業界に先行し、流通・商業の分野で「規制緩和」が推進されてきたことを象徴しています。この背景には、アメリカに追随し、財界の意向に沿う政府の姿勢があります。
 しかし「まちづくり3法」の実際の運用では、大店立地法が事実上、大型店の郊外出店に対する「促進法」となってきました。このことが中心市街地活性化法の政策効果を著しく低下させ、さらに開発優先・追認型の都市計画とあいまって乱開発さえ招いてきました。
法律相互に政策的な整合性がないことは、もはや誰の目にも明らかです。
 そして商業道徳や業界秩序を破壊する不当廉売、納入業者に対する違法な負担強要、テナント業者への権利侵害など不公正取引さえ蔓延しています。
 いま大切なのは、「まちづくり3法」を抜本改正するとともに、国民本位の商業政策と公正取引ルールを確立することです。私たちは以下の3つの政策的視点こそ、国民の圧倒的多数の願いに合致する方向だと考えます。
 
1、まちづくり基本法を制定し、中小企業庁を内閣府直轄に
 いま自治体が、地域住民の合意と参加に基づくまちづくりを推進する上で、国の「タテ割り行政」が大きな弊害です。この間、「行政組織の総合性、機動性、及び透明性の向上」を基本理念とし、中央省庁が再編されたものの、「まちづくり3法」の運用が示すとおり、各省庁の無責任さや閉鎖的体質は一向に改善されていません。この閉塞した事態を打開するため、私たちは「まちづくり基本法」の制定を提案します。
 「まちづくり基本法」は、地域の役割を大胆に打ち出し、産業振興や生活・福祉、環境、文化の施策を自治体が有機的に統合する地域政策、「まちづくり条例」を制度的に保障するものです。
 そして「活力ある多数」として、あらゆる業種で役割を発揮し、地域社会を支えている中小商工業を健全に発展させるため、経済産業省の外局にとどまる中小企業庁を、内閣府直轄に格上げするべきだと考えます。

2、独占禁止政策の拡充で商業に公正取引の確立を
 「まちづくり3法」が機能しない一方で、徹底した「規制緩和」がすすめられ、家電をはじめホームセンターやドラッグストア、酒のディスカウントなど、様々な業種での専門大型店が急増しました。この結果、広範な中小商店が大きな打撃を受け、本業だけでは生活できない事態さえ広がっています。また書籍を景品化し、再販制度をなし崩しにするなど、業界秩序をかく乱・破壊する行為も後を絶ちません。
「まちづくり3法」の抜本改正も、「規制緩和万能」政策の転換と一体で推進されるべきです。
 私たちは、中小業者が大手小売資本と対等に団体交渉できるよう新たなルールを確立することが経済民主主義にかなった方向だと考えます。
 この間、大型店と納入業者との取引で「不公正な取引方法」に沿った指定がされたように、独占禁止政策の拡充で、大型店の違法行為に対する取り締まりを強化するべきです。
 また商業・サービス分野で急増する「フランチャイズビジネス」でも、加盟事業者の経営権を社会的に認知するとともに、本部との公正契約や地域・まちづくりへの貢献も可能とする法整備を行うべきです。
 
3、卸売市場の再生で生鮮3品の供給保障を
 様々な生産者から商品を集め供給する卸売業者の存在は、中小商業にとっても欠かすことのできない存在です。とりわけ生鮮3品などの食品流通において、卸売市場は多品目商品を安定的に集荷・分荷する機能、迅速で公正な価格形成機能、正確な市況情報の伝達機能など重要な機能を果たしています。
 しかしこの間、「規制緩和」の立場から、卸売市場法が改悪され、「商物一致規制」の緩和やセリの形骸化、委託手数料の弾力化など公共的機能が空洞化されています。そして大型店が、資本力と販売力にものをいわせ、相対取引や市場内を通さず集荷だけを利用する取引が急増しています。
 商店街・小売商業を元気にする一つの方策としても、卸売市場が地場物流を支え、公共的役割を発揮できるようにするべきです。
 そして中小商業の繁栄に役立つ商品の品揃えや情報・アドバイスの提供、包装・仕分け・値付けなど流通加工分野の経費削減、不透明なリベート制をはじめとした不合理な慣行の是正などで経営振興をはかることを提案します。

むすびとして

 私たちは、社会的な注目が高まる「まちづくり3法」の抜本改正問題に焦点を当て、まちの荒廃への歯止めをかける大型店規制、地域経済を振興するまちづくり、国民本位の商業政策と公正取引ルールの確立という3つの角度から、その改善方向を提案しました。
 この提案が、政治を動かす世論と運動となり、情勢を切り拓く力となるためには、中小業者とともに労働者、消費者、住民、そして自治体を加えた「共同と連帯」がどうすすむかにかかっています。
 実際、私たちはこの間にも、「大型店問題連絡会」(全国労働組合総連合と商業・サービス労組連絡会、全国商工団体連合会で構成)として運動交流をはかってきました。そして政府や自治体への要請、あるいは立場の違いを越えた幅広い業界団体や労働組合との懇談も広げてきました。
 そうしたなかで、とりわけ業界毎に多義的に使われていた「まちづくり」が合流し、人間復権の経済社会に挑戦する多彩な運動としても、大きく発展してきていることを目の当たりにしています。
 この「提言」が、立場の相違を越え、中小業者・国民本位のまちづくりにむけた「共同と連帯」をいっそう発展させる素材として活用されることを心から願うものです。
 
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