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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2995号 10月17日付

婦人部
 

第12回全国業者婦人決起集会

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国会議事堂をめざして請願デモする集会参加者

業者婦人(おんな)の一揆に1700人
 業者婦人(おんな)の一揆、いざ日比谷公会堂へ―。「増税はいらない、仕事をよこせ、東電は責任を果たせ」と迫った「第12回全国業者婦人決起集会」(主催=全商連婦人部協議会)が4日、東京・日比谷公会堂で開かれ、1700人が参加しました。
 国会周辺では早朝から駆けつけた業者婦人がパワー全開。業者婦人の社会的・経済的地位向上を求めて衆参両院のすべての国会議員に要請し、6省庁と交渉。「所得税法第56条の廃止、業者婦人の実態調査を求める」署名39万人余を国会に提出しました。JR有楽町駅頭宣伝や国会議員との懇談会も開き、所得税法第56条廃止などを訴えました。
 東京電力本店では300人がこぶしを突き上げ包囲し、完全賠償を求めました。
 決起集会では「所得税法第56条廃止を求める意見書」を採択した自治体名のプラカードを掲げた業者婦人が勢ぞろい。337自治体になりました。
 たたかいの交流では、大震災を乗り越え、全国の仲間とともに立ち上がる業者婦人が決意を語りました。

「所得税法56条」廃止の運動に確信
 国保・脱原発など多彩な要求掲げ

 4日に開かれた「第12回全国業者婦人決起集会」。全国のたたかいを交流し、所得税法第56条廃止に向けて決意を新たにしました。決起集会に先立ち午前中は国会議員への要請や6省庁との交渉、国会議員との懇談、東京電力本店交渉など多彩な行動を展開しました。

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所得税法56条廃止を求める意見書を採択した自治体名を掲げ、登壇する参加者

 日比谷公会堂では舞台に飾った「民商丸」と書かれた大漁旗が参加者を迎えました。ヒマワリのコサージュ、チェックのエプロン、ピンクのジャンパーなどを身につけた業者婦人の確信に満ちた笑顔が広がりました。胸には「高すぎる国保料を下げんかい」「税金は大企業から取りなはれ」のゼッケンも。福島民商婦人部は「原発はいらない」「東京電力は全面保障しろ」と書いた黒の羽織り、黒のTシャツ、黒のビニール袋をまとい、抗議の意思を示しました。
 主催者あいさつをした全婦協の大石邦子会長は「所得税法第56条廃止の意見書採択は全国で337自治体となり、働き分を認めてほしいの声が多くの人たちに理解されるようになった。第3次男女共同参画基本計画の中に『女性が家族従業員として重要な役割を果たしている、正当に評価を』と盛り込まれたことは粘り強い運動の成果」と報告しました。
 全国商工団体連合会(全商連)の国分稔会長は「『人間らしく生きたい』という業者婦人の運動は日本国憲法に基づく運動。女性が頑張れば政治が変わり、世論が変わる。震災、原発、TPP、消費税増税反対の運動に全力を尽くしましょう」と呼びかけました。日本婦人団体連合会の堀江ゆり会長が来賓あいさつし、日本共産党の吉井英勝、民主党の橋本勉両衆院議員が国会報告し、署名を受け取り奮闘を約束しました。

被災者の笑顔に勇気もらう
 参加者が励まされたのは浅井優子税理士のメッセージ。「多くの人が民商婦人部の56条廃止の運動に励まされ、勇気づけられている。粘り強い自治体への請願は尊敬する」と話し、会場から拍手が湧き起こりました。
 「たたかいの交流」第1部では岩手、広島、宮城、長野、福島、兵庫の6県が発言しました。被災地からは「何もかも流されたあの時、全国の仲間の温かさが詰まった支援物資に助けられた。一日も早く、贈られた船で漁に出たい」(岩手)、「民商の助け合いの精神が会員や地域を明るくした。これからも元気な活動を続ける」(宮城)と感謝の言葉を述べました。
 「商工新聞に大きく載っていたでしょう!被災地に船を贈るプロジェクト 頑張りましたよ!」と元気に報告したのは広島・尾道民商婦人部。「被災地の皆さんの笑顔に勇気をもらいました」と発言。「すべてを流され、『俺の人生おしまいだ』と嘆く夫に『何を言っているの!これから生きていく息子たちのために頑張らないと」と叱咤する妻の姿に励まされた」(長野)との発言には会場から笑いが。「300頭の牛を肥育する農家が原発事故で出荷停止が2カ月続き、牛がただのペットになった」(福島)との報告には怒りの声が湧きました。
 第2部の「業者婦人の人権宣言」では、福岡、京都、青森、富山、大阪の5県が発言しました。「80年続く豆腐店を夫と2人で経営している。小売りには消費税を転嫁できず、身銭を切って払っている」(福岡)、「スナックを始めて35年。やめたいと思った時期もあるけど、お客さんに支えられてきたと思えるようになった。56条廃止に向けてゴムまりのように弾みをつけて運動したい」(青森)と力強く訴えました。
 団結ガンバローをした後、参加者はシュプレヒコールしながら国会までデモ行進をしました。
 津波で大きな被害を受けた宮城・仙台民商婦人部員=建設=は「助かった命、せっかく出会った婦人部の仲間と一緒に困っている人を助けたい」と力強く語り、茨城・水戸民商の参加者=サービス=は「56条廃止に向けて長年たたかってきた。この税法がなくならない限り、私たちの人権が認められない。必ず廃止させる」と決意していました。

