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  トップページ > 中小施策のページ > 選挙 > 全国商工新聞 第3220号6月20日付
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選挙
 

7月10日参院選 経営とくらし守る5つの転換を

 戦争か平和か、安倍暴走政治をストップさせるかどうか―。歴史の岐路で中小業者の未来がかかった参議院選挙が始まります(6月22日公示、7月10日投票)。全国商工団体連合会(全商連)は第52回定期総会で「『戦争する国』づくり阻止、政治の転換をめざして、参議院選挙を全会員たたかおう」と呼び掛けた「特別決議」を採択し、中小業者が生き抜くための五つの転換を掲げて選挙をたたかっています。「政治は必ず変えられる」。野党と市民の結束で中小業者が希望を持てる新しい政治を実現しましょう。

1:消費税の増税を中止し税金の取り方をただす
要求:消費税増税を中止し、不公平税制の是正や「生活費非課税・応能負担」の原則に基づき大企業や富裕層への適正な課税を求める
 大企業や資産家が優遇される一方で低所得者ほど負担が重く、生きるために必要な生活費にも課税するという異常な日本の税制。税金の取り方をただすことは中小業者にとって緊急切実な要求です。
 最悪の不公平税制が消費税です。憲法に基づく応能負担に反し、低所得者ほど負担が重く、逆進性が強い税制です(図1)。
 消費税は、赤字で価格に転嫁できなくても売り上げが1000万円を超えれば納税義務が生じるため、中小業者にとっては経営破壊税です。
 安倍首相は消費税10%への引き上げを2019年10月まで延期することを決めましたが、延期ではなく中止することこそ最大の景気対策です。増税時に導入するとした複数増税と、免税業者を取引から排除するインボイスは撤回求めます。
 消費税頼みではなく、所得税の適正課税や法人税の租税特別措置を見直す。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した課税逃れにメスを入れるなど税金の取り方を正せば、消費税に頼らず、社会保障を拡充する別の道への転換は可能です(別項)。
 所得税でも富裕層が優遇されています。所得が1億円を超えると負担率が下がっていきます。富裕層ほど株式の売買による収入の割合が多く、それにかかる税率が20%(所得4000万円以上の所得税の最高税率は45%)と低く抑えられているためです。
 一方、安倍政権は財界の要望に応え、法人実効税率を29・97%まで引き下げました(2016年度)。法人税も資本金1億円を超えると負担率は下がります。100億円を超える法人や、100%子会社を持つ連結法人の負担率が、100万円以下の法人よりも負担が軽く、大企業ほど優遇されている実態が明らかになっています(図2)。
 法人税率引き下げによる大企業減税額は6兆5045円、試験研究費の税額控除など租税特別措置による大企業減税額は5兆7973億円で合わせて10兆円を超える法人税が減税されています(2014年度・菅隆徳税理士の試算)。大企業の優遇税制を是正すれば消費税増税の必要はありません。

図1、図2


消費税増税は必要ない タックスヘイブン対策で5兆円の税逃れをただす=合田寛さん(政治経済研究所主任研究員)に聞く


2:税金の使い方を変えて社会保障の充実を図る
要求:憲法25条に基づき、現在と将来に安心と希望が持てる社会保障を確立する。中小企業の社会保険料の負担軽減をはかり「払える保険料」にする
 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障している 日本国憲法第25条に沿って税金の使い方を転換することが急務です。
 ところが、安倍政権は、高齢化などで本来8000億円から1兆円増える社会保障費(自然増分)を、3000億〜5000億円規模で削っています。これは「医療崩壊」や「介護難民」を生んだ小泉政権時代の自然増分2200億円削減を上回るものです。
 さらに医療や介護、年金制度も次々と改悪。とりわけ中小業者にとって切実なのは社会保険料の負担が重いことです。滞納に対する差し押さえ件数も増えています。滞納事業者が増える最大の問題は小規模事業所の負担が重過ぎることにあります。厚生年金保険料は上限が63万円で、月給が62万円の事業主と月給1000万円の大企業の社長と個人負担は同じです。健康保険も加入者の平均収入が低い協会けんぽの保険料は大企業がつくる健康保険組合や公務員などが加入する共済組合より負担が重くなっています。
 小規模企業振興基本法(2014年6月)の付帯決議では「小規模企業の事業の持続的発展を図るという観点に立ち、…小規模企業の負担の軽減のためにより効果的な実現を図ること」を明記しました。
 また、高すぎる健康保険料(協会けんぽ、国保料・税)の負担軽減も切実です。国保料(税)が所得に占める割合は20%を超える市町村も少なくなくありません。これほど国保料が上がったのは、医療費総額の45%だった国庫負担を24・8%に引き下げたためです(図3)。国庫負担を少なくとも45%に戻し、払える保険にすることが必要です。

