税制改正大綱見直しを求める談話
全国商工団体連合会(全商連)の岡崎民人事務局長は以下の談話を発表しました。
庶民増税を推進し、大企業・大資産家優遇を温存する
「2010年度税制改正大綱」の見直しを要求する
2009年12月23日
全国商工団体連合会
事務局長 岡崎民人
1)鳩山内閣は12月22日、2010年度「税制改正大綱」(=大綱)を決定しました。
私たちは、庶民に増税を押し付ける一方で、大企業・大資産家優遇の温存が最大の特徴となっていることを、厳しく指摘せねばなりません。子ども手当や高校授業料無償化の財源として該当する所得税・住民税の扶養控除を廃止・縮小するのをはじめ、中小企業の法人税率の引き下げの先送り、たばこ税の増税を打ち出しました。一方、事実上、大企業への膨大な補助金となっている研究開発減税は温存し、株式の配当や譲渡益への課税を半減する証券優遇税制を継続します。
ガソリン税の暫定税率は現行水準を維持し、環境税の導入を検討するとしましたが、小沢幹事長による「重点要望」に沿って密室決着を図ったもので、国民の政治に対する不透明感を深めたと言わざるを得ません。
私たちは、国民に開かれた税制論議に基づいて、大企業・大資産家に応分の負担を求め、庶民には減税を行うよう、「2010年度税制改正大綱」の見直しを求めます。
2)憲法の要請する「生活費非課税」の原則を掘り崩す、重大な改悪が盛り込まれている点も見過ごせません。
私たちは子育て支援の給付や教育費無償化は重要と考えます。しかし、その財源として、扶養控除・特定扶養控除の廃止・縮小を行うことは、国際的にも低すぎる課税最低限をさらに引き下げ、最低生活費にまで食い込む庶民の税負担をいっそう過酷にします。そのうえ、保育料・国保料(税)など負担を雪だるま式に増やすことが危惧されます。
人的控除は、「生活費非課税」の考え方に立脚し、不十分とはいえ課税最低限を形づくる根拠となっています。「手当を出すから人的控除は不要」との安易な考えに、くみすることはできません。「大綱」は、今回は廃止・縮小を見送る成年の扶養控除や配偶者控除を今後、見直すとしています。生活非課税の原則を根底からくつがえす改悪を、認めるわけにはいきません。他方、「家族従業者の自家労賃を経費として認めよ」という、当然の主張への共感の広がりにも関わらず、所得税法56条の廃止に一切言及がなかったことも重大です。
消費税では、「政権担当期間中、税率引き上げは行わない」としたことは、国民の根強い増税批判を反映したものです。しかし「今後、社会保障制度の抜本改革などとあわせて検討」と、社会保障財源を前面に押し出して、将来の増税に向けて議論をすすめる姿勢を明らかにしました。消費税は、最低生活費に負担が食い込む、最大の不公平税制であり、増税反対は当然であり、深刻な消費不況下にあっては、むしろ引き下げを検討すべきです。
3)いまこそ、自公政権以来の「構造改革」路線からの脱却を図るべく、大企業・大資産家優遇税制を是正し、応能負担原則の確立に向けた転換を図るべきです。
この間の法人税の相次ぐ引き下げ、研究開発減税、欠損金の繰越期間の延長、海外子会社からの配当益金不算入などによって、大企業の税負担は実際の税率より低くなっています。大資産家も所得税・相続税の最高税率引き下げで恩恵を被り、証券優遇税制では2007年度だけで100億円以上の所得のあった株長者に1人平均35億円も減税になっていることが明らかになっています。この不公平をただちに正すことを求めます。
4)これら応能負担・生活費非課税の原則に立脚し、「生活できる税制」の構築と一体に、「納税者権利憲章」の制定、国税不服審判所改革をおこなうよう、強く求めます。
大綱では、改革の方向性として、納税者権利憲章(仮称)の制定、国税不服審判所の改革など納税者の権利の拡充に関わる内容もあるものの、社会保障・税の共通番号制導入、歳入庁設置、租税罰則の適正化などがセットで狙われています。
庶民増税、罰則の強化、徴収の強化、プライバシーの侵害がすすめられれば、「納税側と課税側は対等」「課税側に説明責任がある」などの権利が確立されても、払いきれない税金に苦しむ納税者は救済されません。これらの措置は、長年の自民党政治のもとで、導入を狙う課税当局の企てを、国民世論が許さずにきたものです。「納税者の利便」「社会保障給付のため」を前面にした新たな装いで、国民を欺くことは許されません。
最後に、民商・全商連は、あらためて「大綱」の見直しを求めるとともに、民主的税制・税務行政確立のために全力をあげてたたかうことを表明するものです。
|