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租税刑罰強化の撤回を求める事務局長談話

 全国商工団体連合会(全商連)の岡崎民人事務局長は以下の談話を発表しました。


租税罰則の強化は撤回し、「納税者の権利憲章」の早期制定を

2010年2月26日
全国商工団体連合会
事務局長 岡崎民人

1、今国会で審議されている「所得税法等の一部を改正する法律案」には租税罰則の強化が盛られています。早ければ今年6月以降適用となるものであり、重大な問題にもかかわらず多くの国民が知らないまま、成立させられようとしているのは看過できません。
租税罰則の見直しは、▽脱税犯について、懲役刑を現行の上限5年から10年に、罰金を現行の上限500万円から上限1000万円に引き上げる、▽申告書不提出犯について、罰金刑を現行の上限20万円から上限50万円に引き上げる、などのほか、▽源泉所得税不納付犯や不正還付犯の懲役刑・罰金の引き上げ、▽検査忌避犯等の秩序犯や税務職員の守秘義務違反に対する罰則の引き上げ、などとなっています。

2、政府は「他の経済犯とのバランスを考えて罰則を見直す」としていますが、そもそも税法は、国の課税権の濫用から納税者・国民の権利を守ることを主要な目的とし、憲法上の租税法律主義として確立されてきました。したがって、一般の経済取引、金融犯罪、詐欺罪、横領罪などと同列に論じることそのものが不適当と言わねばなりません。
現在の税務行政では、「プライバシー無視」「犯罪者扱い」の税務調査や有無を言わせない財産の差し押さえが後を絶たないなど、早急な改善が求められています。そのため一般の税務調査は「犯罪捜査と解してはならない」とする税務当局の質問検査権の限界や生存権的財産の差し押さえ禁止などを明確にした法改正、納税者の権利を明記した「納税者の権利憲章」の制定が急務です。

3、税制と税務行政の不公正を放置して租税刑罰を大幅に強化することは、これまでの課税当局による強権的な手法と人権無視の体質を、いたずらに助長させるものでしかありません。とくに中小自営業者の立場からは、「検査忌避犯、虚偽帳簿書類提示犯、記帳義務違反などの秩序犯に対する罰則の強化」に強い危惧を持たざるを得ません。これらの規定が、納税者の権利を主張し、税制や税務行政の民主化を求める業者や業者団体に対する弾圧の道具として活用されてきた歴史的事実から見れば、罰則の強化は、その威嚇力を背景に納税者側に税務調査に対する全面的で無条件の協力を強いるものであり、納税者の権利を根こそぎ奪うものにほかなりません。罰則による支配は、税制が国民の信頼に支えられている場合には無用になります。税制が信頼に値せず国家権力と国民との間に対立が生じた場合に、権力の支配を擁護するための方便にすぎません。

4、このように「租税罰則の強化」は納税者を犯罪者視し、政府がうたう「公平・透明・納得の税制」という趣旨ともかけ離れたもので、認めるわけにいきません。私たちは、その撤回を強く求めるとともに、「納税者の権利憲章」の早期制定のために、力を尽くすことを表明するものです。

   
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