図3

3:大企業から小企業中心の経済政策へ変える
要求:小規模企業振興基本法に基づき、すべての自治体で中小企業・小規模事業者振興基本条例を制定し、経済の中心である小企業へ支援を強め、地域経済の振興を図る
 大企業を応援する安倍政権の下で大企業(資本金10億円以上)の内部留保は過去最高の366兆円に達しています(図4)。
 安倍政権は大企業がもうかればその滴が国民・中小業者にしたたり落ちる(トリクルダウン)と主張し、アベノミクスを推進してきました。しかし、大企業が空前の利益を上げてもトリクルダウンの効果は現れず、中小業者の経営悪化は歯止めがかかりません。働く人々の実質賃金は5年連続のマイナス、GDP(国民総生産)の6割を占める個人消費は消費税が8%に引き上げられてから戦後初めて2年連続のマイナス(図5)となり、アベノミクスは完全に破綻しています。
 いま、民商・全商連は大企業中心から小企業中心の経済政策への転換を求めています。
 第一に、すべての自治体で中小企業・小規模事業者振興条例を制定し、経済の中心である小企業への支援を強め、地域経済の振興を図ることです。小規模企業振興基本法では、従業員20人(商業・サービスは5人)以下の小規模企業が地域経済の担い手であり、雇用の創出・維持に大きな役割を果たしていることに着目。事業の持続的発展を図る施策を講じることを国や地方自治体に求めています。
 第二に、地域循環型の経済対策で地域産業の再生を図り、持続可能な地域づくりを進めることです。効果が表れているのは住宅リフォーム助成や商店・工場リニュアール助成制度です。各地の民主商工会(民商)は自治体に働きかけを強め、全国658自治体で実施されています(2015年度)。地域によって違いはあるものの工事総額はおよそ助成額の約15倍以上となり、波及効果は2倍前後に上ると分析されています(本紙5月23日号)。
 第三に、大企業と中小企業の公正な取引を保障するルールを確立することです。下請単位の買いたたきや突然の取引停止など大企業の中小企業いじめの根絶を求めます。
 また、建設現場で社会保険への未加入業者を「不良不適格業者」と決めつけて排除しようとする動きが強まっています。法定福利費が中小業者に支払われる仕組みづくりは急務です。

図4、図5

4:亡国のエネルギーと食糧政策をやめる
要求:食糧とエネルギーは安全保障の要。エネルギー政策を転換し原発ゼロを実現する。TPPは批准せず、国民の食糧の確保と安全を守る
 食糧とエネルギー政策は安全保障の要です。食の安全と経済主権を守り、原発ゼロを実現してエネルギー政策を転換させるかどうかも参議院選挙の大きな争点です。
 関税撤廃とあらゆる分野での市場開放を求めるTPP(環太平洋連携協定)の批准を断念させるには、野党の議席を伸ばすことが必要です。
 日本の食料自給率(カロリーベース)はすでに39%まで低下し、先進国では最下位(図6)。農水省はTPPが批准されればさらに13%まで下がると試算し、コメの9割以上が外国産になるといわれています。
 TPPは、「ISDS条項」(投資家・国家間の紛争解決条項)により、中小企業振興条例や公契約条例で「地元優先発注」などを盛り込んだ場合、海外の多国籍企業が受注喪失につながったと訴える可能性があります。
 TPP批准をやめさせるとともに、食の安全と経済主権を守るよう求めます。食料自給率を引き上げ、地産地消などの取り組みを広げ、農林水産業の振興と「第6次産業化」で地域活性化を図ります。
 エネルギー政策では原発の再稼働を許さず、原発ゼロを求めます。
 九州電力川内原発は昨年8月に再稼働しましたが、世論調査では再稼働に反対する声は50%を超えています(表 )。熊本地震の影響も懸念されるだけにただちに運転を中止させる審判を参院選で下すことです。太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの発電量は2010年度に比べて3倍になりました。それでも再生エネルギーの先進国ドイツに比べるとまだ立ち遅れています(表 )。
 地域経済を支えている中小企業が再生可能エネルギーの開発・普及の事業を担うことが地域経済を発展させ、エネルギーの自給率の向上にもつながります。

図6

5:「戦争する国」づくりから「防災・減災の国」づくりへ
要求:「立憲主義」を回復し、憲法に基づく平和で民主的な日本へ。普天間基地の即時返還と辺野古新基地建設を中止し、軍事費を災害対策・復興に回す
 「平和でこそ商売繁盛」を信条に、民商・全商連は戦争法を廃止し、立憲主義を回復することを求めています。
 「戦争する国」づくりにまい進する安倍政権は、参院選で3分の2以上の議席の獲得をめざし改憲発議を狙っています。自民党憲法草案では憲法9条2項を削除し「国防軍」を設置することや、緊急事態条項の創設も明記。「公の秩序」の名の下に基本的人権を制限する時代錯誤の企てを許してはなりません。
 5日の沖縄県議選(定数48)では、辺野古新基地建設反対の翁長雄志(*ルビ=おながたけし)県知事を支えるオール沖縄≠フ与党が、議会の安定多数を占める27議席へと躍進し「大勝利」しました。普天間基地の無条件返還を実現するとともに、新基地建設を中止させるためにも、沖縄に連帯し、参院選で国民的な審判を下すことが求められます。
 参院選では、主権者である国民や沖縄県民の意思を踏みにじる強権的な政治のあり方をチェンジし、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義≠ニいう日本国憲法の3原則が生かされる政治の実現を求めます。
 安倍政権発足以来、軍事費は4年連続で計3403億円を増額。2016年度予算では辺野古新基地建設費595億円(前年度比2・4倍、歳出ベース)、在日米軍への「思いやり予算」1920億円(前年度比21億円増、同前)など軍事費は史上初めて5兆円を突破(図7)。「戦争する国づくり」のための予算は削減し、熊本地震の被災者支援などに必要な予算を充てることが必要です。被災者生活再建支援法支援金の最高額を300万円から500万円へ引き上げ、店舗・工場への適用を広げることなど、災害列島である日本国民が直面する災害対策や復興に回すように求めます。
 地元に密着した中小業者の情報や力を、危険箇所の解消や災害発生後の物資の供給、道路やインフラの復旧などに生かし、「防災・減災の国」づくりへの転換を求めていきます。

図7

全国商工新聞(2016年6月20日付)
   

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