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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第3013号 3月5日付

婦人部
 

活用しよう「就学援助制度」 学用品、入学準備金、医療費を補助

 「誰でも申請できます」―。子どもたちが新しい学校生活に踏み出す季節になりました。小中学生の子どもを持つ家庭向けに、就学援助制度が各自治体にあります。全国の民主商工会(民商)の婦人部や青年部は助成制度を知らせ、活用することを呼びかけるとともに改善・充実を求めています。

図表

 就学援助制度は、憲法第26条「義務教育は無償」などに基づき、小中学生のいる家庭に学用品をはじめ、入学準備金(新入学児童生徒の学用品など)、給食費や医療費を補助する国の制度です。
 実施するのは市区町村で費用の半分を国が負担しています。
 支給内容や金額、申請書の手続きなどは自治体ごとに異なります。

《対象者》
 小中学生のいる家庭であれば誰でも申請ができますが、受給できるどうかの適用基準は市区町村によって違います。
 例えば、新潟市は生活保護基準の1・3倍、三重県松阪市は1・4倍となっています。しかし、所得基準を引き下げたり、対象者を狭めたり、自治体独自で行ってきた支給項目を減らすなど申請、支給方法、支給内容、支給額を改悪する自治体が広がっていますので、申請運動を強めることが大切です。

《支給項目》
 国が補助を出す項目と補助額は図表のとおりです。
 2010年度から、新たにクラブ活動費、生徒会費、PTA会費が加わりました。しかし、実施していない自治体もありますので、市区町村に問い合わせてください。また、支給額を国の補助額に上乗せしているところもあります(社会科見学や卒業記念品代など)。

《手続き》
 教育委員会への直接申請と学校を通して申請する方法があります。民商婦人部ではプライバシーを守るため、自治体に直接、集団で申請しています。自治体によっては直接申請を認めず、学校への一本化にしようとする動きを強めていますので、改善を求めることが必要です。
 申請時期は、制度上いつでも受け付けることになっています。しかし、市区町村の事務処理の関係で、在学生が前年度の12月から3月、新入生が4月など時期を決めている自治体や学期ごとに申請を受け付けているところもあります。1年を通して、受け付けさせるとともに、年度途中の申請でも4月からさかのぼって支給させる運動が大切です。
 手続きに必要な書類は、申請用紙と前年分の源泉徴収票や住民税の申告書の控えなど所得状況を証明するものが必要です。収入がなくても所得申告をしておくことが大事です。

《支給方法》
 教育委員会が直接、保護者の銀行口座に支給する方法と、学校を通して現金や現物を渡す方法があります。支給時期は、早い市区町村でも6月以降となっています。
 近年、給食費や教材費の未納が増えて、保護者へ渡される就学援助費から未納分を差し引いた額を銀行に振り込む自治体が増えています。これは、保護者の同意なしには行ってはいけないことです。
 さらに、2010年度から中学校卒業までの子どもに「子ども手当」が支給されるようになってから就学援助費の内容を縮小したり、手当を給食費に充てる動きがあります。この二つの制度はまったく別の制度ですので、許さない運動が必要です。

「就学援助をよくする会」 県内制度を比較検討=山梨

 山梨県では就学援助制度を良くするために、「就学援助を良くする会」が先ごろ発足しました。山梨県連婦人部協議会(県婦協)、山梨県連青年部協議会(県青協)をはじめ学校事務職員制度研究会や新日本婦人の会、保護者などが参加しています。
 就学援助を良くする会では、各市町村に就学援助の条例についてアンケートを送っています。
 同時に民生委員の意見を記入することや資産調査をやめさせるとともに、教育委員会へ直接申し込みができるように改善を求め、多くの家庭が就学援助制度を活用できるようにと話し合っています。
 巨摩峡南民主商工会(民商)婦人部では入学式シーズンになると、タイガーマスクを名乗る人から自治体に「ランドセル」が送られてくることが話題になり、「ランドセルは就学援助でもらえないの?」「こんなに良い制度があるのに、なぜ申し込みをあきめてしまうの」と疑問の声が上がり「就学援助を良くする会」発足の準備をスタートさせました。
 学習会では「なぜ全県一律ではないのか」「いまだに民生委員の意見書を求めるのは山梨では当たり前なの?」「校長口座振り込み承諾書って嫌な感じ」「支給内容が違うのはなぜ」などの意見が出ました。
 また、保護者や社会福祉士たちとワークショップを行いました。
 山梨県の全自治体27市町村から就学援助の申請用紙を取り寄せ、比較をしたところ、申請書の統一性のなさに驚きの声が上がりました。
 さらに「所得証明が準備できない」「書類記入が難し過ぎる」「離婚理由や財産の内訳を、子どもの目に触れさせたくない」と切実な意見も出ました。
 県婦協の幹事は、「運動は始まったばかり。就学援助制度を知らせ活用しやすくするために運動を広げていきたい」と話しています。

全国商工新聞(2012年3月5日付)
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