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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2780号 4月30日付
婦人部
 
好評です「私の働き分認めて」リーフ
「分かりやすい」「対話がはずむ」
全婦協作製 各地で積極的に活用
 全商連婦人部協議会(全婦協)が作製した「私の働き分をみとめて」のリーフが好評です=左の写真。文字だけでなく、イラストや漫画で問題点を分かりやすく説明し、色もカラフルで「対話が弾む」などの声が寄せられています。集まりや役員会でリーフを読み合わすなど積極的に活用されています。

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「自家労賃を認めて」とシュプレヒコールをあげる婦人部員(05年10月、第9回全国業者婦人決起集会)
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○…神奈川県連婦人部協議会(県婦協)は10日、第4回常任理事会を開き、「1部員10人を目標に地位向上署名にとりくもう」と話し合いました。「所得税法第56条って知らない業者婦人がいるよね」「自家労賃だって分かってなかったりするね」「白色と青色申告の区別がついていない人だっているよ」などさまざまな意見が出ました。
  「どうやって学習する?」と顔を見合わせたときに、みんながはたと気付いたのが「私の働き分をみとめて」のリーフ。「あれこれ考えるよりこれが一番! みんなで集まって少しずつ読んで話し合いをすればバッチリ。こんないいものがあるじゃない」と班会や小集会を開いてリーフで
学び、署名を広げる力にしようと話し合いました。
○…福岡県婦協では「母の日」のプレゼントとして全部員にリーフを配ることにしています。5月8日には団体訪問を計画。リーフを渡して業者婦人の地位向上を求める署名への賛同を呼びかけます。
  春日那珂川民主商工会(民商)婦人部の岸川るみさん(40)=建築=は、リーフを一目見て「これは、分かりやすい」と思いました。「働き分が認められない、傷病手当がないと言葉では聞いていたけど、病気やけがをして休んだこともないし、どこかピンときてなかった。このリーフは見やすいし、私にも理解できる内容。隣で働ければ、パート代がもらえるのに、家で働くと86万円の控除しか認められないのって、やっぱり変」と岸川さん。リーフをいつも持ち歩き、知り合いとも気軽に話をしています。
○…山口県婦協は県の国際女性デーで人権が認められないただ働きの実態を報告しました。リーフの内容を紹介しながら、「帳簿をつけても、配達・集金に走っても控除しか認められず、子どもにも家業を継がせられない」と訴えると、会場から「タダ働きなんて知らなかった」との声が上がりました。
  各階層の女性たちにも所得税法第56条の問題への理解を広めることの必要性を感じています。

リーフ
所得税法第56条が「諸悪の根源」指摘

 リーフは所得税法第56条の問題点を明らかにしています。業者婦人の働き分が認められていないことが、下請け業者の単価を低く押さえ、出産手当や休業保障も認めないという社会保障の劣悪な状態をつくり出していることをやさしく解説しています。
  業者婦人の切実な声も紹介。追突事故に遭って仕事を休んだのをきっかけに、働き分が認められないことを知り、所得税法第56条を学んだ婦人部員や、看護師をやめて業者婦人になった部員は「出産・育児・傷病手当は何もなく、給料すら認められないことに、すべての権利をなくしてしまったような思いになった」と声を上げています。「諸悪の根源は所得税法第56条」と漫画で問題点を指摘しているのも「分かりやすい」と評判です。
  また、アメリカやイギリスなど諸外国では家族従業者の給与は必要経費に認められていることを示し、所得税法第56条がいかに時代遅れかを指摘。給料を必要経費に認めている青色申告は、税務署長が条件付きで一部を認めるもので、多くの義務が課せられている「特典」と強調しています。
  全国女性税理士連盟も05年8月、所得税法第56条廃止を要望する意見書を提出するなど運動は大きく広がっています。
  全婦協では10月10日に開かれる第10回全国業者婦人決起集会に向かってリーフを活用して学習会を開き、業者婦人の地位向上を求める署名(1部員10人目標)や「私のひとこと」を集め、決起集会を大きく成功させようと呼びかけています。

〔解説〕自家労賃とは
 中小業者と農民の大部分は、事業主とその家族の労働によって営業を維持しています。したがって中小業者の事業所得は、事業主とその家族の労働の「賃金」に相当する部分と事業の利益に相当する部分から成り立っています。
  つまり、卵(事業所得)の中身は白身(利益)と黄身(勤労所得=自家労賃分)だということです。事業主や家族専従者の勤労所得、働き分を「自家労賃」と呼んでいます。
  いまの税制では、どんなに長時間働いても、中小業者の自家労賃を認められていません。それを規定しているのが所得税法第56条(下段に別項)です。国税庁は自家労賃を認めない理由について(1)記帳がつけられず、事業と家計が分離されていない(2)家族に給料を支払う慣行が広まっていない(3)税逃れになる恐れがある‐‐を上げ、家族従事者が自家労賃を認めてほしければ、記帳義務のある青色申告を選択すれば解決すると主張しています。ところが、青色申告をするためには税務署長の承認が必要で、税務署長の判断でいつでも取り消すことができます。
  国税庁は白色申告者に対して「帳簿を付けていない」という見方をしていますが、現在ではパソコン会計や記帳ノートなどが普及。白色申告者でも記帳に基づいて申告しており、白色と青色申告者の実質的な差はなく、「家族労働の成果について制度上の差別を受けるのは憲法14条『法の下の平等』に違反している」との専門家の指摘もあります。
  さらに、この条文は働き分を認めないばかりか、劣悪な社会保障を生み出しています。労働者の場合は出産や病気のときに会社を休めば、給与の6割が社会保険から支給されます。
  業者婦人に出産手当や傷病手当が支給されないのは、手当の算定基準となる「給与」そのものが認められていないからです。一方、年金ではサラリーマンの妻は保険料を納めてなくても支給されるのに対して、業者婦人は高い保険料を払っても、低い水準に抑えられています。所得税法第56条が「諸悪の根源」といわれるのは、こうしたことからです。
  本来、所得税法は個人単位の課税を原則にしています。ところが、自営業者には家族単位で課税し、明治時代からの封建的な家制度をいまだに残しています。これは所得税法の原則から逸脱するばかりか、配偶者や家族の人格をも否定するものです。世界の流れを見ても家族従事者は従業員と同じで、働き分は正当に評価され給与として必要経費に認められています。

  所得税法第56条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
 
 
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