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  トップページ > 調査 > 全国商工新聞 第3312号5月21日付
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調査 動向調査
 

業況依然厳しく推移 消費税10%は転嫁できず

インボイス懸念強く
 全商連付属中小商工業研究所はこのほど、2018年上期営業動向調査を公表しました。売上、利益の主要DI(注)値は、若干の改善傾向が見られるものの、総合経営判断DI値は下がり、依然として厳しい経営状況が続いています。消費税率が10%に引き上げられた場合、全業種で転嫁が厳しくなり、売り上げ、利益が減少するとの回答が多く、インボイス(適格請求書)制度導入への懸念も目立ちました。

2018年度上期営業動向調査
 今期の総合経営判断DIは44.4(前期▲41.8)と2.6ポイント悪化。売り上げDIは▲38.5(前期▲39.6)、利益DIが▲44.3(前期▲47.2)と若干改善しているものの、依然として水面下での推移にとどまっています。

業種別では、主要DI値が「改善」しているのは、建設業(建築設計含む)、食料・繊維・木製品・印刷関連製造業、宿泊・飲食業の3業種となっています。主要DI値の「悪化」業種は、金属製品・機械器具製造業の1業種でした。
 流通・商業は利益DIでわずかに改善が見られるものの、売上DIが悪化しており、予断を許さない状況です。また、サービス業は売上DIが改善しましたが、利益DIは悪化しています。
 単価・マージンDIは全体で10.9(前期▲12.9)と改善。原材料・商品の仕入れ値DIは53.4(前期48.4)と上昇しています。

 消費税を「転嫁できていない」(一部しか売上・単価に転嫁できていない、ほぼ転嫁できていない、まったく転嫁できていない、の3区分合計)の割合は、建設業(建築設計含む)で35.5%、食料・繊維・木製品・印刷関連製造業で35.5%、金属製品・機械器具製造業で23.6%、流通・商業で36.4%、宿泊・飲食業で70.6%、サービス業で51.4%となっています。
 宿泊・飲食業やサービス業で「転嫁できていない」割合が高く、特に宿泊・飲食業では「きちんと売上・単価に転嫁できている」割合が29.4%と、深刻な状況です。
 業種別に見た消費税が10%になった場合の転嫁予測について、「転嫁できないと思う」(一部しか売上・単価に転嫁できないと思う、ほぼ転嫁できないと思う、まったく転嫁できないと思う、の3区分合計)割合は、建設業(建築設計含む)で51.8%、食料・繊維・木製品・印刷関連製造業で52.3%、金属製品・機械器具製造業は30.1%、流通・商業は58.5%、宿泊・飲食業は88.3%、サービス業は62.7%と、どの業種も増加しています。

「廃業」検討も
 消費税が10%になった場合の商売に及ぼす影響では、いずれの業種でも「売り上げが減る」、もしくは「利益が減る」が高い割合を示しています(図)。
 「売り上げが減る」が最も高い割合だったのは流通・商業で45.5%、サービス業44.0%、続いて食料・繊維・木製品・印刷関連製造業41.3%。「利益が減る」が最も高かったのは宿泊・飲食業で45.3%、続いて建設業(建築設計含む)36.0%です。
 売り上げと利益は、経営状況を判断するうえで最も重要な指標ですが、双方で悪影響の結果となりました。
 また、「廃業を考えざるを得ない」が最も高かったのは宿泊・飲食業で9.4%で、他の業種と比較しても高くなっています。
 今回「ひとこと欄」(下の表)には、複数税率やインボイスへの意見が寄せられました。
 免税事業者は、課税事業者との取引からの排除や消費税分の値引きの強要等、経営上の不利益にさらされ、免税事業者は、インボイスを発行するために課税事業者への選択を迫られ、多大な影響を受けます。
 インボイス導入による事務負担の増加や、取引先との関係の変化を危惧する声が上がったのは当然です。

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◇    ◇

【18年上期 営業動向調査】
<調査時期>2018年2月17日〜3月19日
<有効回答率>49.6%
<業種構成>建設業(建築設計含む)27.5%、食料・繊維・木製品・印刷関連製造業7.5%、金属製品・機械器具製造業17.7%、流通・商業18.8%、宿泊・飲食業9.0%、サービス業19.4%

(注)DI値とは
 ディフュージョン・インデックスの略語。起業の景況感などを「良い」「悪い」「上昇」「下落」といった定性的な指標で数値化したもの。例えば100社のうち、20社(20%)が「景気が良い」と回答し、25社(25%)が「良くない」と回答した場合(残りの55社は「さほど良くない」)、業況判断DIは20%−25%で5ポイントマイナスとなる。

全国商工新聞(2018年5月21日付)
 
 

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