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国会
通常国会 税制「改正」案の狙い
中小業者、国民に”激痛”強いる
 小泉内閣は1月17日、個人所得税の定率減税の廃止や「第3のビール」増税、法人中小企業の大部分を占める同族会社に対する新たな課税など、国・地方合わせて約2兆4000億円の庶民増税を盛り込んだ06年度税制「改正」要綱を閣議決定。一方、国民から批判の多いIT(情報技術)投資を促す大企業向けの法人税減税は、規模を約5分の1に縮小するものの延長します。1月20日から始まった通常国会で審議されます。中小業者に関係の深い内容に絞って紹介します。

〈所得税・住民税〉
(1)定率減税の廃止
 06年度の所得・住民税の定率減税半減に続き07年度は定率減税を廃止。
(2)税源委譲を目的とした、所得税と住民税の「改正」
 国・地方の税財政を見直す「三位一体改革」に伴う地方への税源委譲のため、住民税率は10%に統一して増税、所得税率は5〜40%の6段階にして減税。
(3)地震保険料控除の創設
 07年分から(06年分は一部適用)。

〈酒税・たばこ税〉
 従来、10種類以上に区分していた酒類区分を4種類に縮小。低価格で庶民に人気の「第3のビール」が、今年5月から350ミリリットルで3・8円、ワインも1本当たり6・8円の増税。
 たばこは1本当たり1円、1箱20円の値上げ。

〈法人税〉
(1)同族会社の役員報酬の給与所得控除額の損金不算入
 企業の役員報酬はこれまで全額が「損金」として課税の対象となる利益から差し引くことができました。「改正」はこれを制限し、対象となる同族会社(90%以上の株式を同族で所有し、かつ役員の過半を占め、法人所得と役員報酬の合計が年間800万円超の法人)の給与所得控除分を「損金」として認めないというもの。対象となる企業にとって、給与所得控除分の課税対象額が増加し、その分が増税となります。
 財務省によると対象となるのは5、6万社にのぼるとされ、その増税額は全体で250億円から300億円とも。一方、大企業に対しては、これまで「損金」として認められてこなかった、利益を基礎として算定する役員報酬の一部を「損金」として認め、課税対象額から差し引くことを認めました。
(2)同族会社の留保金課税制度の緩和
 一度は法人税を課税され、その後、企業内にとどめおかれた税引き後の所得に対してさらに課税する「留保金課税」の適用条件を大きく緩和。
(3)少額減価償却資産の特例の制限
 少額減価償却資産(取得価格30万円未満の減価償却資産)の全額の損金算入の特例について、一定の上限(300万円)を設け、適用期限を平成20年3月31日までに延長。
(4)接待交際費5000円以下(1人当たり)の飲食代損金算入
 損金不算入対象から除外。06年4月1日から08年3月31日までの間に開始する事業年度。
(5)法人税の確定申告書等の添付書類義務付け
 これまで提出義務のなかった「法人の事業等の概況に関する書類」を提出させることで、納税者の事務負担を増やし、「着眼調査」のいっそうの拡大を狙っています。

〈その他〉
 無申告加算税の引き上げ‐現行15%を、納付すべき税額で50万円を超える部分について20%に引き上げ。消費税無申告者を想定しペナルティーを強める方針です。(2)高額納税者の公示制度の廃止‐法人税、所得税、相続税についても廃止することにより、優遇の実態を国民から隠そうとしています。

 
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