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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2891号 8月10日付
 
婦人部
 

56条廃止決議、60自治体へ前進

議会動かした婦人部

 「私の人権と働き分を認めて」―。家族従業者の働き分を必要経費と認めない「所得税法第56条」廃止を国に求める世論と運動が大きなうねりとなって広がっています。同条廃止を求める意見書を採択したのは60自治体になりました(地図参照、採択後、合併した9自治体を除く)。全国15税理士会のうち9税理士会と全国女性税理士連盟、近畿青年税理士連盟が廃止を求める意見を表明しており、同条廃止を実現するため9月議会への働きかけを強めるときです。

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20自治体で意見書採択され、喜びにわき上がった北海道婦人部協議会(前列右から2番目が後藤会長)
 「まさか20自治体で採択されるなんて!頑張ってよかった」―。6月議会で意見書採択が相次いだ北海道連婦人部協議会(道婦協)では喜びの声があふれています。道内の民主商工会(民商)婦人部挙げての取り組みが議会を動かしました。
 帯広民商婦人部では8自治体に意見書を提出し、芽室町、士幌町、本別町で採択されました。3月に芽室町で採択されたことが力となり、「今が頑張りどきだ」と決意。三役が中心となって各委員や会派を訪問し、全婦協の「私の働き分を認めて」リーフや「大門議員の委員会議事録」などを手渡して56条廃止の趣旨を説明しました。
 委員会や本会議もできるだけ傍聴に参加。趣旨説明を求められると、藤田郁子部長が「業者婦人は交通事故に遭ったときの損害補償日額が専業主婦より低くなる。息子が市営住宅に申し込もうとしたが、所得が低すぎて基準に合わなかった」などと訴えました。また、傍聴後に直ちに移動して別の自治体の議員と懇談するなど、道内を駆け巡り粘り強く運動しました。「何もかも初めての経験でしたが、私たちにも力があることを実感できた」と、副部長の青木操さんは力強く話します。
 運動の先頭に立ったのは、道婦協会長の後藤裕子さん。「札幌、小樽、江別、恵庭、苫小牧などへ要請に行きました。20もの自治体で採択され本当にうれしい。今後も10月8日の業者婦人決起集会に向けて署名を積み上げながら世論を広げ、9月議会でさらに意見書採択が増えるよう頑張りたい」と、喜びと決意を語っています。


 所得税法第56条問題
 「配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)。家族が従業した場合は、その給料は税法上では必要経費に認められず、すべて事業主の所得に合算されるということです。事業主の所得から控除される働き分は、配偶者が年間86万円、家族が50万円と定額で、住宅ローンが組めないなど、事業継承の障害にもなっています。明治時代の家父長制度を引き継ぐ人権を認めない時代遅れの悪法。国民健康保険に傷病手当や出産手当が支給されない根拠の一つともなっています。


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 これは差別です
 盛岡民商婦人部 Mさん=理容

 所得税法第56条を学ぶほど不当性が明らかになり、「差別」が頭から離れない。自信と誇りを持って働きたくても、56条が邪魔をしているのです。働き分に見合った給与を受け取ることは当たり前のこと。それに事業主と同じ線に立つべきだし、人間らしく働いて生きるのは人格を認めることで、当然のことだと怒りがわいてきます。
 私は56条がどれだけひどい法律かを多くの人に知らせたくて運動しています。県の母親大会や反貧困シンポで「56条があるから業者婦人は一人の人間と認められず、事業主の一部と扱われ、給与も保障されない。憲法の基本的人権の尊重や男女平等、生存権に反している」と訴えました。母親大会に来ていた県の男女共同参画局長は「56条は大変な問題」と賛同し、紫波町の総務常任委員長は56条に関する資料を読みたいと事務局に訪れました。
 婦人部でも56条を学ぶと「私たちの地位はこんなに低いのか!」と怒りの声が上がります。6月議会で採択された宮古市では、学習で得た怒りを力に立ち上がり、市議会の委員に資料を送って働きかけを強めていました。
 私は56条をなくさない限り、生きいきと働けないと思います。署名も今まで以上に頑張って、婦人の持てる力を出し切って、要求を実現させましょう。

 人間として当然の権利
 淺井優子税理士

 働いていることに対して対価を受け取るのは、人間らしく生きるための権利です。税法がそのことを阻むことはできないと思います。
 所得税法第56条の適用についての争点を私が知ったのは、税務署退職後のことです。
 夫の弁護士が妻の税理士に支払った報酬に、56条が適用されたことによって、提起された裁判の判決文と、課税庁と弁護士が提出した文面などを何回も読みました。それで税法の解釈は自分の頭でできるように学習しなければいけないこと、税法は憲法で一度スクリーニング(ふるいわけ)し、憲法との整合性を保たなければいけないという明確な視点を持つことができたのです。
 ごく最近、機会があって住んでいる地域の民商婦人部のNさんからお借りしたいろいろな文章を読ませていただきました。Nさんは「私は生活の全部を背負って夢中で働いてきたのです。子どものために私は一度も学校へ行ったことはありません」と話されていました。Nさんのように、働き続けてきたから家族が生きているという事実に、対価の支払いを認めない56条は基本的人権を否定するものです。
 各自治体に支持を広げる運動にも感動しました。56条は必ず廃止されると思います。
   
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