「元の暮らしに戻せ」東電に怒りの抗議

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東電本社で「すべての損害を賠償せよ」と訴える福島県からの参加者

 東電交渉には福島からの参加者32人を含む80人が参加し、業者婦人の怒りをぶつけました。
 全婦協の狭川環副会長は「訴えるため、商売を休んで来ました。今回の事故は人災です。この事実を謙虚に受け止めてほしい」と訴えました。
 「子どもを産み、育てる母親が、子どもを外で自由に遊ばせられない」「2歳の子どもの首に線量計をいつもぶら下げさせるつらさが分かりますか」など、放射能の恐怖のなかで生活し、子育てをする苦悩を語り、「私たちは大きなことを望んでいるわけではない。普通の、元通りの日常を戻してほしいだけ」と訴えました。
 また「請求書の書類が難しい上に量が多い」「これまで何度も東電に説明を求めてきたが、まともな返事が返ってこない」など、東電の不誠実な対応を正しました。
 震災後経営が悪化した業者婦人は「電気代が払えなくなった。少しずつ支払っているのに電気を止めるな」と要望しました。
 応対した東電の担当者は「私たちの認識が不足している部分もある。今日の話も参考に、きちんと賠償したい」と話しました。
 交渉と並行して行われた東電本店前の抗議行動では300人が歩道を埋め尽くし「元のきれいな福島に戻してほしい」「東電は損害を全額賠償して」「節電を強要しながら、電気代を上げるな」など、リレートークで思いを訴えました。

内閣府など6省庁と交渉
 業者の実態調査実施迫る

 内閣府男女共同参画局、厚生労働省をはじめ6省庁と交渉。業者婦人のさまざまな要求をぶつけ、実施を迫りました。
 内閣府男女共同参画局では「所得税法第56条廃止に向け、男女共同参画局が具体的な対策を講じてほしい」と要望しました。
 「56条廃止の意見書」を採択した自治体を紹介した商工新聞(9月26日号)、日本版・小企業憲章(案)などの資料を広げ、業者婦人の実態を訴えました。
 参加者は「56条があることで所得が証明できず、国保に傷病手当、出産手当が付かない」と告発。
 「自家労賃が認められれば、税金も納め、所得も証明できる。『人権』を認めてほしい」と訴えました。
 女性家族従業者の健康、労働、経営の実態調査の要望では「1、2人の中小零細業者の実態調査を早急に実施してほしい」と訴えたところ、「第3次男女共同参画基本計画のフォローアップに生かしたい。うかがった実態は各関係省庁にしっかり報告する」と回答しました。

医療費負担の軽減を要請
 厚生労働省交渉では、国民健康保険(国保)料(税)の引き下げや医療費の窓口負担の軽減、後期高齢者医療制度の廃止、医療費の一部負担金免除制度(国保法第44条)の改善など5項目を要請しました。
 参加者は「年所得200万円の4人家族で国保料が40万円を越える自治体もある。払いたくても払えないのに全国で差し押さえが横行している。国庫負担を増やし、保険料の引き下げを」と訴え、改善を迫りました。

再生可能エネへの転換を
 中小企業庁交渉では、原発停止や再生可能エネルギーへの転換、所得税法第56条の廃止、東日本大震災による中小企業への実態調査などを求めました。
 「被災地の状況や実態調査の必要があると位置づけ、職員が直接足を運んでいる」と答えました。
 財務省交渉では、所得税法第56条の廃止や免税点の引き上げ、庶民大増税の中止などを要請。
 大門実紀史参院議員が同席し「自治体の56条廃止を求める意見書採択数は全体の20%になり、請願の理由も受け入れられている。廃止は時代の流れ」と切り込みました。
 参加者は「震災後の仕事おこしで業者婦人は頑張っている。白色申告から始めるので、配偶者86万円や親族50万円のみの控除だけでは大変だ」「消費税を払うために生命保険を解約した。86歳の母親からお金を借りることもある。こんな税制はおかしい」「10%になったらつぶされる」と次つぎに怒りをぶつけました。

「国会懇談会」 113人が参加

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国会懇談会であいさつする大石会長

 国会議員懇談会には113人が参加。56条廃止や国保料の引き下げ、放射能汚染への対応などを訴え、日本共産党の紙智子参院議員らが要求をしっかりと受け止めてくれました。
 地元選出の国会議員への要請では集めた署名を議員や秘書に手渡し、その場で紹介議員になると約束した議員もいました。また、「日本経済を支える中小業者を守るため共に頑張りましょう」(共産)、「日本の税法は女性の地位向上の観点からも合わない」(民主)など賛同が寄せられ、署名を預かった自民党の大物議員は「まず実態調査をする」と明言しました。ほかにも「人権問題ですね」「不合理なことでおかしい」「廃止しなければいけない税法」「不利益を受けているのはほとんど中小業者」と共感が示されました。

全国商工新聞(2011年10月17日付)
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